新型コロナ 注意点は 感染者減でも警戒を
首都圏を中心に新型コロナウイルスの感染が急激に広がる中、政府の専門家会議などは予防行動の徹底を求めている。感染が落ち着いてきたかにみえる北海道も警戒を緩めるのは禁物だ。道民は今、何を気を付けるべきか。「毎日の陽性判明数」「軽症者」「コロナ疲れ」という三つのキーワードを基に、私たちにできる行動や心構えについて改めて考えた。
■判明に時差
「今、私たちが見ているのは2週間前の景色だと考えましょう」。札幌医大の横田伸一教授(ウイルス学)は連日発表される道内の陽性判明数について、こう解説する。
世界保健機関(WHO)によると、新型ウイルスに感染して発症するまでの潜伏期間は5日程度。発症した患者が診察を受け、検査で陽性が確定するまでにはさらに1週間程度かかる。このため、今この瞬間に感染している人が感染者として表に出るのは2週間近く後という時差が生じる。
今から2週間前と言えば、3月19日に道の緊急事態宣言が解除された直後。道内の陽性判明数は以降、5人以下を維持する「小康状態」が続いている。
ただ、最近は東京や大阪で患者が急増し、桁違いで感染が広がる欧米から道内に帰省した人の陽性例も出てきた。横田教授は「今、道内の判明数が少ないからと予防行動をやめると、2週間後に再び増える恐れもある」と警告する。政府の専門家会議メンバーの押谷仁東北大教授も「感染が急増する地域と行き来すべきなのか、改めて適切な行動を意識し、警戒してほしい」と再引き締めを促す。
■軽症者8割 「自分が感染」の意識で
新型ウイルスの患者は8割が軽症だが、高血圧など基礎疾患がある人や高齢者は重症化のリスクが高い。東京都は軽症者が自覚なく活動し、無意識にウイルスを広げると懸念し、小池百合子知事は「集会やイベント観戦などの活動を見直して」と重ねて求めている。
北海道科学大の秋原志穂教授(感染症看護)は「重症化リスクが低いほど『自分はかかっても大丈夫』『感染しないだろう』と考え、予防行動を取らなくなりやすい」と指摘する。職場への影響などを懸念し、感染が疑われても申告をためらう可能性もあるという。
では、どうすれば予防行動を促せるか。秋原教授は「『自分が感染しないように行動する』という予防の発想ではなく、『自分はすでに感染しているかもしれない』という意識を持ってもらう。そうすれば家族や周囲の大切な人を守るために行動するのでは」と、意識の転換を提案する。
■「自粛疲れ」 ネットでストレス解消
とはいえ、常に神経をとがらせ続けることは心理的なストレスも大きい。専門家会議も1日、「『コロナ疲れ』『自粛疲れ』ともいえる状況が見られる」と指摘した。兵庫県立大の冨永良喜教授(災害臨床心理学)は「精神的緊張が高まる『過覚醒』が続く、特殊な環境だ」と危惧する。
冨永教授は「過剰な緊張は神経をすり減らし、睡眠障害などにつながることもある。ネットなどで積極的に周囲とコミュニケーションを取り、喜びや楽しみを分かち合うなど現状を以前の日常に近づけるよう意識して」と述べ、適度に緊張をほぐす行動を促す。
政府の専門家会議は感染しやすい環境として「換気が悪い密閉空間」「人が密集する空間」「近距離で会話し、密接する空間」の「三つの密」を掲げている。冨永教授は「どんな場所も厳戒しなければいけないわけではない。『三つの密』を避けることに意識を集中してみよう」と緊張度にもメリハリが必要だと呼び掛けている。
精神的に疲れがたまってきます。
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