午前中は名古屋音楽大学オケリハーサル。
プーランクとヴィヴァルディのグローリア。ブラームスのピアノ協奏曲第1番のソリスト合わせ。
昼は会議を行い、夕方に尾崎保乃歌ソプラノリサイタルを聴きにメニコンホールへ。
ドイツリート、フランス歌曲にイタリアオペラのアリア等多彩なプログラム。
彼女の歌を聴いたのはこれが3回目。
現在、愛知県芸大大学院生である彼女の歌声は声の艶、声量共に魅力あり、歌詞に対しての必要な表情等、大したもんだなぁと感心しました。
2回目に聴いたのは熱田文化小劇場ホールで聴いた、高校OBの演奏会で彼女がまだ大学入りたてくらいの時ではなかったろうか、確か椿姫の乾杯の歌を歌っていて初々しい歌声だったかに思う。
1番最初に彼女の歌声を聴いたのは、私が安城学園高校の吹奏楽部を指導をしていた時に、夏の吹奏楽コンクールでオーボエとコールアングレを吹いていた彼女。
自由曲であるトリトン・エムファシスの主題はこのコールアングレの大ソロから始まる。
彼女の吹くコールアングレの音程があまりにも悪いので時々合奏の合間に個人指導もしていた。
レッスンでは、ソルフェージュができてないからまずは歌ってみて音程取ってみ?と彼女に歌わせたところ、ちんぷんかんぷんな音程で歌い、声もお世辞でも良いとは思わなかった。
私の眉をひそめ困った顔を見ては、彼女はケタケタと笑い飛ばした。そうなったら私も一緒に笑うしかない。
持ち前の明るさと根性でコールアングレを頑張る彼女。
周りのスタッフからの「彼女をレギュラーから外せ」の声に私は耳を貸さず、この場面にソプラノサックスの代用ではなく、オリジナルのコールアングレの音色がどうしても欲しいのだとみんなの反対を押し切った。
彼女が誰よりも遅くまで学校に残り、テーマを何度も何度も繰り返し練習していたのを知っていたのもある。
その年の夏のコンクールが終わり、しばらくして彼女が声楽の道に進みたいと相談された時、正直厳しい道かもしれないが貴方が本当にやりたいと思うならトコトンやりな、と言ったと記憶している。
時々彼女のお母さんからは今この先生について頑張ってます、と報告をいただいていた。
ものすごい努力の甲斐あって彼女が県芸大へ進む事に。家族ぐるみで年に一回くらいお食事をする事もあったが、コロナでしばらく機会がなく、今日のコンサートで久しぶりにご両親とお会いできた。トリトンエムファシスを一緒に頑張った生徒たちにも会えた。
今日のコンサートの中で司会者が彼女へインタビューする中で、彼女が今まで両親や友人知人からもたくさんの愛を受け、こうやって幸せに歌っていける原動力みたいなものはその方々のおかげです。
いつもの生活の中で歌の事を考え、嫌なことや嬉しい事も歌手として表現するには、こういう感情も歌の表現に沢山繋がる、ととてもポジティブな考えをお披露目発言。
歌の技術や表現力だけでなく、人間的にも大きく成長したなぁと、後はプロになるべくさらに研鑽を積み、私たちも応援もしながらこちら同業の道へ引き込まなければとも思いながら、今日の歌声を楽しみました。
保乃歌、リサイタル成功おめでとう!