高校生の孫が寝坊したので送ってと頼まれたので19日朝岐阜市の高校へ送って行った。
今日は、岐阜地方裁判所の裁判員制度が始まって以来、裁判員の拘束時間が最長となっている、裁判を傍聴しに行こうかとも、思っていたので帰りに中心部にある岐阜地裁へ行った。
新しい建物を建築中なので駐車場が無いかなと心配して行ったら、そのとおりで裏口の柵のところでガードマンと裁判所の職員が出迎えてくれ、傍聴者が5、6人並んで開扉を待っていた。
借り上げ駐車場を案内してくれ仮駐車した場所からそこへ車を移して行ったら行列は皆中へ入ったらしく誰もいなかった。
裁判の傍聴はいたって簡単で、入り口へ入ると本日の裁判予定が掲示してあるので、何の手続きも署名も案内もなく指示してある法廷へ行き傍聴人入り口の扉を勝手に開けて、中へ入り椅子に掛けて開廷を待てばよい。
これは10年ほど前岐阜地裁では珍しい死刑判決を傍聴に行って経験済みです。そのときはネットで裁判日を知り前の日に裁判所へ電話し、開廷時間などを聞き、抽選になるかも知れないと言われた。
今日の裁判は当方の郷里高山市のコンビニ女性店員「傷害致死、死体遺棄」、豊川市のベトナム女性「住居侵入、強姦、殺人」事件公判である。
9時半からの開廷で9時少し過ぎ法廷に入った。プレスが数人、一般傍聴が数人と少ない。
そのうち法廷の進行係の黒スーツの若い男性が開廷準備を始めた。15,6分前になると傍聴者もプレスも増え40人くらいになった。
この地裁では大法廷の301号法廷の席は84席ほどあるが、着席お断り席が5つほど張り紙してあるし、入り口には一般は68席で、法廷をビデオに撮るので傍聴者も画面に記録されると張り紙してあった。右が弁護士、左が検事である。裁判官席は1メートルくらい一段高い。
若い女性書記官が黒の法衣を羽織って入場し、進行係と打ち合わせ法廷の準備をした。
次いで男性弁護士4人が、国会質問くらいの大きなパネルを持って入場し、手提げバッグから関係書類のファイル4冊ほどを取り出して机においた。ゆうに10センチはある厚さ全部で40センチ以上の書類の束であった。3人は丸い大きな弁護士バッジをつけている。
そのうち検事が入場した。検事は若い女性が1人、男性が2人でやはり相応の幅の書類ファイルを持って入った、バッジは四角い、双方とも開廷準備に立ち居振舞っている。
時間が来て書記官席の両側に若い女性1人、若い男性2人が入場し着席した。バッジは橘か斜めの細い形で司法修習生だろう、終始一言も発しなかった。
法廷が落ち着いたところで、書記官が受話器を取り2ヶ所へ電話して開廷準備完了を告げた。
やがて横扉から被告人が3人の衛視に腰縄、両手、前手錠で入場し弁護士席の横に座った。そこで腰縄が解かれ手錠が外された。被告人は薄いブラウンの背広に青のネクタイ、陽に当らないので顔色が青白いのが哀れだ。前に死刑宣告を聞いた被告人も普段着ながら履物がつっかけ草履だった。
上段正面の扉が開き裁判官が入場した。進行係の「一同起立」で傍聴者もプレスも法廷内全員が起立する。
裁判官は裁判長が年輩の男性、陪席は中年男性が1人、若い女性が1人の3人、黒い法服を羽織っている。
その後がビックリ大勢の裁判員で、裁判長を挟んで右3人、左3人、後ろに4人の計10人の大所帯に驚いた。老年男性2人、中・若男性が3人、女性の高齢2人、中・若女性3人が裁判員だった。皆それぞれの普段着だった。
開廷直後、何の前置きも無くいきなり弁護人の被告人質問から始まった。被告人が名古屋の勤めから郷里に帰ったとき、兄弟の争いがあったらしく、前の法廷で兄が証人台に立ち、その際の証言の確認で肋骨にひびが入った。兄や弟の暴力の程度を質問し、殴る蹴るだったと被告人は答えることから入り、遺体発見時の調書を基にパネルを2枚使って、微細に質問を進めて行った。
この事件は奇怪で、コンビニに勤めていた被告人と同僚の女性の遺体が、下呂市小坂町の山上の濁河温泉へ通じる山道の道路下で発見された。
その発見者であり、警察への通報者が被告人とされる。電話通報では警察は発見できず、その後道路わきの道路に「ここに死体あり」と三角停止板とコーヒーファイルターに書いたメモが置いてあり、通りかかった地元の女性が遺体を見つけ警察に届けたとこから事件は始まった。
被告人は犯人なら通報やメモは置かないと否認している。警察は通報で見つけられず、ガードレールが邪魔して通常では発見できない、地元の人もメモを見なければ下へ降りて発見はできなかったと証言しているので、被告人以外の犯人はあり得ないと検察は追求している。
被告人が逮捕され所持していたビデオカメラ(デジカメ)に別の女性の死体写真が写っていた。それが豊川市ベトナム人女性殺害事件の被害者だったということで大事件になった。
今日は、その初期遺体発見時の詳細を弁護士の反対質問、ついで検事質問とつづいた。
9時半から始まり10時少し前に20分ほど一時休憩し、10時15分から再開され冒頭弁護人から、「遺体発見場所の絵図面は捜査官が書いたものに被告人が答えたもので、被告人本人が書いたものではない」と裁判長へ訴えた。大きな声で検事が「異議あり」と裁判長に訴えて始まった。
次いで裁判官質問で、裁判長は裁判員に質問をうながすと、高齢の男性が「4番です」と名を告げいくつかを質問した。燐席の女性陪席裁判官からメモが渡されると、一目見て丸めて足元に投げ捨て質問をつづけたのでビックリした。
次いで5番の若い男性、次いで6番の若い女性が質問した。長い審議で慣れてきているのか、かなり核心を突く質問をしていた。
次いで本職の女性陪席の質問が長くつづき、その次に男性陪席が長く質問した。供述の内容と失踪時の時間帯が整合しないのだと、一部活字にはしにくい性関係の内容の質問もした。
マイクはそれぞれ前に立ててあるが、ボリュームは絞ってあり、プレスや傍聴席には聞きづらかった。法廷ではすべて証拠書類は全員の前に平置きしたプロジェクター画面に写る、要求される度に書記官が操作した。画面は傍聴席には見えない。午後は1時15分から再開を告げられ閉廷した。
近くの名物そばやで昼食をとり、3時から歯科の予約があり帰宅した。