花

アホは死ななきゃ治らない

いつもより一時間長く寝ていた。
習慣でウィークデイと変わらない時間に寝覚めた。
夢へ吸い込まれたり、
覚醒の世界へ押し出されたりしながら過ごした時間は
ストレッチをしていたかのようだった。
起き上がって身支度を整える頃には、
程よい緊張感と安堵感が渦巻いていて、
心身ともに程好い微熱を帯びていた。

休日扱いの土曜日は、予定外の仕事や作業が放り込まれる心配がない。
従業員の作業を気にかける必要もない。
外出戻りに報告や連絡や判断を問われる
言葉のシャワーを浴びては拭うを繰り返す作業もない。

全体の事は忘れて、
定めたターゲットと一対一でじっくりと向き合える。
いつも以上にあらゆる物を捨てて、捨てて、アホ純度を高めていく。

家庭を振り返るべき時間を生けにえにズレた努力の上塗りに望むのだ。
それでも尚、見渡す限り真っ赤な世界から抜け出せずにあるのも。
気持ちも、言葉も、未来もかなぐり捨てて集中する。

自己陶酔的精神に今日も酔いしれて、
二日酔が恐くて酒が飲めるか！
と、
現実の岸壁からは既に離れていた。
声の紙テープがあちらこちらで風にちぎれて細かく泳ぎいた。

高まる緊張感

トラブルがあり、手が回らなくなったので、
短納期の仕事数件を工場でやりつつ、
来月からは両方で分業しないとこなせない仕事もあり、
工場へ打ち合わせに行った。

幸いな事に、こちらでの仕事は順調に進んでいた。
なんとか短納期の仕事のやりくりと、
分業配分の打ち合わせが終わった。
そこへ工場で現在仕掛中のリピートが入った。
ありがたい。

のだけれど、いつもより短い納期を指定してきた。
先程打ち合わせたばかりのスケジュールで、
もうパンパンな飽和状態。

とてもじゃないが、間に合わない。
分納で対応させてもらうより他ないが、
スケジュールの更なる複雑化は避けられない。
せっかく組んだ大まかな流れも再検討を余儀無くされた。

激しく変わった風向きの心配をしていても始まらない。
帰りの車内では、声を張り上げ歌って帰った。

なんでだろ～♪なんでだろー(涙)

昨日になって、従業員のひとりが作業の再確認をしにきた。
いやな予感をしながら作業場へ行った。

そして話を聞くと、
材料を配置する位置決めラインの意味合いがわからなくなったとのこと。
要は、ラインの上で合わせるのか、
下なのかという点がわからなくなったというのだ。

こちらからすると、
そもそも月曜からやっているんだから、
なんで今なんや？
というのを飲み込んで、
出来上がりみたら、どちらかわかるやん。
という気持ちで充満していた。

出来上がっている商品を確認すると、
見事にズレているものと、
辛うじてズレてしまったものが混在していた。

またまたちょっとした損失発生だ。
やや多目に見積もって、数量的に１割か。
９月の連休あたりは、少しはゆっくりできるかな
なんて考えてたけれど、またもや休みはなくなってしまった。

それどころか、田舎での草刈作業もあるので、
三日間の作業量を取り戻すには、
次週まで確実に残ってしまう。
残業してもらったところで、それだけでは間に合わない。

あ～。
またもや友人とのゴルフはお預けが決まってしまった。

霞む新航路

７月から依頼を受けて開発を続けてきた案件がある。
問題が発生する度になんとか切り抜けてきたが、
これまでと感触が少し違う。

印刷の色に始まって、
細かな印刷部分についての改良、
溶着幅を変える金型細部の改良、
続いて裁断面をより滑らかにする改良。
ここでバランスが崩れた。

裁断面が滑らかになったは良いが、
表裏両面に新たな問題が発生した。
裏面は白濁し、表面には一部分にそり返りが出るようになっていた。

金型屋さんに相談してみても解決法が見当たらない。
はてさて、一体どうしたものか・・・。
再び暗礁に乗り上げた。