昨晩テレビを見ていたら「中国を支える日本の熟練工」と題された番組がありました。
それは日本の金型職人さんが中国の工場で働く職人さんを育てるドキュメンタリー番組でした。
その中で、とても印象的だったのは「困難(トラブル)が起きた時に回避ができないのは基礎が出来ていない(知らない)からだ」と言う一言でした。
実際に番組内でも製造中の製品に僅か1000分の2ミリの誤差が生じると言うトラブルが発生し、現場の職人が回避出来なかった物を、その工場長は一目で不良とトラブル発生の原因を解明しました。
その後、プレス機の高さを僅か「0.1ミリ下げろ」と言う一言で問題は解決したのです。
それは機械の精度を人間の五感が越えた瞬間でした。
これこそが経験のなせる業だと痛感しました。
いま、日本の熟練工がどんどん消えて、生産能力(スピードやコストダウン)だけに価値観を求める事がどの業界にもあるような気がします。
私達の美容業界でも、昔では何年もかけて技術者として育てて頂いきました。でも、いまでは短期間で技術者として働けるような教育がされています。
その背景には「厳しい指導をするとすぐに辞めてしまうから」「基礎を長く教えると飽きるから」などと大型店舗を構える友人のサロン経営者から聞かされます。
しかし、その事が「本当にその人たちのためになるのかな?」と考えると、たとえ地味な勉強でも基礎をしっかりと覚えることが大切なのでは?と改めて考えさせられます。
私も、ここ数年で多くの商品開発を手がけてきましたが、今では原料をほんの数パーセント変えただけで質感の違いもわかり、原料の種類や抽出方法により配合方法や乳化方法などがわかるようになりました。
でも、それには今までに出会った多くの研究員さんや原料メーカーさんに化粧品の製造の基礎をしっかりと伺ってきた事と、たくさんの原料に触れて試行錯誤をして、自分でサンプルを作り実際のデータを収集してきたからこそ出来ているのだと思います。
昨晩のテレビ番組の熟練の工場長さんの技術と経験を見て、私もまだまだ、たくさんの経験を積み重ね美容技術と商品開発に精進していきたいと思いました。