日々のできごと。生物準備室より

理科教育、生物教育に関して考えたことをぼちぼち更新。たまに授業実践報告をします。

科学者の時間ふりかえり(3)ミニレクチャーその2

2019-04-07 10:10:21 | 探究に関すること

 

科学者の時間を導入するようになって、
改めて考えさせられたのは『学び合い』の位置づけです。


『学び合い』は、私にとって運命的?な関わりがあります。

興味を持ったきっかけは、
当時の勤務校が新幹線が止まる駅に近いという理由で、
『学び合い』の研修会の会場校を3回引き受けたこと。
今、考えると、贅沢な環境だったと思います。

ミニレクチャーは、
10年ぶりに天体分野を担当したこともあり、
特に熱い思いがある分野でもないので、
教科書の流れには抗うことなく進めました。

「学びを活かして考えよう」の部分を、
一つ一つ丁寧に解説することを求める空気が伝わってきましたが、
考え方の解答を暗記させてもなぁ、、、、。

そんなことを考えながら、
自分にとっては慣れ親しんだ『』を導入しました。
学習者は、
自分1人で取り組むことも、
他者(授業者含む)に質問することも可能な空間で、着地点を目指そうとしました。

担当した学年で推奨されている活動はペアワーク。
推奨に従って、管理統制されたアクティビティにすることを避けたい、
という思いもあったからです。

でも、結局、短時間での着地点を設定して、
幅の狭いレールに乗せていることには変わりない?



いやいやいやいや、、、


個の尊重とレールの幅に差があるでしょ、やっぱり。



そう思ったものの、

廊下から怪訝そうに覗かれたり、
グループ活動の制限を徹底するような通知文書が会議で出されたりすると、
怖気ます、当然。



『』導入だけで、
こんなに葛藤するとは思いませんでした。
慣れ親しむって実はとても危険。

 

 


科学者の時間ふりかえり(2)ミニレクチャーその1

2019-03-31 12:19:20 | 探究に関すること

生徒対象の授業評価アンケートの質問項目が、

Q1先生はこれまでの授業を振り返り、授業の目標やポイントをはっきり示す。

Q2授業におけるICT機器、板書、ワークシートなどは見やすく、工夫されている。

Q3先生は興味・関心を高める授業をする。

Q4授業では、生徒同士のグループワーク、先生とのコミュニケーション、先人の考え方等をもとに、自分の考えを広げ深めている。

Q5先生は、比較する、分類する、多面的に考える、構造化するなどを通して、知識を相互に関連付けてより深く理解できる授業をする。


という勤務校にて、
いかに生徒を「お客様」にしないか、
微妙な書き方ではあるけれど、主語が「先生」ではなく「生徒」に持っていけるか。

そんな問いをかかえながら行ったミニレクチャー。

 

教科書や資料を読む力を持っているけれども、
提示することで満足するならば、と思い、

 


スクリーンに写しだしてみました。
一通り説明した後、



読み込みは各自でやってみようよ、
例えばこんな感じで。



知っている、から、分かるへ、チャレンジしてみる?



他者(授業者を含む)への質問・相談はOKで、進めました。

公立校では珍しく、
カラープリンター使いたい放題、
全教室プロジェクター完備(ただし実験室は除く)で、
ワークシートやスライドはいくらでも凝ることが可能な環境。
しかも、学習者にとっては「授業は静かに聞いて、指示に従う」ことがスタンダード。
ペアワークも指示があればテキパキ進める中で、
コントロールされた活動を手放す決意は簡単に揺らぎます。

揺らぎまくり。

ミニレクチャーの受け止められ方は後ほど。


 


科学者の時間ふりかえり(1)

2018-12-16 21:58:14 | 探究に関すること

本当は、、、
本当はその都度記録していくことが一番なのですが、
そうもいかない時間の流れ。
完全に記憶から消え去る前に、記録します。

夏休み明けの8月最終週、
中3理科(2分野)の授業は、天体分野からスタートしました。

導入で確認したことは、「理科」の授業とは何ぞや、から。


学習指導要領そのままです。
変わったことをしているんではないんだよ、
のアピールに伝わっていたかも知れません。
でも、不安にはさせたくない気持ち一心でした。
さらに、

科学的な見方・考え方の視点。
この時間に身に着けてほしい視点の提示。

勉強、いつ始まるのかな、と待つ学習者もいれば、
面倒そうに聞いていたり
妙にうなずきながら聞いていたりと、さまざまでした。

続けて、
「わかる」とは何か?
インプットしたものをアウトプットするまでに起こる「わかる」には
どんな側面があるのかを紹介しました。



よく見られる

「~について分かった」
「~について理解した」という記述は何を指すのか?

ウィギンスとマクタイが提唱する「理解の6側面」です。
学習者に提示することが最適かどうかは???ですが、
1学期と比べて、記述内容が具体的になったと思います。
意識して記述している場合に限りますが、、、、。


分かった事を具体的に書く、は結構難しいのです。
新たに事実を知ることは、単なる知識の習得。

この単元の最後に、
「使える」まで到達し、探究活動を実施するのがゴールだよ、
ここから、科学者の時間が始まりました。

教室での様子は・・・・
4クラスともリアクションがほとんどありませんでした。
聞き流しているような、
言われたことは淡々とこなせばいいと思っているのか
少なくとも、ワクワク感は全くなく、スタートしました。






科学者の時間ー天体分野ー(2)

2018-11-21 22:04:43 | 探究に関すること

白夜について興味をもったboys班、
なにやらお制作。
生物実験室にあった、1年生使用済みのコケを用いて実験開始。

光が全くない状態
光が垂直に連続であたる状態
光が水平に近い角度で連続で当たる状態
+自然光で日夜も自然の状態

を設定した様子。

1日経過でこの結果。

うーん、色が全然違うねぇ
現在、実験継続中です。



他の惑星では、音の聞こえ方は違うのか?に挑んだboys班。
他の惑星の大気を再現しようとしたけれど、難しいことが判明。
そこで、
大気の組成が違えば音の聞こえ方は違うのか?
に問い立てを変更。


防犯ブザーに防水テープを巻き付けた自作装置で実験。
何故、水上置換かは謎でしたが、任せました。

聞こえ方、何だか違う・・・。
音が違うかどうか、周波数を測る、・・・どうやって?

実験途中で時間切れの班、多数。
まだまだ物足りない感じ。

あと何時間、できるんだっけ?

この質問が素直にうれしく感じた一瞬でした。



科学者の時間ー天体分野ー

2018-11-19 22:24:01 | 探究に関すること

中3理科天体分野、ついに科学者としての活動を開始しました。
1学期は生物分野でお稽古なしにスタートしたところ、
パニックゾーンで右往左往する状態。
そこで、反省(授業者の)を活かし、
8月末から始まった2学期では、
ミニレッスン&ミニレクチャーでお稽古のあと、スタートです。

まずは定番と言えば定番。天体の見え方を模型で確認。



なにやら骨組みも制作中

おおっと、クレーター付き月!!



突然、落下速度を計りだす・・・?


そして何といっても今日のブラボー


ミニ天体をいくつか作成して・・・

チリが漂う宇宙を水と絵の具で再現し、
天体を通過させたところ・・・・


おぉ!惑星の輪を再現。


さて、明日は何が起こるか、楽しみです。

 


学校組織で取り組む『探究』の指導デザインを考える研究会

2018-09-22 20:50:32 | 探究に関すること

ベネッセ主催の研修会に行ってきました。

気になったところだけメモです。


<全体を通して印象的だったお話>

 

探究活動における教員自らの問い立て:
Doingばかりに目が向いていないか
Beingに意識にはむいているのか
閉じた学びになっていないか。
全体性を失っていないか

 自分たちのbeingを耕すこと
常識の捕らわれをいかに手放せるか。

 

社会からの要請がある中で、
無意識にとわわれることがある。
その捕らわれを、玉ねぎの皮をはぐように剥ぐ必要がある。


学習者の視点で:

探究はまず、固定概念を壊す・・・自分を壊すことから始める。
自分の内面に気づくことから。

ある時をきっかけに、

他者ベースの発言から、自分ベースの発言に変容した。
自分はどんな気持ちか、自分はどうか。


授業(学級?)担当者が常日頃から開示している。
あ、自分はどうなのか?に。気づき、認識するようになる。

 

参考資料に、ピーター・センゲの「学習する組織」が挙げられていました。
講演の中では、メンタル・モデルのディシプリンと、
ダイアログで始まるチーム学習というディシプリンを意識して組まれているんだろうなぁ
という部分があり、あこがれ?を感じました。

学校そのものが「学習する組織」をめざしているんだろうな・・・・。

学習する組織――システム思考で未来を創造する
クリエーター情報なし

英治出版

 




<問いを生成するための技法・工夫>

〇小学生のような質問に対して、問いの細分化して検証可能なものまで落とし込む。その生徒とじっくり話して、何に興味があるのかを抽出していく。
〇覚えることが日々の学習スタイル、を脱記憶スタイルに変えるところから。
〇体験の中で自分の興味関心を見つける。
〇問いをひたすら出す時間をつくる。哲学対話で学ぶ。開始前の3月に教員研修を行う。

参加者からの質問でした。
この辺りは手法の話。
それでも話し手が前提としているものがそれぞれことなり、
それぞれ話して終わったという感じでした。

 

 

<面倒見の良さについて>

〇面倒見のよさって、これからは危険だなって、関わることで、承認をゲットしているのは、教員ではないのかな。探究になった場合は、必要の無いことは手放さなければならない事前の準備は必要なんだけど、生徒が自力で進むのを邪魔しているのはないのか?

 

〇面倒見の良さって何なのか?身につけさせたい学力が変わってきた。

以前は護送船団的に運んでいく。
これからはスタートは手助けするそして、我慢して見守る、

 

〇探究を始めた初期、ずっとついて教えてしまう流れができていた。
大学の先取りをする必要もないし、つもりもない。
先生たちに教えないでください、というと、
言われた先生は生徒に対して、
答えは先生の頭の中にあるけど、たどりつけるかな?という態度をとる。
生徒は、先生の答えにたどり着かなきゃいけないのか、と思ってしまう

「でも、誰も答えを知らないこと」にチャレンジすることで、
先生も知らない、先生も一緒に考えるっていうことが大切。
問題を再設定する能力って大事。

 

 

〇面倒をみる、失敗させない、を学校の売り。
いきなり変えるのはむり。
でも、問いかけの仕方は変えられるかな?と思った。
教員の問いかけ能力を磨くだけで変わるのではないかと。
そこを信じて、問いかけ、見て待っていたり、まなざしだったりが大事。

 

 

〇めんどうみの良さは、時代によって求められているものが変わっている。
彼らが求めているものは、失敗しない実験。
答えの提示がないと不満、

マインドを変えていく、その考え方に迫る指導は必要。
マインドが変わっていくために必要な校内での進め方。

 

〇何が足りなかった、生徒にも聞いた。探究が目的になっていた。
探究が目的で、プロセスを見ていなかった。
どうやったら、広められるのか
マインドとバリューを一致させないといけない。徐々に近づける。
担当者の自分らしさを担保しながら。

 

パネルディスカッションの司会者のコントロールから外れた途端、
パネラーから生の語りが得られたように感じました。

探究活動に必要な要素は、
・安心して学べる場づくり
・探究する力を育むためのプログラム作り
・適切なコンテンツ準備
・適切なアセスメント
だと思っています。
今日の研修会、は上2つに関して収穫があったと思います。
実践者の発言をは会を通して「授業者自らが探究を楽しむ」、

果たして、授業者は全員、探究活動を楽しんだことがある、
という仮説は、しっかり?棄却されるのでしょうか?

 


原点。

2018-05-12 23:09:22 | 探究に関すること

黒板に直書き、でも
活字で提示、でも良いのですが、
何となく、手書き&マグネットにしてみました。

初任の頃、
ノートにいちいち「課題」から「まとめ」までを書かせるのが嫌でした。
教科書に書いてあるし、写すだけだし、時間がかかるし、
だったら、印刷して配布してしまえばいい。
昨年度まで、ノートではなくプリントを挟むファイルのみで記録してきました。

ある中学校の理科の授業実践をお聞きした時、
探究の流れを大切にするために、すべて生徒が書いてから、
ようやく実験が始まる、
だから、なかなか実験の楽しさや面白さにたどり着かない、
そんな嘆きがありました。


写させても、読ませても、
内容を意識することとイコールではない、
に尽きるなぁ。
今更なのですが。

比較する・関連付ける・推論する等、探究の基となる力と、
全体を組み立てる力をどう育むか。

いきなり「全体を組み立てる」に取り組むって
やはり学習者にとって不安の方が大きい、たぶん。

今日の理科の教科書はとても丁寧。
実験結果はもちろんのこと、考察の仕方まで記載されている。
写させて暗記すれば併用問題集は解くことが出来る。


理科に重点を置いているわけでも、特別な予算があるわけではない。
展開授業ではなくMax40名に個別対応は限界がある。
保有する条件で何ができるのか。

コンテンツを叩き込むのでもなく、
体験と興味関心の追求に終始することなく、
探究する力を育む。

さて、何ができる?







触媒。

2018-01-21 20:15:56 | 探究に関すること

F6中学校の理科の授業を見学させていただきました。

単元は「電流と磁界」
その前の章で、「オームの法則」など電流・電圧の関係を学んでいます。
ひと山越えてホッとしたのもつかの間、
次の山キター!!といった記憶のある単元です。

 

中学校理科の教科書はとても丁寧、というか道筋がはっきりしていて、
指示通りに発問・実験・考察していれば一通り学習できるように構成されています。 

と言っても、中学校教員の業務が煩雑で多忙なことを考えれば、
一通り行うことだけでも疲労困憊、
リポDCMがイメージできるぐらいなのですが。



見学させていただいた授業は「既存の授業への挑戦」でした。

 

もともと教員向けの公開授業ではなく、
保護者メインの授業公開。

そんな日常の一コマからの情報の受容は、
私の中で確実に何か作用している、
そんな感じがその場でじわじわしていました。

 

「学びの責任」。

責任、という言葉にフィット感がないのですが、
「学びの責任」が生徒に移行する時、
授業者はどのように何に葛藤するのか、ビシバシ伝わってきました。


結局は自分との闘い。

答えは自分の中にある。

他人の実践を通して、自分の中の敵を認識して対峙する。

 

 

授業終了後、授業者の要望で対話型授業検討会が始まりました。
この検討会の良さの一つに、
授業者だけでなく参加者の見方・考え方に触れることができることがあります。

授業中に起きた、ある授業者と生徒のやりとりに対して、
ある参加者は「生徒がしらっとした」と見取っていたのに対して、
私は「生徒がはっとしていた」と捉えていました。
他にもいくつか、へー、そう見るのね、ということが幾つか。

勿論、どちらが正しいかを求めることは不毛。
そもそも答えはないでしょう。

どんな解釈をするのかは授業者本人次第。
この解釈を得るまでの一連の思考のスタート?きっかけとなる場が、
この場、対話型授業検討会なんだと思います。

 この検討会が効果のある唯一の方法だと思いません。
ただ、この言葉にできないモヤモヤを一度体感すれば、
確実に体内で(脳内で?)反応が始まるはずです。

 

触媒みたいなもの、なんですかね・・・?

逆に言うと、触媒でしかない、のかも。