日々のできごと。生物準備室より

理科教育、生物教育に関して考えたことをぼちぼち更新。たまに授業実践報告をします。

悩むのが定め、ワクチン接種

2014-08-31 10:58:56 | 最近読んだ本

 

子どもと親のためのワクチン読本 知っておきたい予防接種
クリエーター情報なし
双葉社

 

賛成派VS反対派の割とフェアな印象があります。

(このような本は読者の立ち位置によって変わると思うのですが)

長男が乳幼児期を過ごした2000年代と現在との変化は体感していましたが、

もっと長いスパンでの記述があり、へぇーの連続。
導入に漫画があり分かりやすい一冊。

この本では「破傷風」「麻しん」と妊娠を希望する女性には「風しん」を勧めています。(と読みました。)

自分自身が中学生の頃、女子全員で「風しん」の予防接種に出かけました。
勤務してから女子生徒を連れて行くことはなく、
制度が変わったことは分かっていました。
その理由は「男女差別」で、現在は全員接種ということです。 


ということで、図書館に返却します。

 

 


今年もこの季節!3日で終わる自由研究2014

2014-08-11 17:01:41 | 自由研究ネタ

天気図をつくろう (1979年) (算数と理科の本)

 
岩波書店

長男(6年生)、小学校最後の自由課題のテーマは「天気」

図書館で古い本を借り、
天文地学部の合宿でいただいた天気図用紙を用意、
インターネットラジオで情報ゲット。 

ここまで揃えなくても、ネット上で何とかなるようです。

http://stps2snwmt.blogspot.jp/2013/10/blog-post_10.html 


天気図用紙は各地の天気記入欄があるものをオススメ。
20分集中してラジオを聞き、1時間弱かけて作成。 
台風11号は去り、今晩はペルセウス流星群のピーク!!
(でも満月?)
娘たちは無関心。長男だけでも起こして一緒に見ようか。

 


生命の誕生には「プレートテクトニクス」が関連

2014-08-10 16:57:29 | 最近読んだ本

 

 

生命誕生 地球史から読み解く新しい生命像 (講談社現代新書)

 

講談社

 

忘れないようにメモ:第2弾>

生命の発生と生物進化は、地球エントロピーの減少に応じた地球軽元素の秩序化によるもの。自然の法則に従えば、エントロピーは常に極大に向かって増大するのに、アミノ酸がペプチド、タンパク質とより組織化したのは、太古の地球が熱を放出して冷却され、地球全体のエントロピーが減少し、その分段々複雑化しなければならなかったから必然的であった。

「原始スープ」「太古の海は生命の母」は非合理的。化学進化が海洋で起こったという説は化学的に疑問が多い。40~38億年前、隕石の海洋衝突で生じた超高温の衝突後蒸気流が冷却する中で多種多量の“有機分子”が創成される「有機分子のビックバンが起こったと考えられる。その有機分子の中で粘土鉱物に吸着・沈着できる親和性の高い分子(=生物有機分子)となり堆積物中に埋没(分子が“自然選択”される)、“続成作用”により高分子化する。その後プレートテクトニクスにより海洋堆積層が移動し、含まれていた高分子は海水起源やマグマ起源の熱水に遭遇して加水分解の危機にさらされるが、“小胞”を形成して内部に退避した高分子だけがサバイバルできる。この小胞同士が融合し、生命が誕生となる。

 選択生物の教科書(東書)では4ページに相当する内容。教科書ではミラーの実験が載っているが、無機物から有機物が作られた過程が諸説あるのね~ということと、ヘッケルの系統樹にもある“モネラ”(=究極の祖先)を否定、生物の進化を化学進化から考えれば、「共通の祖先」の存在を信じること自体がオカシイのよ~という主張に、「へぇ」連打。

 結局、“小胞”に高分子が退避した後、小胞同士の関わりありに詳しい記述がなくモンモンモヤモヤは残ったまま。“モネラ”誕生後の生物の進化についての記述がこれを挙げるんだ・・・(ウマの蹄の進化やアーケンゾア等)と、冷えきっていないビールを飲んだ感じ。物理・化学・地学の知識を必要とする一冊で、私にはハードルが高く、途中で何度もウトウト。あまりよく分かっていないのだから、センター入試に知識問題が出題されることはないなと、自己完結。

いーのか!?これで。

 

 


”コピペ”(遺伝子重複)の重要性

2014-08-09 11:50:22 | 最近読んだ本
分子からみた生物進化 DNAが明かす生物の歴史 (ブルーバックス)
 
講談社


ヘぇ~と思ったところを忘れないようにメモ 

プラトンのイデア説やキリスト教の創造神話が合体した静的な世界観を覆したダーウィンの功績。
 「種は変わり得る」という証拠である痕跡器官。その器官を作る遺伝子は他の必要な器官等の形成に関わるから、遺伝子そのものがOFFにはなれない。

遺伝子重複の重要性。一方で生存に必要な遺伝子を保持するので、もう一方は多様に変化することができる。

 「分子時計」の発見の一人はライラス・ポーリング。NHKドラマ「DNA物語」で、ワトソン&クリックがひたすら恐れていた人物。分子時計は着目する分子によって進化速度が異なるのは構造的制約をどの程度受けるかどうか決まる。DNAを巻き付けられるヒストンはガチガチに制約されるために速度は遅く、フィブリノーゲンから切り捨てられるフィブリノペプチドはそもそも自体に機能がないから進化速度は早い。この辺りの機能的制約は、物理的・化学的に証明できるというから面白い。(数式は読み飛ばしたけれど)

 遺伝子の進化速度は発現している組織に依存し、多くの組織で発現している遺伝子はごくわずかで発現している遺伝子よりも進化が遅い。
 

 カンブリアの大爆発に見られるような形態の多様化は、いきなり起こった訳ではなく、それまでに遺伝子重複を繰り返し、遺伝子族が多様化するという下地ができていた。


 器官の進化は「便宜主義」。既に使われている遺伝子や器官を別の目的で利用。(酵素タンパク質を構造タンパク質として利用する等)
 


 「単純な構造→複雑な構造」の落とし穴。常により複雑な構造に進化している訳ではない。退縮しシンプルになることもある。


 ヒトに見られる赤色オプシンの多型。180番目のセリンがアラニンに変わると、吸収する波長が橙色に変わる。セントラルドグマの学習において、DNAの配列がタンパク質の発現に影響する分かりやすい例として活用できないかなとワクワク。既にSRIS先生が紹介していたような・・・。


 つい最近まで資生堂と関係があると思い違いしていた木村資生博士の「中立説」は、どうしても博物学的に捉えていた「進化学」を「分子生物学」に何となく繋げることができた説で、YMNI先生が開発した中立説をアナログに再現した教材(最新の理科教育研究にも載っていた)の面白さを再確認。今年も使わせてもらおう。