日々のできごと。生物準備室より

理科教育、生物教育に関して考えたことをぼちぼち更新。たまに授業実践報告をします。

中心体の役割

2017-10-28 18:07:06 | 生物教育に関すること

 

国立遺伝学研究所の公開講演会に行ってきました。

講演お1人目は、中心体生物学研究部門の北川大輝教授。

中心体って細胞小器官の中でも特に注目した記憶はありませんでした。
「動物細胞では紡錘体の起点となる」ぐらいで。

正常な細胞では中心体に異常があると、G1期で分裂が止まってしまいます。

では、癌化した細胞の中心体の機能を無くしたらどうなるのか?
残念ながら分裂を続けてしまうそうです。

おそるべし、癌細胞。

しかし、中心体+紡錘体を除けば、突然、細胞死するそうです。

現在の抗がん剤の一部は、この中心体の働きを特異的に抑えるもの、
でも、中心体のもう一つの側面、
つまり、分裂期でない時の働きである、シグナル受容に影響を及ぼし、
副作用を起こすとのことでした。

全ての時期の中心体に特異性を持つのではなく、
分裂期の中心体に特異的に働く薬の開発かぁ。
へぇー、そうなんだ、と思いながら聞いていました。

また、何故、卵子は発生過程で中心体を失うのか?
の問いに対して、
1)受精後の染色体の数の問題、
2)卵子の単為発生を防ぐ
と説があるそうで、しかも、全ての卵子で中心体がないわけではない。 
へぇーX2 


最近、一方的?な知識伝達型の講演会にあまり参加していなかったので、
へぇー、そうなんだと、比較的穏やかに、
きっとあまり思考せずに聞いていました。
そして、なぜ?どうして?と意図的に疑問を持たないと、
なんとなく楽しい時間が過ぎていたことに気づきました。

講演お2人目は、植物遺伝研究室の佐藤豊教授。

植物の形作りと作物育種というタイトルの講演でした。
イネのお話です。
大雑把な科学史の中でイネの育種が行われてきた背景を大雑把に知りました。
聞き手のターゲットはどの層だったのかな・・・?

講演会の様子は、Youtubeで配信されるようです。
webサイト内にリンクがあるそうなのですが、
まだ見つけていません。。。。探します。 

 


 


 

 

 


持続可能な開発目標(SDGs)のカードゲーム実施

2017-10-26 21:01:52 | 生物教育に関すること

SDGsカードゲームとは


生物基礎の生態系分野では「カワウ教材」を扱っていました。

カワウの専門家、遠藤さんが教材化した「カワウ問題」を、
私の勤務校用にカスタマイズしたものです。

一昨年の異動時、ペーパークラフトのカワウも一緒に異動してきました。
しかし、カスタマイズを試みましたが思うようにいかず、、、、、。 

諦めました。


で、どうしたかというと、
「カワウ問題」という一視点だけではなく、
経済や社会との関わりまでに範囲を広げ、SDGsについて扱いました。

私にとっては、
高校生物を担当してから学ぶことが多かったこの分野。
この単元でSDGsを扱うために、
イマココラボさんの講習を受けてきました。

単にカードゲームのレクチャーだけでなく、
SDGsに関するこれまでの取り組みも学ぶことができ、
さらに、ファシリテーション方法もトレーニングしてきました。

授業では、
生態系とその保全に関して、
「地球とのつながりを考えよう」という大きなタイトルで学習をスタート。
SDGsカードゲームを実施することで、
生態系の保全を「自分ごと」として捉える生徒が確実に増えました。

授業担当者のファシリテーション能力も勿論大切ですが、
やはりコンテンツの強みってスゴイ、と思いました。

ただ、カスタマイズにそれなりに苦労することは、 
どんな教材でも同じということも、改めて確認しました。 

 

 

 





 


対立構造は終わりに近づいています、塾と学校の関係。

2017-10-21 08:59:28 | 最近読んだ本

みかづき

クリエーター情報なし
集英社

 

戦後まもなくから現在までの「塾」を巡る人々のフィクションです。
フィクションと言っても戦後の教育史はそのまま描かれており(多分)、
教員だった祖父や叔父たちの話、自分が児童・生徒だった頃や職に就いてからの経験と自然とリンクし、復習するような感覚が何となくありました。

舞台となる塾の所在が千葉県の第2学区あたり。
私立学校に勤務していた頃に塾周りに関わっていた地域でした。
塾は児童・生徒に学校を紹介してもらうための大切なお客様。
「粗品」を持参して営業に回るのですが、
個人塾の経営の厳しさは、訪問先でも、集計した資料からも感じていました。

また、公立中学校に勤務先を変更した後は、
定期テストや進学先を巡って、担任と塾が静かに対立している状況にも遭遇しました。
対立に意味がないことは明らかです。
ただ単に互いに批判していても建設的ではありません。

自治体によって差があると思いますが、
この本に書かれている状況より、連携はかなり進んでいると思います。



「今回のことでわかった。子どもっていうのは、顧客であって、顧客じゃない。だって、入退会を決めるのも、お金を払っているのも、彼らじゃなくて保護者だから。塾に通ってくる子どもたち自身は、いつも、どこまでも無力なんだよね。その点で他のビジネスとは絶対的にちがうって気づいたら、もう、今みたいな商売のやり方を続けていくのが怖くなっちゃって(p328)」


私自身は、塾に関わった経験はありません。
でも、私立学校で葛藤していたことに重なり、当時のことを思い出した部分です。
極端に表現すれば、子ども中心でも、教員中心でもなく、保護者中心。
教員である自分たちの生活が掛っているから仕方ない、
そんな思い込みで組織に対する理念を疑いもしませんでした。


塾との関係も、
お客様から、対立業者?、そして現在はwin-winに、
どんどん変化しているのかな、と思い、このタイトルで書き始めましたが、
ただ単に、自分の所属が変わったから感じたことなのか?
何が言いたいのかよく分からないまま投稿ボタンぽち。