日々のできごと。生物準備室より

理科教育、生物教育に関して考えたことをぼちぼち更新。たまに授業実践報告をします。

真正の学習

2018-12-16 23:03:44 | ワークショップ・研修に関すること

現代アメリカにおける学力形成論の展開・石井英真(2011)東信堂 p183

 

この図、だよなぁ。

この図の①②の違い、だよなぁ、、、、。

知識発見型の①と、
知識構築型の②の教師の立ち位置の違い。

次期学習指導要領に関する資料や書籍を読んていると、
あくまでも①の域を越えていないところに物足りなさを感じます。

ただ自分自身の読解力が不足しているだけでしょうか、、、。

①で慣れ親しんだ場合、
それは教師であっても学習者であっても、ですが、
②の環境は心地よいものではなく、
受け入れにくいと思います。

だから敢えて前面に出ない?


授業見学の楽しみ方?(2)

2017-12-22 10:55:59 | ワークショップ・研修に関すること

先日は都立高校のI先生の授業も見学させていただきました。

単元は「恒常性」。
まずは、ヘモグロビンの酸素解離曲線を説明する、というお題でした。

説明しなさい、でどこまで掘り下げるかは本人次第です。

講義型の授業では、見学者も知識が伝授される時間です。
レジェンドI先生の授業はそれだけでも十分満腹になります。


説明しなさい、に変わったとき、

まず、自分で説明しようとしていました。
次に生徒がどこまで説明しようとしているか見立てていました。
また、生徒がどんなことにつまずきやすいのか、情報を収集していました。
そしてI先生が、どんな足場かけをするのか予想し、
外れたのでがっかり?していました。

その後、酸素解離曲線に対する疑問がふつふつと湧いて出ていました。

(例:心臓から毛細血管までの酸素濃度はグラデーション?)

この状態になると生徒の学びに焦点を当てることなく、
自分や、一緒に見学した方々と問題解決を始めていました。

 

同じ教科・科目ならではのワクワクです。



あとは、教室整備等のハコモノの観察もたまに楽しみます。

校種が異なる方が、気づきが多いような気がします。


目的が決められた研修や授業の一環としての授業見学はもちろん大切ですが、
自分の欲するままに見学するって、

贅沢な休暇の使い方だなぁと思いました。

 



授業見学の楽しみ方?(1)

2017-12-20 22:10:57 | ワークショップ・研修に関すること

K市にある公立中学校Ⅰ年生理科の授業を見学させていただきました。

音の単元4コマを
問い作り→コース別の課題に取り組むという流れで、
その3時間目の見学です。

まずは教材を観察して楽しみました
音に関するどんなことを調べてもいい、と言っても、
紙コップや各種ひも、風船、ストローのような定番がほとんどではありますが、
自由に使っていい、というのは超魅力的レベルです。

そういえば、以前、中1クラスを担当していた頃、
結構、自分が楽しかったことを思いだしました。

音導入の記録

そんな中でも一番惹かれたのが、この一品。

 

 

スピード 浅漬けメーカー 即席 漬物器 漬物容器 BPK1
 

イマドキの中学校理科では当たり前なのかしら?
おっもい真空装置を運んだら、
グリスがTシャツについてアァァァァ状態、
ポンプ頑張れー!!という状態で無意味に励ましていたあの頃。
当時も流通していた商品だったのかなぁ・・・?

素敵すぎるこの一品をチョイスする生徒のみなさん、
特にあるボーイズ班のみなさんの取り組みがオモシロイ!!

いろいろ試した挙句、
少量の水を容器に入れ、水を含ませたスポンジも入れて空気を抜いたらどうなる?
という話に。

圧力をかければスポンジは収縮する、
空気を抜くんだから、その逆だよな、、、、水を吸うはず?

 でも実際に空気を抜くと、
スポンジはほとんど変わらず、水だけが容器に溜まっていって

オオオオオオオオオオー!!



じゃあ、空気を入れたら、スポンジが水を吸うのか?

でも、実際に容器を空気に入れると水しぶきが上がって、

うおおおおおおおおお!!
 

そもそも、今日の授業は「音」の単元で、「圧力」ではないよ。
そんなことを男子ズに心の中で伝えた時、
単元ってそもそも大人の都合だよなぁ、と
はっとさせられた感じがしました。

思い込んでいることが、きっとたくさんある。
それなら、自分の思い込み発見を楽しもう!!
と思ったら、
いや〜出るわ出るわ。

例えば、実験器具は班ごとのトレイにきちっと収納して貸し出し・返却する、
これが美しい姿である、とか、
実験器具は壊してはいけない、とか、

思い込んでる=悪いこと、ではないのですが、
学習者も授業者も苦しむような思い込みは成仏させたいなぁ。。。。。


今回は集中しませんでしたが、
授業者のI先生の言葉かけや距離の取り方等、
生徒との関わり方をじっくり観察して楽しむ!!
 ことも好きだなぁ。


もう一つ、いつも可能ではありませんが、
授業見学者の観察も楽しいと今回は感じました。
考えていることまでは分かりませんが、
動きは明らかに異なるので

何通りもの楽しみ方を可能にしてくれたI先生、
どうもお世話になりました!!




 


ゲノム編集の倫理

2017-11-19 19:32:20 | ワークショップ・研修に関すること

今日はこの講演を聞いてきました。
ゲノム編集の説明は、ほんとにさらっと、切ってはるぐらいの感じ。
「倫理」がメインだからそんなものですかね。

ヒトの多様性の重要性を考えたら、
ゲノム編集によって「クリーニングされた社会」になることは、どうなのか?
そんな話が途中でありました。


病気か否かは、人間が決めている。
手を入れることが可能な技術と禁止する技術も、
生と死も、人間が決めています。
治療とエンハンスメント(能力の強化と訳していた)の境目、
これも人間による線引きです。


各国の取り組みの差について話が及んだとき、
ドイツは過去の歴史から慎重であること。
だから進まないが、結局、近隣の国で遺伝子関連の医療を受けている現状だそうです。
歴史、とは、かつての優生思想のことを指していると思われます。
考えるべき要素が複数あることだけが、
この時間に得たものでした。


生命倫理の関する問題を解決するためには、
医学、科学、政策、そして当事者の共同的な働きが必要。

そんなようなまとめがなされた時、

あ、教育ってここでは挙がらないんだなぁ、と
違う目で現実を見たような気がしました。



高校生物で扱うのは、あくまでも「ヒトの遺伝」。
「人間の遺伝」を法や歴史から考える時間ではないのです。

(もちろん考える時間を設けることは問題ないのですが、
授業時間数という大人の都合で躊躇します。)

もし、教科横断的な時間割を組むことができるのならば、
真っ先に取り組んで見たい題材です。


 


 

 

 


対話型授業検討会(その2)ポスト体験?

2017-11-17 18:06:34 | ワークショップ・研修に関すること
先日の研修会&授業公開時に、
自らの授業で参加できなかった同僚でランチタイムに集結。

研修会参加の同僚にも協力をお願いして、
対話型授業検討会の追体験を実施しました。

もともと、ランチタイム20分でできる事は限られています。

パワポ資料だけでは、伝わらない情報もたくさんあります。

そんな状況でしたが、


やっぱり、もう少し時間が必要だね、

に加えて、

繰り返しが必要だね。

と話が出てきたのが、素直に嬉しい時間でした。



特別な空間ではなく、
日常に落とし込む。



次の段階には殆ど進めませんでしたが、
校風通り、のんびりのびのびと。
校風にはないけれど、しなやかに。



教科会でホワイトボード・ミーティング(WBM)

2017-11-15 20:29:27 | ワークショップ・研修に関すること

K市の中学校に実験助手として勤めていた頃、
金曜3限あたりに、理科会のコマが時間割に組み込まれていました。
2つある実験室の使用調整や、進度確認、試薬の発注などの打ち合わせ、
時には実験方法の伝授等に費やされていました。
教科内OJTですね。
その頃、そんな横文字は使っていませんでしたが。 


その後、3校経験しましたが、理科会は皆無。
学期に1回、集まる程度でした。

K市の中学校の理科会でやってきたことは、
そんなに難しいことではないハズ。



ということで、
(どういうことだ?)


今年度はチャレンジしています。

毎週の理科会で各自の取り組み(やその他)を共有します。
共有のために活用しているツールが、
ホワイトボード・ミーティングです。 

授業者の振り返りに特化している訳ではないので、
授業の検討に最適だとは思いません。

でも、その場でのフラットな関係性作りには最適なツールだと思います。
(実際にはベテラン2名の大きな愛が前提ですが)

発散 → 収束 → 応用 

という基本的な流れは、
様々なところでしっくりきます。

とにかくまず、発散させないと、
その先が薄っぺらいのです。

物化生地に分かれる高校において、
科目の専門性にこだわりすぎると、
互いに補う?刺激し合う?ことは難しいのでしょう、きっと。


改めて説明する必要が無いかも知れませんが、
授業は専門知識を伝授する場では無いのだから、
いいんですよ、「理科」というゆるいつながりだけでも。

不安なまま、
5月からWBMの進捗会議を続けてきました。
そろそろ次の段階に行けそうです。 



 


「対話型授業検討会」を研修会で実施(その1)

2017-11-13 23:22:36 | ワークショップ・研修に関すること

その2以降があるか分かりません。

研修会の企画・運営・終了後のインタビューを通して考えたことを、表にしてみました。

もちろん、表に偏りがあります。

先に言い訳してみました

まだ、何となく、ですが、
何が目的で、他者の実践に関わるか、
また、他者に関わってもらうか、
明確に意識しているかどうかが大切なのではないかな、
と思います。

とりあえずアップ。






 


対話型授業検討会

2017-11-05 14:06:20 | ワークショップ・研修に関すること

対話型授業検討会をテーマとした研究協議会を見学させていただきました。
昨年、共に学んだ学卒院生の皆さんが企画に携わる会で、
東京都高等学校国語研究会の主催です。
授業公開はもちろん、協議会のなかで行われる模擬授業もオール国語の授業。
余計なことは考えられない状態で、
生徒の役割をわざわざ演じなくとも、
ありのままででノープロブレムでした。

今回見学させていただいて、
対話型授業検討会の強みは、
今、まさにここで起こっていることに着目し、
その時の考えや感情に焦点を当て、
よりナラティブであること、だと思いました。

教材開発・研究をする上では感情の部分はそぎ落とし、
より一般化することを目指します。
しかし、一般化されている森だけを見ていると気づかないことが山ほどあります。
視点を森と木の間で行き来することで、
自分が何を当たり前としているかに気づきやすくなるのではないか、と思いました。

 

検討会では、授業者・学習者双方のwant,do,think,feelに着目します。
授業者フルボッコ会では勿論ありません。
アドバイス会でも、べた褒め会でもありません。
修造もバンデューラも登場しません。

昨日の参加者の中に、
「自分は、どうしたらいいか教えてほしい方です」
と改善方法を求めている方がいらっしゃいました。
教授・伝授型の授業研究会に慣れてしまうと、
もしかしたら、教授・伝授型の学びに慣れてしまうと、
教員自身がアクティブラーナーになれないのかも知れません。
一方、上から目線であれやこれや言われたくない、
と思うケースも多くあると思います。
授業者本人が問題だと思っていないことをあれやこれや言われても、
余計なお世話、でしょう、多分。

生徒の学びと同じく、
授業者も自ら
why?が出てこなければ学ぶことはできないと思います。

自らの授業を振り返り、自ら問いをもつ、
このチャンスを検討会を通して得られる
と思います。


その先の解決策を検討する段階になって、
初めて専門家の知見や他者の経験談が必要になります。
生徒も教員も多分、このあたりは同じような気がします。
 

この検討会でのキーは「対話の成立」だったと思います。
私が見学した分科会では、
上から目線での教授・伝授が始まるシーンはありませんでした。
参加者の関係がフラットだったのです。

任意の研修会なので、そもそも負のオーラを発する参加者はいません。
しかし、参加者の職業上?、教えることに抵抗がない集団です。
特に同じ教科同士なので
「ここはこうした方が良いのでは?」のような発言がでるのではないかと、
ひやひや(少しわくわく)していました。

検討会の後も、
何故、フラットな関係をあの時間だけでも築けたのかということが話題になりました。
授業見学や模擬授業中に、
「生徒の役割」を果たし
「生徒の視点」を意識してきたことで保てたのではないか?
という結論に至りました。

では、フラットな関係を保つためにはどのような意識が必要なのか?が次の疑問でした。
私が検討会に参加し、「生徒の役割」を果たそうとしたら、
まず、邪魔になるのは、大半の生徒にはないであろう自分の経験や価値観、
当たり前だと処理している認識だと思います。
それは授業方法であったり、進行方法であったり、
同分野であれば教科の知識であったり、いろいろあると思います。

目の前で起こったことに対して自分の
want,think,feelが動いたとしたら、
何かしら自分の内側にある経験や価値観などにアクセスされているのではないかと思います。
この自分の前提を自覚した上で話すか否かが、
価値観の押し付けになるか、
授業者も見学者も共に学習する場になるかも分かれ道ではないか、と思いました。

フラットな関係って、
相手の認識を尊重するだけでなく、
自分の認識を自覚することも大切なんです、きっと。


フラットな関係を築いた上で対話を深めるために必要な要素は?と話題になったとき、
「発散」というワードが浮かび上がりました。
そこから先は、
ホワイトボードミーティングで習得(しようと)した「発散」「収束」「活用」の流れと、
オープンクエスチョンの有効性が浮かんで、
別のもやもやが出てきそうなところで韓国料理のお店へ。

トッポギ、美味しかった
 


スペシャリストとレジェンドの授業を見学しました。

2016-05-28 18:43:38 | ワークショップ・研修に関すること

都立K高校の生物の授業を見学させていただきました。

学びの語源が真似ること?だとしたら、
同じような環境でしか学びは成立しません。
「凄いね、でも○○だからできるんだよね」に陥らないように、
テーマ設定を
1)学習者の特徴
2)ファシリテーターとしての担当者の視点で見学させていただきました。



1)のきっかけは勤務校の同僚(若手)に、
異動するなら近隣の高校がいい、
進学校はできれば避けたい、
できれば今の地区の素直な生徒さんたちと接していたい、
進学校の生徒さんは怖いイメージがあるから、

という話を聞いたことにあります。

分かるような分からないような・・・
確かに近隣の学校を異動し続ける同僚は少なくありません。


また、K高の生徒さんは「教師の勢力資源」として
何を基にしているのかにも興味がありました。
(早稲田大学の河村先生が分類したもので、高校の場合は教師の人間的魅力、教師役割の魅力、罰・強制性の3種類)


見学を通して「怖い」のイメージが何となく分かりました。
あくまでも勤務校と比べた個人的な感想ですが、
人なつっこさや気遣いに差を感じました。
何か少しシビアかも知れない、このクラス。
このくらいの緊張感が保たれなければ、大学受験では闘えないのかも知れません。


たまたま近くで見学していたグループでの話題が、
「DNAの複製と転写の差が良く分からない」というものでした。

複製と転写の混同は、
以前、K高校で質問紙調査をさせていただいた時にも、
少数ながらも起こっていた誤理解です。

B社のTさんもそのグループのそばで見学されており、共に会話に入りました。
どこまでOKなのか探りながら、少し誘導的な言葉掛けをしたところ、
グループの一人が、見事に複製と転写の物語を語っていました。
細かいメカニズムに捕われ、必然性や大まかな流れを見失っていたようです。

理解がはやいね、やっぱり凄いなぁ、と声をかけたところ、
「K高生がすごいんじゃないんです。一年生の時に、このあたりの詳しい内容まで勉強しているから、当たり前なんです。既に知識としてはあるので。」とのこと。

愚問と分かりつつ、
知識を積み重ねる作業、暗記とかって苦に感じること無いの?と重ねたところ、
お互いに顔を見合わせて、えっ?という表情。

ま、当然のことだよね、と話すと、

「自分で読んでいても、問題を解いていても段々楽しくなってくるんです。だから苦ではないですよ。」

そーだよね、やっぱり愚問だったよね・・・。

自己効力感がある生徒は強いナリ・・・。

彼らが1年次の生物担当者の話になったので、
どんな先生のどんな授業が好きなのか聞いてみたところ、
教師役割の魅力よりも教師の人間的魅力についてのエピソードを聞かせていただきました。

「研修」とは「研究・修養」のことだから、修養の部分も必要だよね・・・と再確認。

そのグループのみなさんとの会話の中で
「K校では自由が認められるけれど、社会に出たら自由は認められない」
という話が印象的でした。
Tさんからのアドバイスも腑に落ちていないようでした。
そして、どちらかというと悲観的な口調での語りでした。
高校生が抱える不安は、多岐にわたっているようで、
実は「自由」に絡む共通項も多いのではないかと何となく思いました。

 

2)K高生の授業を通して、
勤務校での自分の授業をどう組み立てようか考えながら見学しました。
インストラクションの方法、課題の提示法、評価方法・・・
そして安心できる場作りの妄想です。

似たような集団よりも差がはっきり分かる集団を観察した方が、
学習者集団の強みや弱みがクリアになって、
妄想しやすいような気がしました。

最近、履修している授業の多くで、
ヴィゴツキーのZPDが出てきます。
この理論も学習者の現状把握あってのものなので、
妄想材料は自分で調達すべし。

クックパッドに全信頼を寄せることは危険です、はい。

 

 

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