そろそろ4月だというのに、北海道は未だ銀世界ですが、ロードレースは1月のダウンアンダーを皮切りに、春のクラシックへと突入しています。今季グランツール制覇を狙う大物たちも、パリ-ニースやティレノ-アドレアティコで早くも熱いバトルを繰り広げています。
パリ-ニースはやや手薄なメンバーながら、今季からSKYへ移籍したリッチー・ポートが総合優勝。サクソバンク時代にはシュレック兄弟やコンタドールのアシストとしていい働きを見せていたポートですが、フルームがティレノへウィギンスがヴォルタへと回ったことでチャンスを貰った格好ですが、数少ないチャンスを確実にモノにする辺りはさすがにポートといったところです。
一方、ティレノ-アドレアティコはコンタドール、フルーム、ホアキン・ロドリゲス、ニーバリといった今年も確実にグランツールで総合優勝争いに絡むであろうメンバーが顔を揃えました。ニーバリが連覇し、フルームが2位、コンタドールが3位という結果でしたが、パリ-ニースもそうでしたが今季のSKYのチーム力は相当なもので、ステージ優勝ではなく総合優勝狙いができる強力なものになっているようです。
ウィギンス・フルームの2枚看板にリッチー・ポートが加わり、この3枚の内2枚が機能すればコンタドールの牙城を崩すことも十分に可能な域に達していると見ています。そのコンタドールですが、ツール・ド・サンルイスの第6ステージで優勝はしたものの、ツアー・オブ・オマーンではフルームに完敗。ティレノでは個人TTが振るわずフルームばかりかニーバリにまで遅れを取っているのです。昨年のブエルタ・ア・エスパーニャでは復帰直後ということもありましたが、コンタドールらしからぬ走りでしたし、今年ここまでの成績を見る限り、昨年のブエルタ・ア・エスパーニャ同様に得意の登りゴールでライバルに勝てない状況は変わっていないのです。
3週間のグランツールでの実績は一番ですし、3週間の闘いなら何とかなるかもしれないと思う反面、往年の爆発的な登坂力が影を潜めているのが気がかりです。昨年のブエルタ・ア・エスパーニャでの勝ち方はブランクを考えると感動的ですらありましたが、今年も同じ勝ち方しかできないとなると、コンタドールが第二のランス・アームストロングになる可能性も出てきます。
ドーピングを続けて7連覇したランスが、もしドーピングをせずにツール・ド・フランスに臨んでいたら今のコンタドールのような負け方をしたのではないかという想いが払拭できずにいるのです。ランスの背信は見る者の心にも大きな傷を残してしまったということなのかもしれません。
本来、コンタドールは好調不調の波の少ない選手のはずで、グランツールなら大会期間中だけでピーキングの調整ができる数少ない選手なのです。それが、2010年のクレン・ブテロール疑惑以降、爆発的な登りの強さがすっかり影を潜めてしまっているのが気がかりなのです。
勿論、コンタドールの脚質が分り、各選手がそれなりの対応を見せるようになっていることもあるでしょう。ティレノでも再三アタックを試みていたようですが、結局、全て不発に終わっているのです。1982年生まれの31歳ですから、自転車ロード選手としては老け込む年齢ではありません。
SKYはウィギンスでジロ・デ・イタリアをフルームでツール・ド・フランスを狙ってくると思います。純粋な登坂力ではまだこの二人には負けないとは思いますが、チーム力を含めた総合力を考えた場合、今の時点ではコンタドールに黄色信号がともっていると考えても良さそうです。