ペーター・サガン23歳、昨年のツール・ド・フランスではマイヨ・ヴェールを獲得し、押しも押されもせぬスプリンターの座を確固たるものにした。2010年に若干20歳の若さでパリ・ニースでステージ2勝など華々しいデビューを飾ったものの、チームの方針でグランツール出場は一昨年のブエルタ・ア・エスパーニャと遅れましたが、昨年、初出場のツール・ド・フランスでカヴェンディシュを抑えていきなりマイヨヴェールを獲得。
昨年秋にはジャパンカップにも来日してくれました。今年はツアー・オブ・オマーンでステージ1勝を挙げ、直前のティレノ・アドレアティコでも2勝を挙げ、優勝候補の大本命として迎えたミラノ・サンレモ。雪の影響で途中53キロがカットされるという過酷なコンディションの中、優勝争いは白熱したものとなりました。
勝経験者のマシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)や、ティレーノ~アドリアティコ覇者ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)といったビッグネームが相次いでリタイアする中、ゴールまで30kmを残して逃げは全て吸収。
レースが本格的に動いたのは高低差234mのチプレッサ(平均4.1%、最大9%)でした。まず飛び出したのは絶好調のシャバネル。TVではリタイヤの情報が流れていたのに・・・続くテクニカルな下りで今度はジルベールが動き、サガンやカンチェラーラが反応。この下りで優勝候補がほぼ絞られることになりました。
そこからイギリスチャンピオンのイアン・スタナードが飛び出すとヴォルガノフとシャヴァネルが反応し、この3人が先行する形で高低差136mのポッジオ(平均3.7%、最大8%)を駆け上がる。
結果からするとこのアタックが大本命のサガンを苦境に陥れることになってしまったようだ。この段階ではまだモレーノ・モゼールを残していたキャノンデールだが、やがてモゼールが力尽き、サガンは単独になってしまった。ポッジオの下りを単独で攻めるサガン。かなりウエットでスリッピーな下りで、見ている側がハラハラするほどでした。
ゴールまで残り3kmの地点で先行したシャバネルとスタナードにサガン、カンチェラーラ、チオレック、パオリーニの4人が合流。このままゴールスプリントになればサガン有利と誰もが思ったはず。怖いのはカンチェラーラのロングスパート。しかし、カンチェラーラは動かない。幾度となくカンチェラーラのロングスパートを封じてきたサガンを意識してのものなのだろうが、見ているこちらが戸惑ってしまう動きだった。
ゴール前の牽制から先に動いたのがシャバネル。サガンがとっさに反応する。直後にチオレックとカンチェラーラ。『早い、早すぎる!!』と思ったが既に遅かった。絶妙のタイミングでサガンの背後から飛び出したチオレックに差されしまう。腰も上げずにグイグイとカンチェラーラもサガンに迫る。かろうじて2着は確保したサガンだったが、クラシック初制覇の夢は脆くも崩れ去ってしまった。
力負けでは決してなかったと思っている。これがステージレースにはない大本命の難しさなのだろう。シャバネル等の逃げを自ら動いて捕まえなければならなかったことで大分脚を使ってしまっていたようだ。また、この日はカンチェラーラがスプリント勝負に出るという予想外の展開もあった。サガンにとっては実に悔しい敗戦となってしまったが、この経験は必ず次に活きてくると信じている。
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