自転車に乗る時の最大の敵は空気抵抗です。時速30kmの速度域においては全体の抵抗の約80%は空気抵抗だと言われています。近年ロードバイクのエアロ化が進んでいますが、高価なディープリムホイールやエアロハンドル等差新機材を取り入れても、その割合は20%に過ぎないのです。
僅か2割に高額を投じる前に、自分の身体の空気抵抗をいかに削減できるかを考えてみることにしましょう。空気抵抗は物体の前衛投影面積に比例して大きくなることは誰にでも分かるはず。バイクフレームやホイール、エアロハンドルにステム等は流体力学に基づいて設計されるようになっているのですが、人の身体の空気抵抗はどうすれば減らせるのでしょう。
最近ロードレースをTV観戦する機会が増えました。プロのロードレーサーから私たちが学べることが少なからずあります。勿論、あのような大集団の中を高速で走ったり、100km/h近いスピードで下るテクニックを真似ようという訳ではありません。学ぶのは彼らのフォームです。
私がロードレース観戦から離れていた10年ほどの間に、選手のフォームに変化がありました。それはハンドルを握る位置の変化でした。且つては、下ハンや上ハンを持つ選手が多かったのですが、今はブラケットを内側に絞り込むように握るフォームの選手が増えています。
では、何故このような変化が起こったのでしょう。「サイクリストの上腕の空気抵抗は体の他の部分の前面面積の空気抵抗とほぼ近い」ということが科学的に証明されて来たためです。肘が広く開いていると上腕が作り出す空気の乱れによってエネルギーが失われてしまうことによるものと考えられることが原因です。また腕は極力前方に伸ばした方が、上腕の断面が円(乱流が起きやすい)から楕円(乱流が起きにくい)に変わるので空気抵抗を削減できるのです。
過去には過去2度アワー・レコードを更新したグレアム・オブリーが生み出した、腕を胸の下に折りたたんだ「オブリー・スタイル」と手を前に突きだした「スーパーマン・スタイルなどもありましたが、いずれもハンドル操作が難しく危険ということでUCIで禁止とされてしまいました。
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