古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第二十章 乍恐奉申上返答口上覚ひかえ其の五十九

2014年02月19日 23時39分08秒 | 古文書の初歩

乍恐奉申上返答口上覚控え、第十ページトップ上の5~6行目

解読 

無故障支配仕来り当村領ニ相違無御座

猶又当村より吐生村へ往来道も御座候付

読み

故障無く支配つかまつり来たり、当村領に相違御座無く

猶又当村より吐生村へ往来道も御座候に付き

解説

「無故障」・・・故障無く。 「猶又」・・・なおまた。読むのは難しい。 「吐生村」・・・『はぶむら』、有田上村の北隣の山村です。此の字も難解ですねぇ。「往来道」・・・行き来する道。道の字も難解です。 最後は「而」なのか「付」なのか正確には分かりにくい。「而」であれば「候て」と読みます。

 

 


第二十章 乍恐奉申上返答口上覚控え、其の五十八

2014年02月19日 09時17分40秒 | 古文書の初歩

乍恐奉申す上返答口上第十ページ、上の第3~4行目

解読

其段御断申上御座候此節右之品

御調被為成下候様尤右申上候通り往古より

 

読み

其の段お断り申し上げ御座候。此の節右の品

御調べ成し下せられ候様、尤も右申し上げ候通り,往古より

解説

「其段」・・・これも読むのは困難です。御断・・・お断り。申し上げ御座候・・・申し上げました。 此節・・・此の節。この際。 右之品・・・右の事情。

「成し下せられ候様」・・・丁寧語です。お調べ下さいます様。 「候様」も大変難しい。 


第二十章 乍恐奉申上返答口上覚控え 其の五十七

2014年02月18日 06時35分20秒 | 古文書の初歩

 

「乍恐奉申上返答口上覚控え」第十頁、上の1~2行目

 

解読 難渋相重候故、是与り内ニも御裁許奉願

    筈ニ御座候処、田畑元付等差支申候ニ付

読み 難渋相重なり候故、是より内にも御裁許願い奉る

    筈に御座候処、田畑元付け等差し支え申し候に付き

 

解説 初めから難しい字です。「難渋」・・・『なんじゅう』、難儀する事。貧乏な事。 次も難解です。「相重」・・・相重なり。 続いて「故」。難儀なことが重なったので。  「与り」・・・より。「与」はヒラカナの「よ」。 「是より内にも」・・・ここの意味が分かりません。 「御裁許」・・・裁決して許可すること。 「奉願」・・・願い奉る。 「御座候処」・・・「候」は「座」の下の伸びたヵ所で、続いてmの様な字が「処」です。  「田畑元付」・・・この意味が分かりません。推定ですが、田畑に稲や麦などを植え付ける事かと推定します。 「ホ」・・・等。 「差支」・・・「差し支え。 「申候ニ付」・・・申し候に付き。一番下の縦に長い字が「付」です。


第二十章 乍恐奉申上返答口上覚控え 其の五十六

2014年02月17日 07時59分43秒 | 古文書の初歩

「乍恐奉申上返答口上覚控え」第九頁、上の12~13頁

解読 不申近年ハ秋作も殊之外凶作打続候上

    當麦作不怪不作仕旁以弱百姓共至而

読み (遣わし)申さず、近年は秋作も殊のほか凶作打ち続き候上、

    当麦作不怪不作仕り、旁『かたがた』以て弱百姓ども至って

解説 「秋作」・・・秋の作物の収穫。稲作の事と思われます。 「殊之外」・・・教えて貰わねば読めません。 「凶作」・・・簡単な字ですが、読むのは困難です。 「打續候上」・・・「續」は「続」の旧字体です。 「當麦作」・・・今年の麦の作柄、取り入れ高。 「不怪不作」・・・「不怪」という熟語は辞書にありませんが、「疑わしくない」という意味で、「間違いのない不作」と解釈しておきます。 「旁以」・・・『かたがた以て』、どちらにしても。「旁」という字は「寺」の様にも見えます。 「弱百姓」の次は「共」、弱い百姓ども。 最後は「至而」・・・至って。たいへん。


第二十章 乍恐奉申上返答口上覚控え 其の五十五

2014年02月16日 07時00分27秒 | 古文書の初歩

「乍恐奉申上返答口上覚控え」第九頁、上の10~11行目

解読 右山御差留被為成稼人并仕入方之者共

    難儀仕歩銀等小前之者共江割賦も得遣シ

読み 右山お差し留め成させられ、稼ぎ人並びに仕入れ方の者ども

    難儀つかまつり、歩銀等小前の者どもへ割賦も得『え』遣わし

解説 「右山」・・・右に述べた霞ヵ谷山の事。 「御差留」・・・禁止する事。現状変更の禁止措置。 「被為成」・・・「被」=られ。「為成」=成させ。合わせて「成させられ」。「被」は敬語になります。役所が、この山に手をつける事を禁じられた。 「稼人」・・・山の作業で賃仕事をする人。 「并」・・・「並」、「並びに」と読みます。 「仕入方」・・・材木・雑木等を仕入れて商売する人。 「歩銀ホ」・・・「歩銀等」・・・「歩」はともかく、「銀」が超難解ですが、何度も出てきます。山林賦課税等。この場合は「賃金」の意味かも。 「小前之者江」・・・小百姓へ。その日暮らしの貧しい村民へ。 「割賦」・・・何回かに分けて賃金など支払うこと。 「得遣シ不申」・・・「得つかわし申さず」。よう渡す事が出来ない。「得」と「遣」の崩しは形で覚えましょう。