宝満山研究会(山岳宗教遺跡の保全と研究)

大宰府の北東に聳える宝満山の歴史的価値を掘り起こし、山の保全を考える会です。

花盗人のはなし・・・

2009-06-12 | Weblog
宰府の村うちの古株の方から聞いた話。
「昭和30年代くらいまでは庭木は
山から下ろしてくるもの、
程度に考えられていたので、
当然シャクナゲは山に採りに行っていた。
その後に採ることが悪いことと言われるようになって
ちょっと面喰った感じだったが、行かなくなった。
宝満のシャクナゲはいきなり宰府に下ろすと、
気候の加減などで枯れてしまうものが多かった。
そのうちに知恵のあるものが、一旦山裾の北谷に下ろして
数年落ち着かせたやつを宰府に下ろしたところ
うまく育ったのでそうするようになった。
それが続くと山から下ろしたその足で、北谷の知り合の
ところに持ち込んで代わりになにか庭木をもらって帰る、
なんてことをするようにもなった。」

ちょっと前のむかしまでは里の人にとっては
山の恵みをもらってくる、程度の感覚で
宝満山中のシャクナゲを掘り取っていたようです。
いきなり盗人になってしまい驚いた、という話は
時代の雰囲気を知ると理解される話に聞こえました。
公平に考えて、公平に書く・・・日々勉強です。

ちなみに・・・実生のものは花粉の自然交雑の
結果が反映されてしまうので、コピーとしては
枝が下りて分株したものや挿し木のほうが
オリジナルに近いもの、とおっしゃった上で、
「宝満山中に自生していたシャクナゲはかえって
里にあるバイ。うちの実家にも俺が中学校の時に
岩の間から生えとったのば下ろしてきた株が
立派にあるバイ!」とのこと・・・う~ん。

しかし、明らかに宝満シャクナゲ会の活動初期の
山中のシャクナゲの様子はほとんど絶滅状態のようなので、
里人がちょっと失敬、という程度のことではなかったようです。

ちなみに・・・先ほどの思わず花盗人になってしまったOさん。
 しっかり第3回の宝満シャクナゲ会の植樹に参加され
 罪滅ぼしをお済ませになったようです。