何から書いたらいいのだろう?
その日の晩に書いた日記はそういう出だしで始まっていた。
それくらい一日目でいろいろなことがあった日だった。
今日はウォーミングアップがてら、30km先の
山小屋まで行く行程。
距離だけ見れば全く難しいことはない、へたしたら
2,3時間で到着する距離だ。
しかし、行程表には約600mの標高からスタートで、
ゴールの山小屋が約1900m。
1300mの高低差を登ることになる。
これって、やっぱりしんどいよね?
そうは思ってても進むしかない!
ブルーデンスの駐車場をお昼1時に出発し、
山に向かって進んでいく。
もちろん登りで舗装道路。
この先の長い行程を考えても軽いギアで足を回していき、
足に負担が来ないように進んでいく。
今回の仲間はみんな自分より年齢的には上の人ばっかりで、
登りのペースも同じくらいのペースで助かった。
しかし、快晴の天気。 気温は24,5度くらいで快適なのだが、舗装路の照り返しと言うか、太陽の光が容赦ない。
登りっぱなしなので、汗が半端なくでる。
今日は背中に2リットルのVAAM + MTBに
750mlの水のボトルを準備。 フォークから
そんなにいらないんじゃない?といわれたが、
性格的にあるにこしたことはない人なので、
背中に背負う2リットルは重いけど、飲めば減るかで
持ってきたけど、これが正解。
こんなに暑くて、のどが渇いて、水分はどんどんと減っていく。
道には道路案内がポイントポイントであり、皆が
間違えないように都度チェックをして進んでいく。
舗装からジープ道になり、押しの急斜度シングルラックを
押していく。
景色は登るにつれてどんどんとよくなっていく。
走ってて苦しいものの、景色にかなり助けられる。
上りも一段落して、シングルトラックの尾根道ぽいところを進み、少し、道に迷いながらも、現地の人に道を聞いて、進む。ここからいったん下りとなり、途中舗装路に合流し、5,60kmくらいのスピードで下ってく。 下りは早い!
ほっといてもどんどんとスピードがついていく。
気持ちええわーと思ってるのもつかの間。
また登りへと変わっていく。
登りはひたすら登り。
背中の荷物が重く、立ち漕ぎがうまく出来ない。
ずっと座っての座りこぎで、荷物の重さも手伝って、
今度はお尻が痛くなってくる。 我慢しながら、
少しずつポジションも替えながら登っていく。
しかし、この登りは初対面の人とコミニケーションをとるには
良い登りであった。 ウーベは話してて、共通の知り合いがいることも分かったし、ジョーは日本人の奥さんがいて、
日本のことにも詳しかったりと話してどんな人かを理解して、同時に気を紛らわせて登ってく。 フォークはその体系に似合わずと言えば失礼だが、お世辞にもあんな体系で自転車速いの?と思えるくらいの体系なのに、登りになるとすごく強い。数段重いギアをものともせずにぐいぐい踏んでいく。
このときフランクとアレクシーは先行して、かなり先に進んでいたようだ。 アレクシーも膝があまりよくないようで、重いギアは踏まずに、軽いギアでまわしていく。 その回し方が半端じゃなくて、くるくると速い回転で回していくからどんどんと差がついていってしまう。 フランクもロード乗りのようで
舗装ののぼりは強い。
みんなレースじゃないからゆっくりねと言うものの、
各自のペース。 しかも初日でまだ元気だし、高揚する気持ちで乗っているのできっとオーバースピードなんだろう、
これから山道に入る手前の最後のお店でアイス休憩したときにかなり疲れているのが自分でも分かった。
しかし標高はまだ1000mくらい。
あと900mの標高差を登らないといけない。
すでに3時ごろ?
気を取り直し出発。
そこから標高1500m地点までひたすらのぼり、
そこから舗装が終わり山道へと変わるのだが、
放牧されてる牛のカウベルが心地よい音を奏でている。
ええ音やな~と思うも、道は牛糞だらけになってくる。
牛、そのものも道の上にいたりと、なんじゃここは
という感じです。 真横を通り過ぎる牛をなでてみる。
山道に入る前の最後のカフェで最後の休憩。
身体はかなり疲れている。
ここで、南ドイツ、オーストリア、スイスの一部でとても
人気のある飲み物 スピッチーなるものがあるというので
それを飲むことに決めた。 これは単純にコーラとオレンジレモネード(オレンジファンタ)をミックスさせたもので、味は微妙な味だか、疲れた身体に糖分ドリンクがおいしく感じる。
みんな結構疲れてる表情をしている。
このリフレッシュも終わり、再スタート。
ここからジープ道の急な登り。 それが岩岩の一本道になる。
シープ道は乗っていけなくもない角度だが、疲れてて、あと
高地にだんだん行っているのもあるのだろう、息が苦しくなって、MTBを押していく。 岩岩のシングルトラックも完全にかつぎあげ。 全く乗れません。 カウベルの音もだんだんと聞こえなくなってくる。
山間の谷を進んでいるので、風も強く、日も山陰に隠れ
どんどんと寒くなってくる。 動いていると身体は熱く、
風が心地良いが、止まるとその風が凍える風に変わり、
山の厳しさをしる。
今日泊まるはずの山小屋がいつまでたっても見えない。
一同不安になる。
なんてったってすでに6時前。
しかし、進むしかない。
山を登りきると、谷間の尾根道となり、
岩岩の道だが、ゆっくりと乗れるので乗っていく。
進んでいくと遠くでかすかに音が聞こえる。
カウベルだ。
あ、カウベルの音だと思って前を見ると遠くのほうに
かすかに山小屋が見えた!
みんなの顔がほころんでるのが分かる。
先を急ごう! 元気になった一同はほぼ平坦な下りを下っていく。
するとこういうときにトラブルとは起きるもので、
フォークのチューブレスリアタイヤが、何かの勢いで
裂けてパンクしてしまった!
修理をする合間も風は冷たく、凍えていく。
裂けたところにパッチをして、チューブを入れて再出発。
日はどんどんと落ちて行き、山にはさまれて回りはだんだんと
暗くなっていく。 でも山小屋は見えている。
もう少しだ!
道は牛の放牧道でもあるようで、牛が道をふさいでて
進めない。 牛にどいてや~といいながら少しずつ
自転車を進めると、向こうもびっくりするようで、
でもこっちも向こうがびくっとするたびにびく!っとして
止まったりと攻防をしばらくして、最後には牛も
諦めたのか、ようやく道をあけてくれた。
岩岩の道を押したり、乗ったり。
ここで調子にのって乗ってしまい、前転しました。
スピードはほとんど出てないし、背中のバッグパックにも
守られて大きい怪我なし。 左のふとももに傷したのと、
右手をついてちょっと痛い。
保険ないのに気をつけんなーと再認識。
安全運転で進み、ついに山小屋到着!
山小屋についたときは本当に嬉しかった!
身体はくたくた。 お水も完全に飲みきってたので
助かった!という感覚が強い。
長い1日でした。
山小屋は標高1931m。
ここに到着したのは午後8時であった。
今日は1時に出発して、休憩も入れてるが7時間で
距離は28km。 平均時速4km?
なんせ、疲れた。 荷物も重たい。
1日目でこれだと先が思いやられる。
山小屋についたのも8時と遅く、予約もキャンセルされかけていた。 ぎりぎりセーフ。
部屋は4人部屋と2人部屋。
ウーベ、ジョー、フランクと同じ部屋になる。
部屋に荷物を置き、とりあえずシャワーに行く。
シャワー3分3ユーロということで、どないしょと迷ってると
先にシャワーしてた子供がシャワーを途中で譲ってくれて、
子供入れて4人くらいでその3分のシャワーを使いました。
とりあえずさっぱり!
で、洗いきれてない足を水道で洗うが、水が冷たい!
足だけ凍えてしまいそうなくらいつめたい。
ウーベはこの冷たい水でシャワーしたそうだ!?
さあ、晩御飯だ!
遅く到着したので、食堂も片付け気味。
晩飯がミートソーススパゲティーしかできないという。
贅沢は言ってられないのでミートソーススパを食べる。
おいしい!!!!!
空腹で疲れた身体には最高の料理!
しかし、疲れすぎてて入らない。
食べないとしんどくなることは目に見えてたのでゆっくりと食べていく。
バイスビアも飲んで、最高! 落ち着いて身体に力がもどってくると疲れも同時にどっとくるが、ビールとスパゲティーをしっかり食べ、アレクシーとデザートの巨大アップルパイを半分づつ食べて、さらにビールをもういっぱいいただく。
みんなも初日を無事に乗り切ったようで嬉しそう!
盛り上がる! 明日のルートも確認しながらビールが進む。
と、フランクがシュナップス(蒸留酒。 今回は小さい黄色いプラムから作ったお酒ということだった)をもってきた!
異国の地から来た自分とアレクシーに、こっちの文化を体験させたいと買ってきてくれた!
実はフランク怖そうであんまり話をしてなかったのだが、
単に英語が苦手なだけで、実はすごく優しい人ということが
判明! しかものんべーということで、これは気が合うでしょう。 嬉しくなってシュナップスをいただく。
おいしい!
もう完全に酔っ払いで、この日は落ちるように眠りについた。
時間は午後10時半。
幸せ。
つづく