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ウクライナ情勢:選挙をしてはならないという西側

2014-11-04 18:01:01 | 欧州情勢複雑怪奇

しばらくウクライナについて書いてないのでここらでちょっと書いておきたい。結論として、この問題に首を突っ込めば突っ込むほど西側はその価値を自分で毀損する、という法則があるような気がしてる(笑)

ウクライナ東部親ロ派、独自選挙で指導者選出 欧米は反発
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL4N0ST51T20141103

[ドネツク(ウクライナ) 3日 ロイター] - ウクライナ東部の親ロシア派勢力は3日、週末に強行した独自選挙の結果を受けて、指導者を選出したと発表した。ウクライナ政府、および西側諸国は反発しており、ロシアとの対立がさらに先鋭化する可能性がある。

というわけで、またまた西側諸国のメディアネットワークが同じ趣旨の記事を書いているんだけど、で、欧米とキエフ政権がドンバス地区が独自選挙に反発するというのは、どういう意味なのか。

意味というか、では東部をどう治めろと、という視点が完全に欠落しているのが面白いなぁと思ってみてる。

そこに行く前に、現在のドンバスの法的地位に誰も言及していないというのもなぁと思う。

9月のミンスクの停戦合意ではドンバス地区の処遇は決まってないけど、この合意の前に、ウクライナ議会は問題になっているドネツク、ルガンスク地区、つまりドンバスに対して、3年間の自治(self-rule)を認める法案を可決した。

これは当時のBBCの記事。つまり、反ロシアの急先鋒からの記事。

Earlier this week, Ukraine's parliament passed a bill granting a three-year "self-rule" to parts of the Donetsk and Luhansk regions - a move described as "capitulation" by some Ukrainian lawmakers.
http://www.bbc.com/news/world-europe-29290246

こちらはタス通信

Ukraine’s parliament, the Verkhovna Rada, on September 16 passed a law granting special self-rule status to certain districts in the Donetsk and Luhansk regions for three years. Elections to local self-government bodies were set for December 7. The special status law was stipulated by the Minsk agreements.
http://en.itar-tass.com/world/750742

つまり、停戦合意というのはこの上に成り立っている。

ということは、自治(程度問題としても)をさせるとしたら、その中で住民が独自の選挙をするというのは、民主主義的には望ましいことではないのか?

※追記 11月4日付けで、ポロシェンコ大統領が上述したドンバスの特別の地位を取り消すことを考えている、とあるのでこの法律による措置は今も有効ということですね。

Poroshenko’s plan to cancel Donbass special status ‘hysteria’ — Pushilin
http://en.itar-tass.com/world/758013


■ 西側の許可なく選挙を行うことはできない?

この記事、タイトルがとても面白い。

ウクライナ東部 親ロ派「選挙」強行
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2014110302000123.html

選挙を「強行」するって、どういう事態なんでしょうね。

選挙をやりたくない国や地域に向かって、住民の意志を確認することこそ民主主義の基本だ、是非選挙をやれ、というのが西側なのかと思っているんだが、ウクライナ2014においては、住民の選挙であっても、アメリカおよび欧州の許可がなければ実施してはならない、という感じなんだよね。

いいやそれはウクライナ憲法違反だとかいうあたりで議論を作る気なのかなとも思うけど、上で書いたように、もしそうなら3年間の自治を認める法案を可決した時点で議論にしないとならないし(BBCの記事が触れているように、それじゃドンバスへの降伏じゃないかと反対してる人もいた)、一旦可決した以上、ドンバス側が与えられたステータスを保持しようとすることは当然なので、ここは結局、ウクライナのキエフ政権が東部の自国住民とのコミュニケーションがほぼまったく取れていない、というのが問題の本質なんでしょう。

つまりね、事実上ウクライナという国家は後戻りできないほど分割してしまっているという意味かなぁと思うわけです。

一方、それはそれとして、自治を認めている中で選挙を「強行」しないのだとしたら、どうやって東部を治めろというのだろう?、キエフの中央政府から知事を送って、下位の行政だけを住民に許可するとかいう感じか? これも程度問題でしょう。だからこそ話し合って信頼関係を作らないとならないわけだけど、できない、と。

最近の西側さんは、民主制を否定しにかかっているとしか思えない。なんといっても、何度でも書くけど、クーデター政権に逆らう人たちを「テロリスト」と呼んで砲撃を開始したというのは、自由と民主主義の否定以外の何ものでもない。このへんで書いたこと:

天安門・キエフ・The Westの価値の毀損

そういうわけで、西側はドンバスの選挙を不法だのなんだのと怒るけど、それって、実のところ選挙が上手く実施されたから怒ってるんじゃないの、とロシア下院議長のナルイシキンさんは皮肉を言っている。http://en.itar-tass.com/russia/757994

(プーチンが言うと騒ぎになるから、ということなんじゃないかと思うけど、このところナルイシキンさんが皮肉や強硬意見を吐く係りになってると思う。

どうでもいいけど、ナルイシキンさんの顔問題ではずいぶん悩んだ(笑)んだけど、このへんの写真が現状の動画を見る限り一番妥当であろうと思う。東京の写真は酷すぎる。)


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