現代の盗賊物語は、トルコがIS支援国だったことがほとんど明白な事実となり、それを支援しているNATO諸国は結局IS支援じゃないのよ、どうするのよというのが現在の世界情勢。このどうするのよ、の落としどころが見えないのに、トルコはシリアじゃなくてイラクから撤兵しないといって揉めている最中だし、トルコの漁船にロシアが警告射撃を行ったことが一昨日以来のトピックではある。
結果として、トルコをNATOに抱えておくのがそもそもおかしいんだ、追い出せ、みたいな声がインターネット上にかつてないほどに散見される。これってすごいことだったなぁと思います、ほんと。こんな事件がなければ誰もそこに目がいかなかったかもしれないのに。
いずれにしても一つの大きな山場は、明日あたりケリー国務長官がモスクワでプーチン大統領と会談するそうなので、そこで何が引き出されるか、でしょうね。何もないならないで問題。だって、それはつまり、以前としてNATO/EU/USはIS支援国家です、を継続するという意味で、それはトルコというある種の野犬を通じて、ひょっとしたらロシアとNATO軍はマジの戦争になるかもしれないという意味だから。
だもんで、世界中の軍事ものの識者が戦々恐々になっている。
さて、それはそれとして、日本の様子が心配になる。
大本営広報部となりおおせたNHKの今日の記事。
ロシアにトルコとの歩み寄り求める声相次ぐ
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151214/k10010340321000.html
へ?と思ったっす。
カザフスタンのナザルバーエフ大統領は、13日放送の地元テレビとのインタビューで、「対立は誰にも利益をもたらさない。もっともよい解決策は、両国が話し合い、一致点を見い出すことだ」と述べ、ロシアにトルコと対話するよう求めました。
ナザレバエフ大統領は、互いに歩みよるように、と言ってたと思うんだけど。英語メディアで見た時は、at least one-step from both sides とかなんとか書いていたように記憶する。
NHKの文面でも、あくまで両国が、じゃなかろうか。
で、この意味は、むしろトルコには、トルコは折れろと言ってるように聞こえるでしょう。だって、カザフとかキルギスはロシアと関係が深いというより上海条約機構の仲間だから、最終的な判断はロシア、中国と動くであろうことが予想できる。
で、なんで大本営広報部(NHK)はこんな見出しを立ててるのか不明。内容ともあってない。
ロシアと関係の深い旧ソビエト諸国は、すでにウクライナ情勢を巡る欧米のロシアへの制裁や原油安を受けたロシア経済の低迷の影響を受けていて、さらにトルコとの対立に巻き込まれるのを避けたいとしています。
この解説も意味不明。原油安とロシア経済の低迷の影響を受けることと、トルコとの今般の関係の因果関係は何?
というより、そもそもこれはロシアとトルコの問題じゃなくて、上でも書いた通り、トルコを通じたNATO/EU/USはイスラム国だのなんだというというテロリスト部隊を今後も支援してシリア崩しを続けるのか、でしょう。
ここで一つわかるのは、日本の大本営はこの問題をトルコとロシアの問題として日本国民を騙そうとしているんだな、って点ですね。メモメモ。
あと、カザフがロシアにこの件で何かを言うことにどんな意味があるんだろうという気もする。そりゃ重要な国ですよ。なんたって、カスピ海共同宣言の国の一つだから。しかし・・・何かいいがあるんだろうか?
総合すると、日本は、アメリカの戦略の中で動いているから、つまり、カザフスタン、トルクメニスタンあたりに、何兆円のODAまがいの金を入れるとかなんとかかんとかして、ロシアから引き離そうという意図を持っているとかか?
そのために、この問題は悪いのはロシアで、そのために国際社会が一致しているので。ましてカザフスタンというロシアと深いつながりのある国でさえそういっているのです、だから私たちはカザフスタンを助けるのです→金だ、でしょうか。
この動向はかなり怪しいもの。
中央アジアで何をするつもりなのか
なんてかこう、それでいったい日本に何の得とか徳があるんだよ、って話ですよ。
前から言っているけど、旧軍および旧日本国政府の一部は、大方の日本人が想像もしないことをしていたわけで、これが今も生きてるんじゃないかと思って結構ひやひやしてみてる。
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帝国陸軍 見果てぬ「防共回廊」 |
関岡英之 | |
祥伝社 |
■ ボトムライン
日本の現代の大本営が何を妄想しようと、この話がだんだんアメリカの迷走になってしまっているのはボトムラインが見えたからだと思う。
つまり、
テロリスト支援国家であるトルコを助けてロシアと戦いたい欧州人もアメリカ人もいない
これですね。
ここから副次的に呼び込まれている結論は、
NATOってなにしてんの?
で、ここに持っていきたくないからこそ、主要メディアは話を逸らしていろいろ書いてるって感じじゃないっすかね。
しかし一般人の方は、だんだんカラクリが見えてきて、一気にアメリカ不信が加速しちゃった、って感じ。不信とか反発というかいうより、もうこのターンはダメって感じで諦めてるって感じさえあるもの。
ことこうなるまでに重要だった動画はこのへんでまとめた通り。
じわじわ来てるプーチン in US
バルダイ会議でプーチンがはじめてISはアメリカが作ったも同然でしょ、という線を引き出したことで名高い動画は、ついに590万ビューを超えていた。
Putin Tells Everyone Exactly Who Created ISIS
■ オマケ
もう一つあった。ずっとあるんだけどまとめきれないのであんまり触らないできた。それは、欧州の人々もアメリカの多くの人もクリスチャンであるロシアの方に(欧州の人の場合は、なんのかんのといって歴史的によく知ってる人であるロシア、といっても同じ)、トルコという異文明の人たちより圧倒的に親近感を抱いている、それどころかもはや頼りにしているとさえ言っていい状況があること。
コンスタンチノープルはクリスチャンの手にあるべきだ、ってのは何もロシア人が言っているのじゃなくて、むしろアメリカの宗教色の強い人たちが騒いでる。
この要素は、政治的にはなかなか表に出ないことになってるけど、感情的なつながりとしては非常に強いので無視できない。
この件に関しては日本人の反共ってか実のところ反ロシアの人たち(これってつまり欧米に70年間いた反ロシア、親ウクライナ、親ナチの人たちと同じってこと?)が、ボスポラス・ダーダネルスの確保はロシアの野望で、とか書いて全く疑問がないようだけど、ああ日本人ってやっぱり西洋文化圏の人じゃないんだな、というのが私の感想ですね。
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「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告 (文春新書) |
堀 茂樹 | |
文藝春秋 |
なぜ特定の民族を貶めるのか。それは彼らが殺されても仕方がない、負けても仕方がない奴らだという洗脳ですよね(例;ヒトラーのスラブ人蔑視)。
ってことは、ウチのストーカーは北支援で南を亡ぼす気なんだろうかとかしばしば考えてますがわかりません。
日本には国防ってものがないんですかね、ほんと。