ウクライナ東部では、ドンバス周辺のcauldron(大きな包囲)も完成してるし、住民が出られる道もあちこちにできてるので、過激派、ウクライナ軍、ゼレンスキーという、責任者が誰なのかよくわからなくなってる集団がどのように判断するのかが焦点になっている。まぁ、アメがどう出るかという話なのは誰でも知ってるところ。
西側メディアがこぞって、ウクライナvsロシアの戦争だ、という設計でこの話を書いてきたけど、実際にはNATOとロシアとの間の大紛争なので、アメの中はどうなっているのか、というのが問題。
と、そのアメリカの、2014年にクーデターを起こして混乱を作った張本人であるバイデン爺は、今日は、
アメリカ合衆国はロシア経済の大動脈を狙っている、我々はロシア産の石油とガスの輸出を全面的に止める
Today, I’m announcing that the United States is targeting a main artery of Russia’s economy.
— President Biden (@POTUS) March 8, 2022
We are banning all imports of Russian oil and gas.
と発表して、マーケットがごたつき、先行きはアメリカのガソリン高が見込まれることから人々がざわついている。
EUは、ちらっと見たところではこの決定に従わない意向を、アホのボレルが発表しているようだ。従ったら、アメリカどころではない騒ぎになることは誰でも知っている。だがしかし、SWIFTも最初はやらないと言ったが、エネルギーの支払いに困らない程度には参加した。また、ロシア中央銀行の準備金を盗むという前代未聞の大決定にも欧州中銀が従ってる。こういう世の中にあっては、もはやEUとUSAは何をしでかすかわかったものではない存在になっている。
人々の暮らしなんてものは、まったく気にされていない。すごい世の中。
■ 策謀なのか馬鹿なのか
そこで、これらの経済政策は、わざと、策謀でやっているのか、それとも、本気でそれでロシアを倒せると思ってやっているのか、という話になる。
策謀説は、世界経済フォーラムとの同調で経済を壊して、build back betterを狙ってる説に収れんする。
他方、馬鹿なんだ説の方は、基本的にはロシアを倒したいというイデオロギーというか方針というかヘイトというかに負けて、西側のリベラル秩序を破壊した、と見る人たちが昨日、今日ネット上に見られた。
そのへんを上手にまとめていたのが、いつものようにMoon of Alabamaさん。
「ロシアを罰するために、「リベラル秩序」は自殺を試みる」と捉えてる。
To Punish Russia The 'Liberal Order' Attempts To Suicide Itself
この人は英語で書いてるけどドイツ人なので、今般の流れをヨーロッパが自ら引き寄せた敗北と捉えていて、ここのところショックを隠せないって感じ。
マイケル・ハドソンやアラステア・クロックなどもまったく同様。
■ 複合
私もだいたいそうかな、と思ってるんだけど、もうひとひねり考えている。
つまり、ビルドバックベター勢力の破壊願望は本当なんだと思うわけですよ。第四革命とか言ってるやつ。だけど、そこにロシアが、彼らの予想を超えた行動をしている。だから、彼らがそうしたいことはできていない。
ウクライナのインパクトはもちろん巨大。しかしふと考えれば、この1年かそこらで、ロシアの周辺では、ベラルーシ、カザフスタン、ウクライナと3つの大きな事件があり、いずれもプーチン・ロシアが勝った。逆にいえば、バイデンは3たて食らってる。なんなら、シリアから4連敗と言ってもいい。
今回のウクライナに関する西側メディアの異常さ、しつこさを見るに、まだ負けてません、まだ負けてません、と叫びつつ、何か別の偽旗作戦を考えているのかなと思ってみたりもするけど、脱軍事化されてるので大きな作戦など不可能。基地、空港、港湾施設等々、壮絶に壊された。
それでも、何かあったとして、騒ぎになるのは西側世界が主戦場であって、一旦解放されたウクライナ人をそこに同調させ、精神の檻に入れるのは至難の業ではなかろうか。頭の中の参照系がロシア世界の方に近づいてる(戻った)人が多数ではなかろうかと思う。
もちろん、ロシア人とウクライナ人が喧嘩したり考えが違って騒ぎいなったりするのは、それこそそれが歴史だからそれはそれでいい。でも、西側がつくりあげたウクライナ人、ロシア人が嫌いなウクライナ人という一様の括りに縛り付けられるウクライナ人はもう多くはないと思う。
そう考えてきたとき、スタンドオフ兵器で施設を破壊するだけでなく、脱ナチ作戦をやった意味は大きい。
逆に、ロシア人が嫌いな特殊な人々の姿があからさまになっていくる始末。
「脱ナチ化」の方は、バンデラ主義者が占拠していた報道機関などの方向性が変わって、キエフその他の大都市で、こういう普通のことが言えるようになることが1つの重要な成果となるでしょう。
バンデラ・ウクライナの行方はいかに (2)
と2月28日書いたけど、その事態が訪れると、ウクライナの多数がロシアと戦争するためにNATOに入りたがっている、などという説は崩れる。
このシグナルは多分、相当有効だったと見る。実際「バンデラ除け」のお札として最強でしょう、これは。
ということは、ここからは、大都市キエフが大問題だと思うなぁ。
西側の多くの人は、ノボロジア(青い部分)だけがロシアとの接続の濃い地域になる、西はヨーロッパ寄りのままだろうと捉えている感じだけど、キエフの人はガリチア色の濃い西部と一緒になりたいのだろうか?
ヨーロッパ寄りとはすなわちナチ寄りだってのが、笑えない真実だからなぁ。
アゾフとか右派セクターというナチ色まるだしの集団やら、バンデラを称賛する主義をたかだかと掲げるというのは、一体どうしてそんなことをしたのだろうか。驚き桃の木21世紀という風情だ、ほんとに。
SSガリチア、とか言い出す人たちをどうして放置したんだEU、と誰か聞かないとならないでしょう、これは。
■ 確かに、意図は叶った
ということで、build back better、という、よく考えると、破壊の後に蘇る、みたいな、まるでまったくデスカルトなことを言っている集団の目論見はうまくいってないのではなかろうか。しかし、現実に社会秩序、経済秩序の破壊は進行している。どこで? 西側で、ではないのか・・・。
ロシア、中国、イランというユーラシア世界は、別に自ら進んで経済破壊を行ってもないし、どこも社会秩序に混乱があるわけでもない。ナチやらネオコンの嘘の暴露を気遣うこともない。
そして、ここで経済制裁の応酬がやってくる。ロシアは、原油だけでなく、ネオンガスやパラジウム、ニッケル、アルミ等々、各種の鉱物資源を豊富に市場に出している、だから原油、天然ガスだけに拘るのは間違いだと指摘していた人たちは大勢いるのに、バイデン政権は、ロシアは原油さえ売れなければ崩壊すると思っているらしい(上のtwitterの通り)。
西側は盛大に対ロシアで経済制裁をかけたわけだから、そのお返しが来る。既に、一部のお返しで、非友好国と友好国を分けて対応しているが、これが様々に適用されていくと、非友好国向けにはこの資源、あの資源を売りません、友好国は通常通り、果ては、大幅値引き、みたいなことになるんでしょう。コストがかさみ、サプライチェーンが混乱する。
にもかかわらず、一般人は盛大に反ロシアは正義だと思っているわけだから、今の流れでいくと、西側各国はロシアが滅びるまでこの姿勢を続けないとならないかもしれない。
自分が必要なものをカットすることが正義で、自分が売りたい市場を退出することが正義だと思っている状況を覆すのはとても大変。
制裁!欧米のやり方とはこういうものかと、今更ながら思い知りました。ロシアはそんなもので壊されはしないけれど、小さい国なら飢え死にです。
ロシアはまだ、EUに天然ガスを送っているのに。それを止めたら、彼らの死だから。「止めてやれ!」と思ってしまう。
90年代、ガソリンはボトル飲料水より安かったのが、2000年に入り、急上昇。ガロンあたり3ドルを超え、日本車のエコノミーカーがバカ売れした。
それが今や、5ドル超えですよ。
食料品の値上がりも尋常じゃない。米もパンも肉も野菜も、誇張でなくここ数ヶ月で倍ですよ。以前、一回の買い物で30ドルだったものが、今や60ドルでも足りない。車だって、コロナ前まで2万ドルちょいで買えていたホンダシビッククラスが今や中古でも2万ドルじゃ買えない。政府はこの一年のインフレ率を7%とかほざいていますが、真っ赤な嘘。そんなはずはない。コロナ対策で、2000ドルだの3000ドルだのはした金をばら撒いたって、こんなインフレじゃ、そんなカネはすぐ消えてしまいます。ありがたくもなんともない。
その上に、ロシア産原油の輸入禁止だなんて、こりゃもう、策謀としか思えませんよ。生活者としては。BBB、コロナで市民経済をぶっ壊し、ウクライナで、総仕上げということですか。
原油価格が上がるということは、このハイパーインフレがさらに加速するということです。
今でさえ、買い物後にレシート眺めてため息ついているのに、原油輸入禁止してどうするの!