ロシアのスプートニクが、プーチンが国連演説を前に行ったインタビューの日本語版を出していた。
この話ね。
プーチン、日曜日『60 Minutes』に出演
プーチン大統領、米国メディアに国連総会演説の内容を先行公開
http://jp.sputniknews.com/politics/20150927/961167.html#ixzz3nC0Biitt
プーチン大統領:「ロシアには超大国に関するフェチはない」
http://jp.sputniknews.com/politics/20150928/964508.html#ixzz3nBzvkMe4
ざっと読んだけど、スプートニクさん、というかロシア政府さんお願いしますから日本語版にもお金かけてくださいよと言いたいものはあるなぁ。翻訳が、なんてか、なんてか・・・。思うに、これってロシアで日本語を学んでる学生さんが翻訳して、それを年取った人たちが校正しているんじゃないのか・・・多分。
でも、「ロシアには超大国に関するフェチはない」というのは、誰が考えたんでしょうね。面白い。アメリカで放映された英語版では、Russia is not obsessed with being a superpowerとかなんとか言ってたような気がする。つまり、ロシアはスーパーパワーでいなければという強迫観念で頭がいっぱいってわけじゃない、と。でも、プーチンがロシア語で話した方からすればスプートニクの方が正しいのかもしれないですね。アメリカCBSの方が政治的是正で一般表現に訳したのかもしれない。
それはそれとして、アメリカで放映された映像がyoutubeにアップされていたので(一般人が勝手に、だと思うが)見たけど、プーチンはやっぱりウクライナを語る際に、ぐぐっと力が入るよなぁと思った。
ウクライナの問題をアメリカ人は、どこかの地点AにおけるXとY国の話としてなんの感慨もなく語るわけだけど、ロシア人にとっては基本的に同じ人たちなわけですよ。それを、まるで他人の話のように語れと言われているこの状況そのものが、本音を言えば腹に据えかねるってところがあるだろうなぁとしみじみ思う。地政学的にああだこうだと頭ではわかっていても、そういう問題じゃなくて、でしょう。
日本でいえば、関西人と関東人が外側からの力で分けられ、関西人もそれに乗っちゃって、関西人が中国と一体化すると言っているのを関東人がちょっと待てと言う、それを中国とアメリカが結託して入ってきて、関西人の言い分を聞けと関東人に説教し、関西は中国と同盟せよ、とか戯言を言っている、みたいな感じ。耐えられる、私たち?
そもそも、例えばクリミアの帰属問題にしてもなんにしても、究極的にはロシア圏の問題であって、ウクライナ人とロシア人がぐだぐだやればいい話。
このへんの話は去年さんざん書いたけど、ロシアとウクライナの現在の国境は民族国境でもなんでもなく、ロシア帝国およびソビエトが設定した行政区分です、というのがこの話の肝でしょう。
それなのに、勝手にアメリカ人だのドイツ人だのがウクライナがまるで自分のものであるかのように考えてるのが間違ってる。
ふと思うに、ここの取り組みは、パックス・アメリカーナがなぜ崩れ落ちようとしているのかの原因の一つになってるかもなぁと思った。
アメリカ覇権の良さ、あるいは安心感は領土欲がないことだった。支配欲はあるにせよ、根本的なところで領土欲がないからそこで抑制が働いた。
ところが、ウクライナ、あるいはロシアについていえば、ウクライナという場をロシアから引き離して、自分たちのものにしようという工作をする過程で、「自分のもの」という設定になってる。これは制御、支配ではなく領土欲に限りなく接近している。
(そもそも、ドイツはこの領土が欲しくてバルバロッサ作戦を敢行したことをみんな知ってる、っていう下敷きがあるのも痛い。
さらに、ポーランド系ユダヤ人のグループには、ウクライナはポーランド領である、昔ポーランド帰属が領有していたんだから、という考えを未だに持ってる人がいることも知られてる)
だもんで、この地域一体にお前らヒトラーと同じドロボーじゃねーか、少なくともドロボーに味方するアメリカというという見方が固まった。→パックス・アメリカーナというある種の公共体幻想の崩壊、じゃなかろうか。
ウクライナ危機なる問題が始まった頃から、アメリカのリアリスト系、共和党保守派系という反ネオコン系がこの問題について、NATOとアメリカの側にエラーがあると強く主張しているのは、ウクライナを巡る攻防がアメリカの世界戦略的に、意味がない、出過ぎ、やり過ぎ、維持不可能だと考えるから、なのかもなぁ。
★物置にまとめを置いておきましたのでよければご利用ください。
ウクライナ動乱:NATO東方拡大問題
日本外交:現場からの証言 | |
孫崎 享 | |
創元社 |
「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告 (文春新書) | |
堀 茂樹 | |
文藝春秋 |