ロシア空軍がISに空爆を開始した模様。
空爆自体はアメリカが去年からやってるし、先週フランスもやってたので、これ自体で何かが劇的に変化することはあるんだろうか、ないだろう、とはいえ、ロシアという「仲間」じゃないのが入ってきたことによる変化はあるんだろうが、それはしかし決定打にはならない。
決定打は外交局面でなされるはず。それは何だろう。
とかとか思ってタスなどを見ていたら、RTのフラッシュニュースに、
Russia calls on UN Security Council to impose sanctions against Islamic State supporters - Lavrov
ロシアは国連安保理に対しイスラム国の支援者に制裁を課すよう求める
とあった。
これはGJ!
イスラム国は謎の国ではなくて支援者または支援国がいる。ここを露出させその上で責任を取らせることがなによりも何よりも肝要。
ロシアの外交団に期待する。
そういえば、昨日ラブロフとドイツのシュタインマイヤー外相が長時間シリア、ウクライナについて話し合ったとドイツ側がツィッターで流した、とロシアのタス通信が書いていた。なんとなくひっかかる記事だなと思っていたが、このへんの話ですかね。
この記事。
Lavrov, Steinmeier discuss Syria, Libya, Ukrainian crisis ? Russian Foreign Ministry
Russian Politics & Diplomacy
September 29, 20:30 UTC+3
http://tass.ru/en/politics/824661
■ 英テレグラフで面白い記事発見
ロシアが参加したことで、アサドを倒すべきキャンペーンに熱心だったメディアはさぞや大騒ぎしているんじゃないかと楽しみにしていたのだが、あまりパッとしたものはなかった。
なかったどころか、英テレグラフで、コン・コクランというジャーナリストが
The West should join with Vladimir Putin to defeat Islamic State
The Islamist group – not Syria’s President Assad – poses a direct threat to Britain’s security
西側はプーチンのイスラム国打倒作戦に加わるべき
という記事を書いていた。
コクランのロジックはこう。
西側のリーダーたちは、
アサドを倒すべきか、ISを倒すべきかで問答をしていて、まったく埒が明かない。
イギリスにとって、ISはジハードにかぶれる若者等々危険な存在だが、アサドは別に脅威ではない。
であれば、IS倒しに、戯けていない作戦プランを持って臨んでいるプーチンに賛成しろ。
というもの。戯けていない、は、no-nonsense。
そう。西側、とりわけオバマが語っていることは屋上屋にバカを重ねていて、もう聞いていられないほどだからでしょう。
なぜなら、この間パット・ブキャナンが指摘している通り、アサドを倒したら空白地帯ができる、そしたらISが勝つんだ、これをどうしろというんだ、ってのを詰めてないのがオバマ政権だから。(だから、結局、中東大混乱作戦、カオス化作戦という悪魔のような作戦なんだろ、と言われる。そうだと思うが)
いや~、そうなんだけど、それって今気づいたのか?だし、それ以上にそれをコクランがいうのかいというのが大笑い。
というのは、アサド打倒を年がら年じゅう騒いで、アサドの悪魔化に一役も二役もかっていたのは、このコクランらのテレグラフにずっと書いてるある種の御用ジャーナリストたちだから。
記事の下のコメント欄も1300以上ついて、そのうちの多数が、お前な~、とか、コクランが現実に気がついてうれしい、コクランの転向を嬉しく思うとかの皮肉でこれまた大笑い。
私もこのへんはよく覚えている。イギリスの大衆の中にはずっと非常に持続的に、アサドは敵ではない、アサドはマシな選択肢だ。アサドが悪いんじゃなくて外から入ってきた奴らが始めたという話を繰り返し繰り返し語っている人たちがいて、その一群がどうやら英テレグラフに終結している感じがあった。
一つの柱は、アサドはクリスチャンを擁護している系だからというのはあるとは思うしそれは重要なんだけど、それ以上に何かあったなぁという感じ。
ウクライナ危機以降すべての主要メディアのコメント欄の閉鎖が相次いで、最近はもうすっかり面白くなくなっていたんだけど、久しぶりに、奇妙な盛り上がりがみられて楽しかった。
イギリスは、そもそも、インテリジェンスがシリアの化学兵器の話はアサドじゃない、という結論をロシアのインテリジェンスと共に出していたというのを、去年の夏頃だかにすっぱ抜かれていたので、アサド倒しという政治劇の裏の裏をよく知ってる系なんだろうとは思う。そもそもアサドはイギリスと縁浅からぬ人なんだし。
そういうわけで、こっちも楽しみ。
いやしかし、イギリスの大衆紙の御用ジャーナリストは優秀だわ。こうもきれいに手早くロジックそろえて転向するんだからなぁと妙なところに感心した。さすが、ほんと。
一日も早く、シリアに、そして中東に平和が訪れますように。
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これはつまり、アサドの自国民への罪 vs ISという明白な侵略者 を天秤にかける行為なわけで、事の軽重が完全におかしい人々の姿を現している。
どこまでこれをやる気なのか、見ものです。