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MH17便:勇気ある人々と凋落する西側

2019-07-27 12:49:47 | アジア情勢複雑怪奇

5年前に起こったマレーシア機MH17便のウクライナ東部での墜落事故については、最近になってマレーシアのマハティールさんが公の場で疑義を呈したり、

マハティール:MH17 の証拠は?

ロシア国防省がオランダ、オーストラリア、ウクライナの合同調査チームの結論に対して反論の動画を作ったりと、それはそれなりに動いている。

MH17便:ウクライナを庇い続けて我を失ってる西側だが

 

もちろん、オランダ、オーストラリア、そしてその後ろにいるアメリカ&イギリスは、最初っからこれまで一貫して、あれはロシアがやりました、ロシアのせいです、とただ主張し、調査報告では工作した後がまるわかりの動画を作ってみたりしている。

そして、いつものように、世界中の主流メディアはそのインチキ路線を所与のものとして扱うので、話はそのままになっている。

そんな中、最近、オランダの独立系ジャーナリストMax van der WerffとフィルムディレクターのYana Yerlashovaによる動画がインターネットにアップされ、またまた、この問題に興味を持つ人たちの耳目を集めている。

"MH17 - Call for Justice"

 

28分の優れたフィルム。ただ、この事件をまったく知らない人が一回見て何かを理解できるかというと、ちょっとそういう仕立てではない。そこらへんがむしろ誠実でもあり、プロパガンダになれた西側の人間に対するマスターゲットのアピールではないとも言えるかもしれない。でも、多少の脳みそがあればわかるかな・・・とは思うが。

主張点は、

マレーシアのマハティール氏によるソフトだが断固とした抗議

オランダ等の合同捜査委員会が出してくる資料は捏造されている

ウクライナ東部の現地住民の証言は合同捜査委員会の結論と食い違う

あたりでしょうか。

 

まず、マハティール氏がYanaのインタビューに応じて、6月に日本で話した通り、この話は最初からロシア犯人説で決まっていて、マレーシアは捜査チームにも加われなかったことなどをしっかりお話されている。

 

そして、今回初めてフィルムになったのは、マレーシアは事故直後から捜査チームをウクライナに向かわせたが、ウクライナのキエフのクーデター政権に現地到達を妨害される。そこで、Sakri大佐は一計を案じ、小さいチームを作ってドンバスに内緒で入っていく。そこで、現地の、当時「親ロシア派」の乱暴者みたいに言われていた人々と協力してブラックボックスを発見する。(4分50秒あたりから)

<マレーシア首相直属の国家安全保障会議によるMH17調査チームを担当していた、Sakri大佐>

 

氏によれば、その後、アメのFBIが近づいてきてブラックボックスを渡すよういわれるが拒否し、ファーンバラに送った、と。

東部住民がブラックボックスを見つけて、このSakri大佐に渡したのはニュースで見た覚えがある。

ファーンバラというのは、イギリスおよび英連邦にとっての民間機航空事故調査の最高峰のところ。だからイレギュラーではなく、しかるべき措置を取ったということなんでしょう。

しかし、それは結局イギリスに行くわけだから、東部住民はなんで渡したんだと嘆いていた人がいたことも私は覚えている。

 

で、結果的には、マレーシアは調査チームから外されて調査が始まり、前にも書いた通り半年かそこらしてからマレーシアも入ったことは入ったが、合同捜査チームはオランダ、オーストラリア、ウクライナを中心に進み、捏造映像、音声が多数入った報告書を元に、偉そうに発表会をしたのがつい2ヶ月ほど前。

MH17便:ウクライナを庇い続けて我を失ってる西側だが

 

このフィルムでは、これは人命の問題なんだから政治的に解決されるべきじゃないと、まったく適切なことを主張するマレーシアの人々の姿と、オランダのアムステルダムで、誰がやったと思うかと尋ねられて、ロシア、ロシア人と考えることもなく答えるオランダ人の姿が対比的に映し出されている。

また、ウクライナ東部の畑の広がる村々の住民は、上空にジェット(戦闘)機を見たと最初っから言っており、その中の1人の女性の発言はBBCが拾った住民の声の中にも出てしまったことで一躍有名になった。そのBBCにとって不都合な女性のインタビューもこのフィルムの中でもっと長い尺を取って収録されている。

 

この人たちもまたマレーシアの人同様、正直。俺はだって見たんだもん、という態度を崩さない人たちがたくさんいる。

これは、この問題を超えて、西側の凋落を表しているとも思った。

マレーシアの人たちやウクライナ東部の人たちは、普通に行動しているし、透明性ある調査はなされるべきだという意思も固い。

それに対して、アムステルダムの市民は自分の同胞が惨い死に方をしたその事件にさえ興味がない。ロシアがやったのよ、という何の根拠もないことを受け入れている。

これはいずれ、状況によって、私たちは騙されたのだというのかもしれないが、私はその時にはそうではないと言おうと思う。何度もそうではないと気付くチャンスがあったにもかかわらず、あなたがたは見ようとしなかったと言おうと思う。つまり、あなたがたは不誠実で、そして勇気がないのだ、と。

 

■ オマケ

つかさ、普通の脳みそと生きていくために必要最小限の誠実さがあれば、事故直後、まだどこがどこだかわからないような時間帯にオバマが出てきて、これはロシアだとか言い放ち、それが何のチャレンジも受けず世界の名だたる報道機関を通して報道されることに疑問を持つしかないでしょう。

それができないのは西側の人間はヘタレだということだし、西側のメディアなんてものは所詮はアメリカ覇権維持のための広報誌に過ぎなかったという話ですね。

 

で、しかしながら、そういうことを言ってちょっと反省なんかしても追いつかないのは、もう今までのように報道機関を通してストーリーを支配し、人々の善悪判断をいじくりまくるということが世界規模で見た場合にできなくなっていているから。

で、総合して考えるとヨーロッパ、特に西ヨーロッパはこれから大変だと思いますね。それは中国、南アジアの勃興による経済的主軸の移動に伴うものだけではなくて、ストーリーラインを自由に支配できなくなるからです

歴史修正主義はけしからん、というのは様々な局面で、まぁそれはそうなんだけど、世界で最も歴史修正的なのはそもそも西ヨーロッパだと思う。

邪悪・憎悪のネットワークビジネス

 

 

■ オマケ2

上のフィルムを見ていて思いついたもう1つのこと。

それは、日航機123便墜落の目撃者を30年間表に引っ張り出せなかった日本のこと。

墜落の10分後、長野県川上村の現地住民が100番通報していたのに、それが全く活用されず、それどころか見当違いの方向を指し示す情報に関係者が乗っていきました、という流れの方がもっと問題だ。

ぶちゃけ、この最初の川上村から寄せられた情報を真面目に受け取っていれば、墜落現場の位置特定は実に容易だった。誤差は限定的だ。

この方の情報が非常に精度が高かったことは、結果論ではなく、当時だって頭を使えばわかっただろう。彼女は、いつも農作業をしている現場で飛行機を目撃し、その上で、長年見慣れた山々のどこで光って、どこから煙があがったのかを見ているのだ。

<中略>

で、さらに、恐ろしいのは、こんなことが表に出てくるまでに30年もかかっているということ。

はっきりいって、事故のあったその年にだって取材して組み立てられる話だ。

「昭和という国家」がうろうろしている気がする

 

日本には上の東部ウクライナ人を引っ張り出すような仕組みがない、ってことなんでしょうね。ものすごくおかしな話でも通ってしまう。

 

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喉頭移植を模擬できる装置もある (И.Симомура)
2019-07-27 20:40:48
ビデオの音声解析について一言。あそこに登場する解析技法は、学部レベルのものであって、特段高度のものではない。専門化がヴォコーダという喉頭移植を模擬できる装置を使うならば、Aという人物の喉頭音(無音韻の”だみ声”でAの日常音声から抽出できる)をBという別の人物の調音運動(例えば、”shimatta, minkankiwo otoshite shimatta”)に混合すると、全くこの世に存在しないCという人物の声「シマッタ、ミンカンキヲ、オトシテ シマッタ」となる。この声をビデオの技法で解析すると、声紋はBの口腔形状を反映したものとなるので、電話の声の主はBであると、判定されることだろう。この装置を使えば、第三次世界戦争を惹き起こす謀略も可能です。
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だからメディアが怖い (ブログ主)
2019-07-27 21:01:04
Симомураさん、

解説ありがとうございました。
素人知識ですが、なんかそういうことをしているんだろうなとはわかりました。

だからこそ、誰かが何かを言った、それ!とばかりに世界中を1つの意見で席巻して異論を許さないメディアが恐ろしいです。
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死せるビンラディン、生けるブッシュを走らしむ (И.Симомура)
2019-07-28 01:53:35
あのビデオを見る限り、単純素朴な音声断片の切り貼りしたものでしょう。野外録音の断片を、建内録音の音声断片に編集すると、背景雑音の強度が違うため、その違いが声紋に明瞭に反映されるのです。背景雑音の違いは日常体験するものですが、例えば、会話が本物の寝室で行われているか、あるいは、スタジオのセットのベッド上で行われているか、会話音声の背景に聞こえる雑音からわかりますね。さて私は、死せるビンラディンをしてエプスタイン事件について語らしめる、技法をご紹介しましょう。①公開されている彼の声を30分ほどデジタル録音機に収録し、それから喉頭原音のみを低域濾波器で抽出し、それをバンクにgt(glottal tone)として登録します。②彼と顔形が似ているアラビア語話者の男性Q氏を見つけだし、動画に見えるビンの発音”orewa epstein wo sitteruyo"をアラビア語で真似させます。真似の長さは最長2.4秒以内とします。これ以上だと、Q氏の発音の癖が出てくるからです。この謀略音声をバンクにvtf(vocal-tract transfer function)として登録します。③ヴォコーダ上でgtと vtfを混合します。出力音声はビンのものとも、Q氏のものとも聞こえます。④you tubeに「ビンラディン、エプスタインを語る」というタイトルで公開します。こう前置きすることで、聞き手はQ氏の声の特徴を無視し、ビン氏の声の特徴のみに聴覚を集中させるのです。⑤盗聴部隊は同音声を分析しますが、2.4秒以内の各発話断片の声紋はビン氏のものと良く似ている上に、声はビン氏のものに聞こえます。⑥かくして、「死せるビン、生けるブッシュを走らしめた」、訳です。
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