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【討論!】オバマ大統領来日は何だったのか?[桜H26/5/3]

2014-05-05 14:50:50 | 太平洋情勢乱雑怪奇

毎週好例になってきたチャンネル桜の討論視聴。

1/3【討論!】オバマ大統領来日は何だったのか?[桜H26/5/3]

http://www.youtube.com/watch?v=W0QuI6Z25tA

タイトルはオバマ大統領来日の目的は、となっているけど、なぜだか話の中心は慰安婦問題をどうするかになっていた。

西岡氏がいらっしゃるのでそもそもそういうつもりの討論だったのかもしれない。で、この成り行きをみていて、ようするにこれが日本の保守派の問題だよなぁと思ったのはこれ。

ざっくりいえば、(1)問題は戦略だ、(2)問題は事実であり大義だ、の2派がいるということ。

もちろん、(2)が人間として正しい道なのだが、ものごとはそうは進んでいない。

例えば今回のウクライナ危機がいい例だけど、これを詳細に見ていれば、極右というより暴力組織を使ってでも選挙で選ばれた政権を倒して一気にウクライナを支配下に置こうという勢力がいて、それがどうもEUでありアメリカなわけ。

これは、(2)の人からしたら、圧倒的に許せない話なわけで、それは正されるべき事態なのだ。

しかし現実はそうはなっていない。この覇権下にあってはこのやり方こそがnorm、つまり規範であり流儀なのだ。

(すべての局面でそうなっているとは思ってない。前から言っている通り本当の外交交渉では(2)が多いにネタになるからこそ、メディアで伝えられている通りにはならないのだろう)

だから、(1)から考えた時、もう慰安婦問題は米国政府としてはどうでもいいことじゃないかと思うとおっしゃった馬渕元大使のおっしゃったことは理解できる。

安倍氏に対する所定の目的(米にとって)が達成できた、つまり、言うことを聞かせることに成功したので、もうここは一旦おしまいと米政権は考えるだろう、ということ。つまり、これはカードなんだという認識。

だから、また蒸し返されたら、それはつまり安倍政権が言うことを聞かなくなったか、その兆候がある、ということだろう。馬渕さんはマジの外交交渉者であった方なので、物事はこのように進むものですよ、ということを控えめにおっしゃっているだけだと思う。

それに対して、出演者のまんなかへんの人々は、それは違う、問題は何も解決していないとおっしゃる。その通り、日本人の尊厳としての問題は何も解決していない。だからこれをどう解決するかを討論し行動していくことは重要。

しかし、それは大きな戦略レベルでの問題とは違う。だから、(1)の視点から語る馬渕氏に反論があるとしたら、慰安婦問題をカードとして使って安倍氏の行動を制限しようとする米の戦略は何か、という点から反論するのが筋だが、そういう方向には議論が進まない。

■ 戦略的に組み込まれている日本

思うに、日本の「保守派」の多くというのは、要するに米国の世界戦略にしっかり組み込まれてしまっているのではなかろうか。そりゃ昔からそうだと言ってしまえばそれまでだけど。

つまり、日本人の問題であるとして(2)のような態度を取れば取るほど、本当に考えるべき(1)の方に頭が及んでいかないという構図が固すぎてもうどうもならんよ、という感じ。

まぁチャンネル桜さんに出ている人の半分ぐらいは要するに米国共和党の極東対策班みたいな人たちと関係が深い人なんだろうなぁというのが私の観測ではあるので、これはこれで不思議ではない。そして、水島氏はそこに気がついているがしかし、それではダメだと思うからこそ時々爆発しているんだと思う。騙されたと思ってるんじゃないかと思うこともある。

それはともかく、おそらく、米国の世界戦略上における日本の地位は、欧州におけるポーランドと近いところまで落ちているのではなかろうか? 

つまり、ポーランドはロシアを攻撃する際に、いかにロシアが酷いかを証言するために組織化されている。地上におけるポーランド国民がどう考えていようとそんなことは全然問題にならない。多分に嘘も含まれるメディア戦略上の証言者としてのみ存在する。

同様に、日本は米国が中国を攻撃する際に、いかに中国が酷いかを証言するために組織化されている、またはされようとしているのじゃないか。尖閣は、アジア諸国が中国と対立しているという構図を一応構成するための切っ掛けとして、そして、実質的にはTPPとの交渉条件にするための米側の強力な材料として問題化さていったんじゃないでしょうか。

で、日本側でそれに乗っていった人たちは誰かといえば、要するに米軍が大きいことで利益がある人たちと、マジもんの親米保守の人たちではないでしょうかね。前者は世界中どこでも問題になっている。NATOも組織が巨大化したことで、官僚化、利権化してるとつい半年前ぐらいにも問題になっていた(新しい大きな建物を建てるが資金ショートが発生している云々とドイツ紙が伝えていた)が、今回ロシアという願ってもない敵ができたおかげで、欧州各国の防衛負担金は上昇するらしい。

いずれにしても、米の設定した枠組み内に深く組み込まれている限り、ポーランドでも日本でも、両者において、解決は自分の手にはない。日本が独自に中国と話し合う、抑制しあうという手を喪失したということ。つまり、プレーヤーではなくなるという意味だ。

(そこで、だって核武装していないから何もできないんだ、と話が誘導される。しかし、人が住んでない島を奪取する作戦と核戦争までの間には大きな隔たりがある

だから、この誘導は、個別的自衛権を発動して自衛隊がその場を制圧する、また翌年中国が脅しをかける、また制圧する、といった軍事的には大してハードルが高くない、大日本帝国が満洲あたりで普通にやっていた、または、大陸国家ならしょっちゅうお互いの陸軍がちくりちくりとやっている、そういう行動さえ日本に取らせない、つまり現状維持を主眼とした誘導ではないのか、と考えることもできる。私はそもそも尖閣問題はトラップだったのじゃないかと疑っている。だって中国を巡る問題の第一線は中央アジアで、太平洋は別に今じゃなくてもいいいような話ではないのか、と思うから。)

■ 自ら組めなくなっていく

しかし、日本はポーランドと違って、規模において、そして過去の戦歴において潜在的にはずっと重量級だ。だからこそ、おそらく官僚機構の中には、ドイツやらロシア、EU集団ではなくイギリスといった国々との連携を強化しておく必要性をずっと認識している人がいて、それだからこそ、時々、それを嫌がるアメリカから妙な問題をふっかけられているんじゃないかと思う。

つまり、自立した行動を取るということは、一見今仲が良くないような国とでも付き合わないとならないということ。世界中の国々と自主的に関係を持たないとならない。敵対するというのも関係の一つだ。世界情勢の変化によっては、今まで敵対していた勢力と一時的な共闘が必要な時だってあるはずだし、なんらかの連携を阻止することによって自己の存在を確立することだってある(このへんはトルコがそうだと思う:トルコとロシアの関係)。

ところがここに、妙な線引きをしようとする人々がいる。仲間か仲間でないかを最初に切ろうとする行為を誘発する人たちだ。

例えば、中国とのパイプが太い議員がいると、あいつは親中派だといって嫌悪を誘う。親ロシア派も嫌悪される。いるかどうかわからないけど親イラン派も同様だろうし、親北朝鮮派なんて暗殺されそうだ。

この構図を繰り返していくとどうなるか。親米派、親英派ぐらいしか残らなくなる。これはつまり、あるリーグの中の存在になって、自らの判断で付き合う、程度を替える、といったことに制限がかかるようになってくる。

この傾向は、誤りだと思う。問題は、親中でも親米でもいいが当然日本のために働いている、戦略的に利益になっている行動をしているかどうかであって、どこかの国と親しい、詳しいというのがいけないという話ではない。そして利益の評価は短期的には見えないことも多い。

日米同盟という言葉が多用されるようになったのは、考えてみれば冷戦が終わってからではなかったか? つまり、アメリカと同盟しているんだから、こことは仲良くしてもいいがこっちはいけない、と解釈するようになったのは実は最近ではないのか。

ところがその頼みのアメリカ様は、自ら親中になってみたりする。というより、そもそも中央アジアでは、アメリカ・中国はパキスタンを大事にするという点で付き合いが長い。ロシアは英米の一部グループの200年越しの正面の敵ではあるけど、場合によっては共闘する、少なくとも互いに尊重しあうぐらいまではいく。昨日まで戦争を仕掛けるような敵対行動を取っていたイランと関係を改善したりもする。つまり、これがプレーヤーたちの行動だ。

大日本帝国は、ドイツ、イタリアと同盟し、、ソ連と中立条約を結んだ。自国の状況から考えて有利と思った国と自ら組んだ。

結果は悪かった。しかし、行動の規範が間違っていたわけではないでしょう。そこを理解しないと、安心の覇権ネットワーク内の中間職みたいな立場に甘んじるしかなくなる。それでも名誉が保証されたままずっといられるならともかく・・・という話。

戦略レベルの話ができるような場が必要なんだとも思う。

■追記
3/3【討論!】オバマ大統領来日は何だったのか?[桜H26/5/3]
http://www.youtube.com/watch?v=coUGYimM-h0

後半のTPPを巡る議論で、片桐さん、馬渕さん、東谷さんが力なく異論を述べている。これは今回この討論で話されていることに対しての違和感の表明なんだろうと思う。

片桐さんが、TPPの本質は通貨の問題で、それはつまり米中の問題だ、だからもしそっちの方向で話が進展するようなことがあれば(どういうことか片桐さんは具体的には語ってないが)、今ここで話されていた軍事の問題は意味がなくなるんですよね、と指摘。

それに対して関岡氏が気色ばんでいるのが非常に印象的だった。

もちろん、話がどちらに転ぶのかは現状では不明だが、将来ここを思いだす日が来るかもなぁと思った。1970年ぐらいのことをいろいろ考えてみるのがいいんじゃないかと思ったりもする。


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