ウクライナ情勢が悲惨なことになっている。といって東部戦線は基本的に取ったり取られたりなので別にこんなもんだろうと思うけど、問題は先週末のオデッサの虐殺事件。あまりのことに怖くなった。
犠牲になった人々のご冥福を心から祈ります。
報道では、キエフ政府がこういったああいったといった言い方とか、出火原因は不明といった言い方がされてますが、そういう話じゃないでしょうね。
このへんが現在世界中で出回っているビデオ。
(1) ロシア語と英語で書かれている、事件の顛末詳細。
これはくれぐれも閲覧注意。見ない方がいいと思います。気分が悪くなります。閲覧厳重注意。
How the thugs killed Odessa inhabitants in the Trade Unions House - the details of bloody scenario
http://ersieesist.livejournal.com/813.html
(2) ロシアのテレビで報道された検証番組。最初ロシア語版しかなかったが、5月6日に見たら英語の字幕がついたものがyoutubeにあがっていた。こっちは見ても大丈夫。
Бойня в Одессе результат провокации7
http://www.youtube.com/watch?v=xZUEBIoZu0w
■ 極右を使ったリスク
これだけの大きな、悲惨な事件なのにあまり報道がなされていない。多くの人が気づいているが、英語圏メディア(したがって世界中のメディア)は、半腰で抑制的。
普通に考えたらへんでしょ? 日頃人権がどうしたこうしたとうるさい人々がこれだけの悲惨な出来事に沈黙していることが。
これはつまり、あまりにも酷すぎて取り上げられないからという他ないと思われます。普通の事件じゃない。悪意が現出されている。
ロシアも最初でビデオをあますところなく報道し、次に国内で検証番組を作った後は、糾弾のトーンを落としているところをみると、EU+アメリカと水面下で何か話し合っているといったところなんじゃないかと想像してしまう。
■ ヨーロッパ戦勝記念日
ところで、明日5月8日は、ヨーロッパ戦勝記念日。いわゆるV-E day。
ロシアは5月9日に毎年盛大なパレードをするので有名。
さてしかし、今年はどうなるんでしょう?
そりゃやるんだと思うけど、この状況から考えると、「極右」という名で現在表現されているキエフの暫定政権内の人々の動向はかなり懸念されているものと思う。
誰が懸念している? ロシアじゃなくて英米側。なぜなら、この問題のグループはナチスのコラボレーター(協力者)だったところにルーツがあるわけで、ということは、ヨーロッパ戦勝記念日の趣旨である、ナチスに打ち勝った、というのと真っ向から対立する。
■ 極右を使った結果をどうつけるのか
報道規制をしながら静かに忘れさせるにはあまりにも大きいオデッサ虐殺事件。
これもそれも、最初から言われている通り、暴力で政権を奪取して、その上で暴力で従わない人々を脅しつければなんとかなる、と思ったEU&アメリカさんの見込みの甘さがまず問題でしょう。
キエフの暫定政権をあたかもまともな政権のようにみなしたことがまず間違い。次の間違いは、ウクライナ軍が全然服従しないことが明白だったのに、その暫定政権に武装組織を作らせたこと。結局、ろくでもない人たちを集めるしかなくなるわけでしょ?
国軍が寄り付かない政権なんて政権じゃないのに、キエフ暫定政権によりつかない人たちを、親ロシア派、ロシアのスパイ、反乱軍、はてはテロリストとまで呼んだのがキエフ暫定政権で、欧米のメディアはそれをただ垂れ流して喜んでいた。
そして、EU&アメリカは、状況が激化したらロシアが悪いといって、本筋は何も解決しないのにロシアに経済制裁する、ロシアからのエネルギーをどうするのかを考えるべき、NATOは拡大すべき、なんていう今じゃなくてもできる話を大量に書き散らして、報道して、喜んでいた。地上で、現地で発生していることを見ようともせずに。
つまり、EU&アメリカは、自分でついた嘘に呑まれて、その嘘の通りになんとか解決できると思っていた。でも、現実に発生していることは言葉のように簡単には変えられない。
そして、そういうことをメディアを使って隠すことができなかった。
これはひょっとして、1917年から続いた時代が終わったいう意味なのかもしれない。