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トランプ:終わりのない戦争時代を終わらせてるの!

2020-06-16 18:36:41 | 太平洋情勢乱雑怪奇

トランプは6月13日、ウェストポイント( 陸軍士官学校)の卒業式で卒業生を前にスピーチをした。

この中で、アメリカの兵隊の仕事は外国で国を作ることじゃなくて、国を外敵から守ることだ、我々は終わりのない戦争の時代を終了しつつあるんだ(We are ending the era of endless wars)と語っていた。

これは、大統領候補トランプが言っていたことと同じなので、その意味でこの人がこういうことに驚きはないわけだけど、当時ほどみんなが喜ばないのは、そう言いながらもどこも上手く整理がつかないからではある。

だがしかし、アメリカの大統領がこんなことを言い続けているってのは、重要でしょ?

で、重要だからこそ、やっぱりへんな書き方しかできないんだろうなぁと思うのはこういう記事。

米兵の仕事は「米国の国益を守ること」 トランプ氏が米軍撤退計画を擁護

https://news.yahoo.co.jp/articles/065d0e1baedae05272867bf7c6d12372d4e8f8ac

[ウエストポイント(米ニューヨーク州) 13日 ロイター] - ドイツからの撤兵問題で批判を受けているトランプ米大統領は13日、当地の陸軍士官学校の卒業式で演説し、米軍の仕事は「米国の存亡がかかった国益」を守ることであり、「終わりのない戦争」を戦うことではないと指摘した。

 

これは文脈を外して、都合のいいワード、フレーズだけを取ってるわけですよね。米国の国益を守ることといえば、今までのネオコン路線の、全世界でレジームチェンジをやり続ける終わりのない戦争時代と同じに読めちゃう。

しかし、上で書いた通り、米兵の仕事は外国で国作ることじゃない、って言ってるわけだから、ここまでと同様に「国益を守る」路線ではないわけですよ。

【脱線】

脱線するけど、アメリカは関東軍みたいになってると前から言っているけど、この「国益を守る」ってのも、昔の日本の「権益を守る」ってのと一緒だなと考えてみることもできる。権益といえばなんでも権益なんですよ。だけど守るべきものなのか、正統性のあるものなのかを考えさせない魔法のキーワードとして機能して、最後ああなった。

関東軍を従えた大日本帝国というのは、ネオコンアメリカのプロトタイプみたいだなとつづづくと思う。

 

で、トランプのスピーチはこんな感じ。

Trump delivers commencement address at West Point graduation

このスクリプトはホワイトハウスにあったのでリンク。

Remarks by President Trump at the 2020 United States Military Academy at West Point Graduation Ceremony

https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/remarks-president-trump-2020-united-states-military-academy-west-point-graduation-ceremony/

 

全体としては、アメリカの陸軍世界一、アメリカ世界一というトーンではあるものの、そこで取り出している人が、ワシントンであったり、パットン、マッカーサーだったりする。彼らは、もちろん1945年に終わった大戦争で大活躍した人として語られている。

こんな感じ。

75年前、禍々しいナチと帝国ファシストに対してアメリカを勝利に導いた、マッカーサー、パットン、アイゼンハワー、ブラッドレー

 towering figures like McArthur, Patton, Eisenhower, and Bradley — who led America to victory over the sinister Nazis and imperial fascists 75 years ago

 

このへんはロシア、中国と一緒。だが、トランプの言い方を真に受けると、全部アメリカ陸軍がやったみたいな、壮絶に馬鹿な話になるわけだけど、それはそれとして、冷戦勝利よりも強調されている点に注目してみることもできますね。

 

裏を返せば、ムジャヒディーンを応援してたアメリカとか、アルカイダと共に歩んでたアメリカ軍を素晴らしいというわけにはいかないだろ!!ってことだと考えると笑える。

何度でも貼りたいこの動画。スペースシャトルの打ち上げを自由の戦士ムジャヒディーンに捧げるレーガン大統領。

Ronald Reagan dedicates the Space Shuttle Columbia to the Taliban

 

マジで、この時代の人はこれがカッコいいと思ったんでしょうか? 正規軍でない人たちに武器弾薬を持たせることの意味を理解してたんでしょうか?

(自分たちで武器弾薬、人員を供給する)テロリストを追いかけて世界を駆けまわる米軍カッコいい、みたいな?

 

で、要するにこれらのテロリストと共に歩む21世紀のアメリカをトランプは「終わりのない戦争」の時代と呼んで、これを終わらせて、世界一の戦車、世界一のミサイル、世界一のなんちゃらかんちゃら・・・に2兆ドル投資して、世界一のアメリカを敵に見せつけてやるのだ、と言ってるわけですね。

トラちゃんが士官学校卒業生に語るアメリカのビジョンのようなもの。

 

そういう意味で、莫大な金が降りてくるわけだから、軍産はある程度喜んでると思う。ただ、金儲けのためのインチキ戦略で、適当なことばっかりやってた時代でなくなることをどう考えるのかは知らない。

トラ大統領は、super-duperなミサイルを開発すると主張してますので、やらないとならないんでしょうが、明日できるわけでもないってのが大変なところ。子分のシンクタンクにどれだけ書かせても、ないものはない(笑)。

ここで、アメリカは「super-duper missile」を持つことになると言って、アメリカの現状に心当たりのある人を困惑させた。日本語的にいえば「超スゴイミサイル」みたいな感じ。

ロシア >> 中国が既に持ってる極超音速ミサイルと違う分類なんでしょう(笑)。

渾身の冷戦護持派大勝利であるらしい日本 (2)

 

で、逆に、メディア主導で適当な騒ぎを作ってレジームチェンジして、当該国の資産を分捕るという作戦を「利益」と考えてきたグループにとっては、これは大ピンチ。

要するに、これら「カラー革命」主導グループは、一部の人間の金儲けのために、アメリカという棍棒を振り回して、見境なく世界中をぶっ壊して、人殺ししてたということ。

だけど、このナンバー1ターゲットのロシアが強くなっちゃうし、頭はフル回転してるし、イラン、北朝鮮はミサイルの精度を上げることによって致命的な反撃を可能にして、米(と子分)の作戦を台無しにしてしまった。

【脱線】アメリカはユーラシアにいないし、強力で戦いに慣れた陸軍を持ってない。ここがロシアと正反対のところ。だから、イランにせよ北朝鮮にせよ、本当に戦争になって持久戦覚悟で来られたら、アメリカは自分では勝ちきれない、収拾できない。空爆では戦争は終わらない。だから、本気で迎え撃つぜとイランや北朝鮮が言い出すことは、アメの戦略にとってはピンチ。これがミソ。

 

大西洋NATOと太平洋NATOを作って、国家を離れたハイパー関東軍みたいなことをやってる勢力にとっては、痛い。そして、トラちゃんの考える強いアメリカを立て直す構想とも合わない。むしろ、マジものの敵。

で、大西洋NATOと太平洋NATOは、ドイツと日本が反旗を翻さずむしろ金だしてシステム維持に余念がないから持っているという側面は強力にある。天壌無窮のアメリカ体制は、実際にはこの体制。

これは、前から書いてるブレジンスキーが作った三極委員会というのがこの構想の元みたいな感じもする。

しかし、その元の元は、1945年に多くの人がこれで戦争は終わりだと思ったのもつかの間、勝手にナチだの大日本帝国だのから人材をスカウトとしていって対立構造を築いた「ダレス的な人々」ということになるんでしょう。

 

この構造の1つの現れがG7だとも言えるので、トラちゃんは徹底的にこの構図を崩そうとしている感じになるんでしょうね。

どうなるものかわかったものではないですが、面白い時代に巡り合えて私は嬉しい。

 

■ オマケ

で、人脈的に、「ダレス的な人々」というと、なんとなくアングロ&ユダヤに目が向きがちだけど、去年から書いている通り、 次に続くキッシンジャー&ブレジンスキーは、ドイツとポーランドの人。

ロシア系ユダヤ系ドイツ系:アメリカのID問題でもある

そして ソ連崩壊時の非常に混乱した出来事「ヨーロッパのピクニック」を仕掛けたのはオットー・ハプスブルグだと言われ続けている(そして、どうしてこんなことしてよかったの?と誰も言わない)。

その後統一ドイツがクロアチアをしかけてユーゴを崩して中欧を制覇したことからも、なにかここにドイツ集団、それも旧領主層みたいな人たちが、カトリックと結託して存在しているように思える。

中欧の制覇はドイツ勢のたっての望みですんで、現在、メルケルはヒトラーができなかったことをやった人物になってるどころか、イタリアも支配されてるから、第一次世界大戦はおろか、ナポレオンもできなかったことを達成した人になってる。

イギリスが出たがるのも無理はない。

前回の流れからいうと、現在は対仏大同盟ならぬ対独大同盟的なフェーズなんだろうか。

その場合プーチンはアレクサンドル1世となって、神聖同盟の構築をしないとならないわけだけど、今回は東にスライドしててかつての仏が独なので、仕方がないから、トルコ、イランと神聖同盟を結んでいると考えると話があう(笑)。

(僕ですね! アレクサンドル1世)

その上で、安全を考えて、前進ポストとしてベルリン・ウィーンとパートナー関係を結び再保障体制を作ってる、みたいな感じ?

これはホントに不思議な行動だった。2018年8月。

プーチン、オーストリア経由で平和的ベルリン入場

最後がこれ。パートナーだよ、をわざわざ見せてると思う(ドイツでやってるのでドイツの演出)。

ドイツは制覇した中欧・バルカンを守るために、ロシアとの間で、これ以上東に出ない、みたいな落としどころを探ってるってところだろうか。

ロシアは、NATOの内部のこじっちゃい奴らの暴発を抑えてくれるなら、大枠でそれでいい、みたいな? 

 

いずれにしても、過去についていえば、ドイツというより、オーストリアが鍵を握ってると思うな。

そもそも、第二次世界大戦の終結に向かったのは1943年頃なわけだけど、そこで早々にオーストリアをナチのドイツと分離して、ドイツとは別の主体として処遇しようと決めてる(モスクワ宣言)というのは、実に不思議な話。

 


 

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1 コメント

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Unknown (ローレライ)
2020-06-17 12:49:10
コロナ内乱の中の終戦スピーチ、武力内乱鎮圧に触れないトランプ。
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