アメリカの大統領選挙の民主党候補者選びでは、サンダースががっちり勝って来たようで面白くなってきました。何が面白いって、メディアを使って方向性を作ってきた層にとっては対処が難しい局面だから。
また、この大統領選挙サーカスでは、再度再び「ロシアゲート」が舞台にあがった模様。
実に馬鹿げてる。ロシアよりオリガーキがアメリカの民主主義を壊してると憤慨する人が出てくるのも無理はないでしょう。そしてだからこそサンダースに行っちゃう人が多いというサイクルなんだと思うわけだが。
さてそこで、今日面白いものを読んだ。
Moon of Alabamaさんという、シリアものではピカ1のブロガーの1人とみえるブロガーさんの記事。元職はドイツ軍の将校であったらしい人(オフィサーだったということは自身が語ってる)。
で、その人が、マイケル・ブルームバーグこそロシアのアセット(資産)だろう、と皮肉を込めた記事を書いていた。
Mike Bloomberg Is A Russian Asset
https://www.moonofalabama.org/2020/02/mike-bloomberg-is-putins-agent.html#more
内容的には、アメリカ政治の中でロシアが人を雇って偽情報をばらまいている云々と騒いでいたわけだけど、それがロシアのやり口だというのなら、それをやってるのはマイケル・ブルームバーグだろ、という皮肉。
実際、最近では、Twitterが何十人かのブルームバーグが金払って雇った人のアカウントを凍結したりしてる。
で、それはともかく、Moon of Alabamaさんの記事では、マイケル・ブルームバーグを「2人のロシア人の祖父を持つ男」と形容してて、ブルームバーグがユダヤ/ロシア系らしいとはどこかで小耳にはさんだことがあったが、2人のじいさんってことは祖父母共ということなのかと、wikiを見ると、
家族はユダヤ系。父方の祖父は、ロシアからの移民。母方は現在のベラルーシからの移民とあった。
Michael Bloomberg
His family is Jewish. He is a member of the Emanu-El Temple in Manhattan.[9] Bloomberg's paternal grandfather, Alexander "Elick" Bloomberg, was an immigrant from Russia.[10] Bloomberg's maternal grandfather, Max Rubens, was an immigrant from present-day Belarus.[11][12]
ベラルーシはソ連をぶっ壊した際に弾みで独立したようなところなので、ブルームバーグのじいさんが生きていた時分には存在しない。普通にロシア。
でも、ブルムバーグという名前はドイツ風。そして、母方のおじいさんのMax Rubensもまったくドイツ風。
しかし、ちょっと検索してみたけどブルームバーグは基本的にロシア帝国からの移民の子孫ってのは動かない模様。
ということは、ロシア欧州部のユダヤ人が多数いるところにいつの頃からかずっといたユダヤ人というより、いつの頃か知らないけどドイツからロシアにやってきたアシュケナージ(ドイツ系)ユダヤ人、という線だろうか。見た目的にはバルト海側のドイツからロシアにかけてどこにいても変じゃない感じ。
Moon of Alabamaさんはこの写真を記事に貼っていたが、なんかちょっと確かに近いグループっぽい気はする。Moon of Alabamaさんはドイツ人なので、記事の趣旨は趣旨として、二人を見ると、ロシアくせー、とか、あああのへんの人、みたいな何か感触があるのかもしれないななどとも想像した。近い民族同士でないと感知できないものってあるもの。
ついでに、ふと思えばサンダースはポーランド移民のせがれだと自分を表現していたので、そっちも見てみた。
サンダースは、父親がガリシアのユダヤ人。当時オーストリア・ハンガリー帝国。
母親は、ニューヨークのユダヤ人の両親に生まれ、両親はポーランドとロシアからの移民、とある。
Bernard Sanders was born on September 8, 1941, in Brooklyn, New York City.[10] His father, Elias Ben Yehuda Sanders (1904–1962),[11] was born in Słopnice, Galicia, in Austria-Hungary (now part of Poland),[12][13] to a Jewish family. In 1921, Elias immigrated to the United States, where he became a paint salesman.[12][14][15] Bernard's mother, Dorothy Sanders (née Glassberg, 1912–1960), was born in New York City[16][17] to Jewish immigrant parents from Poland and Russia.[18][19]
だがしかし、サンダースじいさんの祖父母がアメリカに移民してくる期間には、ポーランドという国は存在してないでしょう。ということは、ロシア帝国、ドイツ帝国、オーストリア・ハンガリー帝国のいずれかのコントロール下のポーランド民族の人ってことでしょうかね。
この背景でアメリカで育つとすると、基本的には、ガリシア(ウクライナ最西部)というのが非常に強烈なわけで、全体として反ロシア+ポーランド優越主義みたいな感じに育ちそうな気はする。現在のバーニーにこれがどの程度影響しているのかはまったくわからない。
ということで、民主党候補はどっちもとってもロシアがらみの人だということがわかった。
トランプはドイツ系とスコットランド系からの移民3世代目で、特に背景問題が大きいという話はあまり聞かない。普通に金持ちアメリカ人のドラ息子といった趣。
だがしかし、この人は、不動産屋だからというのもあるだろうけど、ニューヨークのブロンクスあたりのユダヤ系と親しいと言われている。
そこで、トランプに大金を投じていると言われる大富豪のシェルドン・アデルソンを見てみる。
父親は、ウクライナとリトアニアのユダヤ人の家系。母親はイングランドとウェールズの家系らしい。
His father's family was of Ukrainian Jewish and Lithuanian Jewish ancestry.[11] His mother immigrated from England, and one of Sheldon Adelson's grandfathers was a Welsh coal miner.[1
トランプのマブダチのようになっているベンジャミン・ネタニヤフは、
ロシア帝国ポーランド領時代のワルシャワの生まれの父親とオスマン帝国支配下のエルサレムに生まれた母親のところに、テルアビブで生まれた。
ということで、トランプはマブダチ関係からすると、ポーランド&ウクライナのユダヤ人に囲まれた、まったくの反ロシアと考えるのが筋って気がする。
■ ドイツ系&ドイツシンパ系
また、キッシンジャー、ブレジンスキーという戦後のアメリカの外交方針を仕切った2人の背景もまた、ロシアを抜きには語れないことも、そろそろ整理されていくべきテーマなんじゃないかと思う。キッシンジャーがまだ存命中なので止まってるのかも、だが。
ブレジンスキーは失敗したポーランド第2共和政を残念に思ってたポーランドのインテリのユダヤ系。当然のようにロシアを潰そうという発想に凝り固まり、特に、ウクライナを離せばロシアが大国になることはないと信じ切っていた人。
キッシンジャーの方は、ドイツのバイエルンのユダヤ人。ナチは嫌いだっただろうがドイツには愛着があったでしょう。そしてこの人は、第二次世界大戦末期のアメリカのドイツ占領地でアメリカ軍のために働いた人。つまり、ありていにいって、ドイツ敗戦末期にアメリカに忠誠を誓うドイツ人を許したり、裁判から逃れさせたりといったことに関わっていた人だと見える。
ダラス的世界の下っ端だったところから、上に上って行った人と言っていいんなかろうか。
さらに、本人の資質の問題ではないけど選挙民の問題として、シカゴはワルシャワの次にポーランド人が多い都市などと言われることもあるぐらい、ポーランド系が多いことで知られる。
つまりここを選挙区としている限り、外交の方向性に一定の縛りがかかる。経済理論などもそうでしょう。オバマはシカゴの出だというのも覚えておきたい。
■ アメリカのアイデンティティ問題
で、この状況って、よく考えてみる間でもなく、アメリカ人でロシア周辺に何の関係もない生まれ育ちの人たちからしたら、この偏りって何?と不満に思うにきまってる状況でしょう。
一般的には、ユダヤ人ばかりだ、といった言い方をされるけど、よく考えると、ロシア帝国周辺民ばかりだ、という言い方だって成り立つ。
そして、ロシア帝国憎しで固まることによって便益を受け、次にソ連はイカンで便益を得て、再びロシアを倒せといっては便益を得る、みたいな連続性を持った一群だとも言えるでしょう。
これを放置すると、ロシアを敵視することが生業になっちゃう。
ロシア人を人間として見ることができた最後の大統領はケネディだったんじゃないかと前に書いたけど、ケネディはこれらの集団とは関係がないというのも1つポイントだったのかもしれない。所与の前提としての敵、である必要がない。
また、思わぬ副作用としては、この長期にわたるロシア敵視政策によって、この人たちは祖先の故郷との豊かな関係みたいなものを持てないという点も重要だと思うんだなぁ、私は。
持てないから、ユダヤ性とかいう概念を作り出して、ユダヤ的価値がどうしたこうしたといった話を次から次から語るような風潮がアメリカのユダヤ人グループにあるんだと思う。自我が安定してない。故郷を失ってるから。
これはイスラエルのユダヤ人にも当てはまる。実は親父の、祖父の、曾祖父の故郷は別にあるから。ただ、アメリカのユダヤ人ほど酷いようには見えない。それは多分、ガリシアから来た、ワルシャワから来た、ミンスクから来たというのがイスラエル社会では「傷」ではないからだろうと思う。
アメリカではこれは、戦前においては貧乏な、恵まれないところから来たという「傷」であり、戦後は敵国ソ連から来たという「傷」だったんじゃないか。
例えば、カーク・ダグラスの両親は、ロシア帝国のベラルーシのユダヤ人の多い小さな町の出身者。第二次世界大戦中にドイツ軍が入ってて例のごとくせん滅的にユダヤ人を殺して行ったところの人。この人が俳優として売れている時にはこうした背景は知られていないでしょう。今でも、ユダヤ系とはいうけど故地には触れられないことが多い。
ということで、もういい加減、アメリカは、欧州東部から足を洗った方がいいと思うな。ドイツ系種族の東方拡大願望に付き合うのは止めたらいいと言ってもいい。この外交方針を続けていると、アメリカがどんな国なのかがわからなくなる。
ナチスドイツの本質を隠蔽せざるを得ないからでしょうか。そのナチスに乗った米英も全く同罪で、戦勝国だから裁く側にいられた、それだけ。
闇の奥絡みでアフリカ化と言う用語が、一流のヨーロッパ人が現地化し変質してしまうことを意味したように、アメリカ化、と言う用語で彼らの変質を説明出来そうですね。
この倒錯した捻れ現象は、現世代では解消は出来まいと思います。
ではありません、ナチスと一緒に暴れ回った連中がそのままアメリカに逃げ込んで、一矢報いようと現在まで活動を続けているということです。
イスラエルも建国したが、そんな辺境の地へ行く物好きはいなかったので、シオニストはナチスと組んでユダヤ人を迫害、ヨーロッパから追い出したのです、ナチスだけの問題ではなくユダヤ自身が虐殺の当事者との深い関係が問題なのです。
ナチスとシオニストは深く結びついています、これが明らかにならない限り、解決しないでしょう。
luna様、ご指摘頂いた点ですが特に修正することはありません。バンデラ主義者であろうが、ウスタシャ賛同者だろうが、それは個人的趣向によってその排他的行動に出たならず者です。民族的には私が書いたような立場だったと思っています。luna様が指している者達は、同じfolksにも手を掛けることが出来る狼藉者だった、と言っても良いでしょう。
私は、この点を意識して区別しているつもりです。ユダヤ人問題も然りです。
2週間前のハアレツの社説タイトル。at all costsというのが不気味。
バーニーや、IfNotNowのような団体を、Self Hating Jew、Antisemiticとよぶらしい。日本でいうところの「自虐」か。
同じユダヤ人に向ってAntisemitic呼ばわりするユダヤ人のアイデンティティって、それこそ何?
支配層にとって、バーニー以外なら誰でもいいらしい。バーニーの一体何が、彼らにとって許容範囲を超えるのだろうか。
予備選でインチキがなければ、バーニーが必ず勝つ。バーニーVSトランプ。ロシア疑惑同士の一騎打ちというのが、何とも皮肉。
何となく、私にはこのバーニー旋風が、イスラエル内政の動きと呼応しているように思える。AIPACに忠誠を誓わない初の大統領誕生なるか。
生バーニー、見に行きたい。
思うに、バーニーはユダヤ人であるというより、自分をポーランド移民の子孫と自己規定しているという点で、これら、帰着点のないユダヤ人グループとは異なる、とも言える気がします。虚構のアイデンティティ派ではない。(その代り、年が年なので左翼にありがちな反ロシア帝国で歴史を理解しているかもしれませんが)
イスラエルの内政とはもちろん連鎖していると思います。そして、もちろんプーチンの「ホロコースト」事実関係解明の動きにも関係してるでしょう。