米軍の爆撃機が今世紀最も北朝鮮寄りに飛んだとかでちょっとした騒ぎになっている。
それはそれとして、そういえばその海域の少し北東にはウラジオストクがあって、そこを拠点として現在、ロシアと中国の海軍が26日まで演習をやっている。
で、そのウラジオストックを拠点として同じように、10月19日から29日まで、インド軍とロシア軍が陸海空軍合同で演習をするそうだ。
ロシアの海の演習の履歴を見ると、7月バルト海で中国軍、9月日本海からオホーツク海で中国軍と、10月ウラジオ近郊でインド軍と、となかなか忙しい。
インドの意図としては、チャイナをけん制するためにロシアとの戦略的パートナーシップを有効に活かしている、というのと、ロシアは去年だったかパキスタンと演習をしているし、パキスタン・中国ラインは強固なので、このまま放置すると、パキスタン・中国ラインにロシアが近づけば自分の立場に影響する。ということでロシアとのラインもアピールせんと、でしょうか。
ロシアの意図は、ロシア、中国、インドというSCOの3つの柱をバランスさせる取り組みの一環です、でしょう。
演習にもいろいろあるけど、これらの演習は、それぞれ、大きな、威圧的な演習ではないと言っていいかと思う(軍が集まればそれ自体威圧的ですが)。
しかし、今行われているベラルーシとロシアの合同演習は、俺らは絶対に負けないからな、とNATO諸国に見せつけるためにやっているもの、と言えると思う。もちろんどこまで言ってもそんなことがオフィシャルにはならないだろうけど。
というのは、もちろん、NATO諸国がちょろちょろちょろちょろ、士気のないまるまる太った兵隊が修学旅行に行くかのようにロシア国境で演習をしているから。冷戦期のNATOはグラディオ作戦をやるような悪辣な組織だったが、近年はISと一緒に石油泥棒はするし、シリア、リビアで強盗の用心棒となるしで、もう、悪辣さというより不埒な組織になってる。
だからロシアとしては、ここらで、掛かって来たらどうなるのか覚悟してやっとけよ、と見せる必要があるということだと思う。
そして、安全保障においてベラルーシは完全にロシアと一体だかんな、というのも再度、再再度、再再再度、見せつけておく必要がある。相手がバカだから。
プーチンが演習を見にった(閲兵ってやつでしょうか)のは、その意図に重みを付けるためでしょう。
左から、ショイグ国防相、プーチン大統領、ゲラシモフ連邦軍参謀総長
大統領府のサイトが出して来た写真にはいろんな写真があったが、TASSは下(上の2つのうちの下、ということ)の写真を記事に添えていた。あんまり威勢のいい写真を出してないのは、重みは欲しいが大騒ぎになっても困る、という判断からこうなったのかなと思った。
こういうのを出されると、何かあるのかな、と騒がれるから。これはウクライナ危機の時の演習の写真だと思う。この場合は、完全な不機嫌の表明でよかった。
総じていえば、ここ数年の動きは、重武装の大国の本物の軍(軍産ではない)が、素人戦略家だの政治家だのといういわゆるシビリアンをなんとかして適切なレベルのところでコントロールしていると見える。
アメリカのダンフォード将軍が、シリアに飛行禁止区域を設けろと大騒ぎするバカ議員に対して言った一言が事態を雄弁に語っているでしょう。
宴の始末(13) 「飛行禁止区域設定するって、ロシアと戦争だよ」by 参謀本部議長
上院議員:シリア上空を支配するというオプションはどうですか?
ダンフォード将軍:シリアの上空すべてを今支配するということになると、それは私たちに戦争することを求めます。シリアとロシアに対してです。それはかなり根本的な決定です。ですからもちろん私は決定できません。
ヒストリーチャンネルでパイロットが「SAMが飛んで来るのがみえたので、ぶっちぎった!」と有頂天になって説明してましたよ?