トランプとヒラリーの演説会は見なかった。今からyoutubeをという気にもなれないので見ない。
このへん、ロシア語ができなくてもプーチンが長い演説したら必ず見て、聞いて、英語になったスクリプトを読みながら理解しようとするのと、もう全然違うなと自分でも思う。プーチンの話には世界のみならず国家とか集団とか、個人とか、歴史とか法とかについてホントにホントの洞察があるから、聞くとだいたい充実した気分になる。世界中の多数の人がプーチンを追っかけるのは単に強い国ロシアを見ているからではないと思いますね。理性と情熱のかみあったリーダーっていいなというだけでもなく、なにか啓蒙されるところがあるからじゃないかと思う。
で、それはともかく、自称超大国らしいアメリカの二人の話。
そこかしこに主流メディアが書いている話はどうでもいいが、この瞬間だけが重要だったと言っている人がゼロヘッジに投稿していたので、読んだ。なるほどと思ったので、ちょっと探したらBloombergも取り上げていた。
トランプは、「私たちは、大きくてデブデブの、醜いバブルの中にいる」と言ってた。
"The Donald Nailed It" Stockman Screams "We Are In A Big Fat Ugly Bubble"
http://www.zerohedge.com/news/2016-09-27/donald-nailed-it-stockman-screams-we-are-big-fat-ugly-bubble
これこれ。このやり取り。象徴的だわ、ほんと。
Trump: We Are in a Big Fat Ugly Bubble
即興で訳すとこんな感じ。
<ヒラリーが、私たちの国のこれからを担う人たちにだの、中産階級をもっと全面的に支援するようなだのへちまだのということを滔々と述べる。それを黙って聞いていたトランプ>
......典型的な政治家ですね。話すだけ、何もしない。いいこと言ってるように聞こえる。でも機能しない。決して実現しない。私たちの国は苦しんでいるんですよ。なぜなら、クリントン国務長官のような人々が、私たちの仕事について、現状について間違った決定をしたからです。
見てください。私たちは、大恐慌以来の最悪の経済的リカバリーを経験しています。そして、私を信じてください、私たちは今、バブルなんです。良さそうにみえるものは唯一、株式市場なんです。しかしほんのちょっとでも金利を上げれば、クラッシュが来るでしょう。
私たちは、大きくてデブデブの醜いバブルの中にいるんです。十分に注意した方がいい。そして、私たちには、政治的なことをやっている連邦準備制度(FRB)がある。FRBのこのジャネット・イエレン。 FRBは政治をやっている。金利をこのレベルで維持することによって。
私を信じてください。オバマが去って、彼が残りの人生をゴルフをプレーして過ごすようになって、金利があがる、すると非常に悪いことが起こります。なぜならFRBは彼らの仕事をしていないからです。FRBは国務長官ヒラリーさんよりもっと政治的になっているんです。
原文は、ここ。
率直にいって、これを現状と認識しているトランプの方が、そこをまったく無視して、90年代でも80年代でもいつでも同じようなことを言ってるクリントンよりずっとup to date、最新の動向に明るく正直なんだよね。
まぁクリントンは、一般人の貯蓄者を裏切って、ゼロ金利を続けて銀行だけを救いましょう、という人たちの代表者なわけなんだから仕方がない。
グラス・スティーガル法を廃止したのはクリントン夫の政権だし。
ベイルアウトはもう無理で、ベイルインという事態が次々に発生するとかなったら世の中どうするの、だし、この醜いバブルの中で金融業界の代表者を再び政権につけて置くのはとても危険ではないのか、と私は思う。
そして米にも結構そういう人はいる。
で、結構いたからこそ、共和党からトランプ、民主党からバーニーという形になった。
クリントンはそこを作為と操作で乗り切って、「トランプは差別主義者なのよ!」の方が重大だと感じる人とか、「あらゆる悪事はみんなロシアのせいなのよ!」という人を騙しながらここにいる。どこまで行けるものなのか。
■ 投票行動について
そういえば、日本語になっている記事でCNNがわ~っとクリントンが勝ってる、みたいな話が出回ってたけど、CNNとかニューヨークタイムス、ワシントンポスト等々みんなが聞いたことのある媒体は全部クリントン当選を目指す側ですから、割り引いてみないとダメですね。
で、なんでこのへんの人たちはこういうムードを作ろうとするのかというと、基本的にクリントン支持の人は少ないからでしょう。
考えてみればわかるけど、民主党候補者選びで半数近く(ひょっとしたら半数以上?)の民主党支持者はバーニーに回ったわけです。ということは、何がなんでもクリントンに投票する人たちは民主党支持者の半分しかなく、熱意のある支持者は金融、軍事がらみの人とかネオコンとか、ブッシュ政権の閣僚とかそんなんばっかり。
元々の民主党の基礎票にあたる部分の人は、多分半分を優に上回る割合で白けるばかりなので、投票日にいわゆる「寝ちゃう」可能性がある。わざわざ行かないってことね。
それに対して、トランプ支持者はここまで主流メディアの爆撃にもめげなかった人たちだから、投票行動を起こす可能性は高い。
これは、Brexitの時と同じですね。大雨にもかかわらず投票に行ったのは離脱派だった、と。
というわけで、まぁ不正選挙がない限り、クリントンはどれだけ「世論調査」が良好でも土壇場なんだと思われます。
■ 思いつき
と、金融がらみから思うのは、南シナ海問題とは、つまるところ日本の日銀を完全コントロールしておくための材料に過ぎないのではないのか、というところ。
シリア、ウクライナは西欧グループが過去何百年も取りたがってるところなのでいつでも紛争ぼっ発の可能性はあった。しかし、東、南シナ海はそういうのとは違う。尖閣はむしろ日本側が周到に紛争化したというべき事態のように思う(昔は思ってませんでしたがだんだん調べてそう結論します)し、南シナ海は通行できてるんだし日本は部外者なので出来ることにも限界がある話。
これはつまり、東シナ海、南シナ海で緊張を高め、日本の中で一つの政権に固まるしかないんだ、なにしろ安全保障なんだから、という形にするためのネタではなかろうか。
構造はこんな感じ。
1. 目標は、日銀を完全コントロールして必要な時に緩和につきあわせたり、タイムラグ作らせる。その余波として株価高騰が来るのでお前らもいいだろうと日本のエスタブリッシュメントを抱き込む。
2. その間日本国内の経済対策はかなりスカスカになる。総合的かつ将来対応のプランも考えられない。(もとより考える能力のある奴らを蹴落とさないと1を遂行できないから、バカしか残らないともいう)
3. 1に付き合う政権が倒れたりしないよう常に緊張を起こして国内の不安を逸らす。国内の不祥事、事件、国外の危機、危機、危機の連続で、2の重要性に気付かせないことが肝要。
という感じじゃないのかな、と思ってみたりもする。
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最近しみじみ、この100年というのは人類史上最もくだらない100年だったなと思ってます。不可逆だとは思いませんが。