シリア情勢は、テロリストを庇うためにはどうしたらいいのかを苦闘するアメリカは、ついにロシアに、お前らが下がらないなら外交関係を断って、軍事オプションも考えるとかケリーが言い出している。
US To Suspend Syria Diplomacy With Russia, Prepares "Military Options"
http://www.zerohedge.com/news/2016-09-29/us-suspend-syria-diplomacy-russia-prepares-military-options
これって要するに最後通牒なわけです。あんまり話題になってませんが(笑)、宣戦布告まであと一歩、の状況なんです、はい。
(つか、戦争のやり方としては既にシリアを侵略し、その上で正規軍を白昼堂々空爆した時点で、アメリカは勝手に戦争を開始し、かつ、エスカレートさせているとも言えるんですけどね。)
何のためにこんなことを言っているかといえば、自分たちが停戦をぶち壊したために、シリア軍が自国内の行動に制限を課された状態から解き放たれてアレッポでの戦いを開始し、それを逆から見ればアメリカは自分たちが使ってるrebelsがロシア軍、シリア軍、イラン軍に包囲され、ダメになる確率があがったから。
で、前にも書いた通り、ここにメディア的なトリックがあって、rebels(反乱者)と書くと普通に聞こえるけど、この人たちとアルカイダ系統その他のテロリスト(国連認定)たちが分かれていない、別れたくない、このまま一緒で、という状態なのが実に問題なわけです。
宴の始末(10) ISIS・アルカイダのために戦うアメリカ
つまり、前から冗談っぽく言っている通り、アメリカはテロリストたちをなんとかして庇うために、ロシアとの核戦争も辞さじという状態に、本当になってる、と。
いやぁ~すごいです。笑えないけど笑っちゃう。
さてそこで、やっぱりこの状態は異常なので、なんとかせなと思うアメリカ人たちも増えてきている。最新のヒットはこれかな。
アメリカ&イギリスのヤング右派は最近合同で動いているんだけど、そのグループ、つまりアレックス・ジョーンズあたりのグループが作ったんじゃないかと思う。
シリア人の女性が、今何が起こってるかお話するわね、ってんでお話している。国連でミーティングやっても話がまとまらない、アレッポのrebelsはテロリストと分かれないわけね、アメリカがテロリストを庇ってるというのをなかなか上手に説明している。
What's REALLY Happening in Syria
一日で10万ビューも行ってる。偶然、結構もりあがったみたいな時間帯に見てたんだけど、話以前にこのシリア人ガールがホットなために、コメント欄が大混乱になっていた。いわく、ガール、あんたホットすぎて、男はあんたが何を言っているのか耳に入らないと思う、みたいな感じ。笑ってしまった。
でももちろん聞いてる人もいるわけで、ちょ、ちょ、ちょっと待って、私はあんまり時事おっかけてなかったんだけど、何が起こってる?? え、俺らってbad guys?みたいな、アメリカの主流メディアが伝えている事情と全然違う事情に驚く人々というのもたくさん見えた。
こうやってこの話は拡散していったし、今もいる、ということでアメリカの現在は主流メディアはこれらの人々の努力に負けてるなって感じ。
共和党支持者では14%しか主流メディアを信じてないという衝撃の調査があったばかりだし。
アメリカ人のマスメディアへの信頼度、さらに下がる
■ 「アメリカは俺らの側にいる」by アルヌスラ
一方、Jürgen Todenhöferさんというドイツ人のジャーナリストが、アルヌスラの司令官にインタビューしたのが、9月26日だったかにドイツで発表され、その余波は今も徐々に広がっている。
結構長い対話をしているので一言でいうのもなんだし、いわゆるテロリストのおっちゃんと人間対人間で語ってるこのジャーナリストのおじちゃん、なんかカッコいいなとか思ってみたりとなかなか興味深いインタビューなんだけど、今日的にいえば、焦点は、アメリカはシリアの反体制派を支援して、最終的にはテロリストに武器が渡ることをよく知ってたよ、ということがテロリスト側の人も証言も交えて動かないものになってきてる、というところでしょう。
‘US knows weapons sent to Syrian rebels end up with terrorists’ – German journo to RT
https://www.rt.com/news/360865-us-arms-terrorists-syria/
ドイツ語のオリジナル
Interview mit Al Nusra-Kommandeur „Die Amerikaner stehen auf unserer Seite“
http://www.ksta.de/24802176
英語翻訳(あちこちにあるけど一例)
http://russia-insider.com/en/syrian-al-qaeda-tells-german-journalist-us-stands-our-side/ri16681
まぁみんな知ってたといってしまえばそれまでなんだけど、同じことをロシア人がやっても、アメの現在では、それはプロパガンダだ~で一蹴できるけど、ドイツ人なのでそうはいかないという点も大きい。
で、それも含めて、すっかりおじいさんであるアメリカの元大統領選候補者ロン・ポールは、そもそもブレジンスキー一派がジハードを対ソ戦で使ったところから問題だったんだという射程の長い話をしている。そうなのよ、ほんと。
Al-Qaeda: 'America Is On Our Side'
https://www.youtube.com/watch?v=xgkCLF4EuDs
■ まとまらないまとめ
まとめはないんだけど、総じていえば、少なからぬアメリカ人たちはマジでオバマ政権のシリア対策に怯えてると思う。ホントに何をしでかすかわからないんだ、とだんだん腹に収まってきた、みたいな。
選挙戦でヒラリーが苦戦すれば、その間にシリア情勢を動かしがたくする何かを企んでくるだろうと想像している人も結構散見できる。大事件を起こして、それをロシアのせいにすることで、国民を反ロシアで固めていく、するとその先にはマジの撃ち合いの戦争が想定できる、と。
で、現在のオバマ政権とそれと軌道をあわせてしまってるNATO関係者には、ロシアと核戦争をやっても大したことにはならないと、マジで思い込んでいる奴らがいるように見えて仕方がないという観測は前からずっとあるんだけど、ここに来て、これこそマジで問題なんだろうという感じになってきた。状況を見定めていくといずこも同じ結論になるんだなとかも思った。
そう、元NATO司令官とか、何か、思想めいて信じ込んでいたわけですよ、自分たちの勝利みたいなのを。人事変更があったから大丈夫かと思えば、出てくる奴出てくる奴みんなおかしい。
一方、ドイツの動きも興味深いですね。ドイツは、全体としてみると大連立を組んで異論が上に上がらないような仕組みにしてしまっているんだけど、政府自体がストレートにオバマ or ソロスのケツをなめるメルケルと、ロシアとの対話を模索する外務大臣&一部経済関係の高官で意図的に分裂状態にすることで、両方の異論をマネージしてる、みたいな感じ。でもそれを掻い潜って、ジャーナリストがなかなかの働きをしていますね。
上の人もそうだし、2年前にはこんなのもあった。
ドイツ人ジャーナリストの告発本、ベストセラーに
ドイツ人ジャーナリスト、プロパガンダ報道に加担してきましたと告白
あと、ウクライナ危機の頃、NATOがらみのリーク情報はドイツから出ることが多かった。ってことは軍関係者の懸念も大きいんだろうな。
まとめて考えると、政府 or どこか高いところが嘘を基に報道を抑える時には、それをブレークすることが非常に重要だとマジで思ってる、または感覚として危機感を抱く人がいる、ってことなのではなかろうかと思ってみたりもする。
プロパガンダが異常な力を発揮した過去を持った国と民族として、その経験から非常に冷静な対処法を編み出しているってことなのかも。息をつくためには、空間が必要だ、みたいな感じでみんなして小さな穴をあちこちに開けているような感じがする。
リビアと同じようにね。
だからドイツが警戒するのは当然ですよ。
ウクライナのネオナチなんて何をするか不明だし。
イラク人とかシリア人が大量提訴したらいいとは私は思い続けてますが、でも、アメリカ人にこの権利を与えるのは賛成しかねるなぁってところがある、と私は思ってます。
これ、ぶっちゃけISD条項と同じグローバリストの匂いがすると思うわけです。