呑気にロシア、イランの文明的で壮大な構想の話を楽しんでいたら、近場では奇妙なことが起こっていた。
フィリピン大統領、ロシア・中国との連携模索へ 年内訪問で
http://jp.reuters.com/article/philippines-politics-duterte-idJPKCN11W2NL
[マニラ 26日 ロイター] - フィリピンのドゥテルテ大統領は26日、記者団に対し、年内にロシアと中国を訪問し、独自の外交政策を展開するとともに、両国との「連携を模索したい」と表明した。
大統領は、フィリピンは旧宗主国である米国との関係で「後戻りできない局面」にあると発言。そのため、他の国との関係強化を模索する中で、米国と歴史的に対立関係にある二つの大国を連携相手に選んだと明らかにした。
アメリカの記事はもっと詳しい。
それによれば、ロシアと中国にすべての分野での協力を求め、来てくれる会社には長期間の土地のリースも認めると言っているらしい。
この間のラオスでの東アジアサミットの時には、ロシアのメドヴェージェフ首相に、自分はアメリカとの関係でルビコン川を渡ろうとしていると言ったのだと、ドゥテルテ自身が言った、と。
Philippines' Duterte to forge closer ties with China, Russia
http://www.usatoday.com/story/news/world/2016/09/26/philippines-duterte-closer-ties-china-russia/91117082/
これは一体なんでしょう?
2週間ぐらい前、フィリピンがロシア、中国から武器を買おうとしているという記事はRTで読んだので、何かあるとは思っていた。
その時の記事によれば、フィリピンは米国との同盟を切ろうとかしているわけではないが、独立した姿勢、独立した外交方針が必要だとドゥテルテは語り、続けて、
フィリピンは米国主導の南シナ海のパトロールを止めようとしている、なぜなら、フィリピンはトラブルを望んでいないから、と語ったという。
Philippine leader seeks arms from Russia & China, pursues policies independent from US
Published time: 14 Sep, 2016 04:55
https://www.rt.com/news/359255-philippines-us-independent-policies/
で、上のUSA Todayの今日の記事には、脈絡なくこんなパラグラフがある。試訳するとこんな感じ。
レポーターにルビコンを渡るとはどういうことなのかと尋ねられ、彼はそれは「もはや後には引けない(point of no return)とういことだと語った。彼は問題はフィリピンの米国との相互防衛条約では、フィリピンが攻撃を受けた場合に、米国政府はフィリピンの防衛を保証していないということ、米国大統領は議会の承認が必要となるためだ、と語った。
Asked by a reporter what he meant by crossing the Rubicon, he said it was "a point of no return." He said the problem was that the Philippines' mutual defense treaty with the U.S. does not guarantee that Washington will come to the Philippines' defense if it is attacked because the U.S. president would need the approval of Congress.
これって日本とまったく同じ事情ですよね。尖閣問題は日米安保条約の範囲内で~すと何度言ったところで、それは自動参戦の防衛義務を意味してないってのは知ってる人はみんな知ってるって話。
で、この2つの記事をあわせて考えるに、この大統領はつまり、アメリカは南シナ海問題を突っついてフィリピンと中国で戦争となったとしても、自国が出てくるわけではない、ってことを言ってるじゃないですかね。
この人乱暴者には違いないけどそもそも検事さん出身なので、法律文を理解しているから、このまま行ったらフィリピンは捨て駒だ、と思ってんでしょう
まぁ、大正解なわけですが(笑)。
そうそう、アメリカの戦略は、フィリピン vs 中国、または、日本 vs 中国で争わせて、自分があたかも善意の仲裁者のように振る舞うってところでしょ?
でもって、その無責任なアメリカに腹を立てても始まらないので、中国、ロシアとの関係を強化して、戦争にならないようにしようとしてんだよ、ってことなのではあるまいか。
さらに、中国、ロシアに長期で商売してもらっていいぞと言っているのは、アメリカに仕返しされる場合に備えて、強い奴のプレゼンスが欲しいっていうストレートな話ではあるまいか。
最近、ペソが売り込まれて、外貨が流出しているみたいだし、これはつまりこれを察したいつもの奴らが脅しでやってるんでしょう。
それに対して、ドゥテルテは、
「投資を引き揚げろよ、やれろ、どうぞご自由に」
「俺はイデオロギーのバリアの向こう側とも付き合いを始める。中国、ロシア、おいで」
と言った、と。
"Withdraw your investments, go ahead, be my guest," he said. "I will open up to the other side of the ideological barrier — China, Russia, come."
いや~、びっくりするほど直接的な人が現れたもので、笑ってしまう。
この話題の肝は、フィリピンとアメリカの安保の部分だと思うんだけど、これ、日本の新聞書くんでしょうかね? ちょっと楽しみ。
ロン・ポールの連邦準備銀行を廃止せよ | |
副島 隆彦,副島 隆彦,佐藤 研一朗 | |
成甲書房 |
公共貨幣 | |
山口 薫 | |
東洋経済新報社 |
そのことを属国そこよく分かっているんですよ。
だからフィリピンは中露にもすり寄る。
ドゥテルテの発言は注目すべきです。
属国こそ宗主国の混乱に敏感。
アメリカは別に内戦ではないと思います。一般人が支配者層に我慢がならなくなって反乱めいている、とは思いますが。
フィリピンは、さやあて以上に非常に大胆な一歩を踏んだなって思います。自分でルビコンと言ったわけだし。
アジアシフトって何だったんでしょうね。最初から疑問でしたが結果的にみれば別にシフトしてないですよね。
むしろロシアが呼ばれてる(笑)。なにこれ、って感じ。