イランのローハニ大統領がカスピ海周辺との関係強化に力を入れているように見える。
今日はアゼルバイジャンでアリエフ大統領と会って、地域紛争は外交的手段によって調整すべきだという点で一致したと会見していた。
Iran’s president calls for political solutions to regional conflicts
http://www.presstv.com/Detail/2018/03/28/556758/Iran-Azerbaijan-Armenia-Karabakh-Rouhani
念頭にあるのは、アゼルバイジャンとアルメニアとの間のナゴルノ・カラバフ戦争。面積的にいえばとても小さなこの2カ国がソ連解体後激しく戦って、平和条約は締結していないのでテクニカルには停戦中であるだけ。
で、時々動意づくことがあってそのたびに周辺各国がひやひやしてるようなところ。
でので、アゼルバイジャンとイランはかなり奇妙な関係なんだが、ともあれここが親密になって、その一方のアルメニアは歴史的にそうであるようにロシアと組む、ということにあればこの4カ国で話し合うというフォーマットができる。ということは、成り行き任せで現地組みが小戦争を起こす確率は減少する。
なんというか、ソ連崩壊後、ここらへんを西側が自分の島にしようとしたわけだし、真っ先にやったのはアゼルバイジャンを篭絡して、バクーを押さえてそこから石油を積みだしてトルコに降ろすというパイプライン。
これが、ロシアを通さないでヨーロッパに石油を出せました!というおめでたい出来事だったわけだけど、それ以降結局あんまり続いてない。
バクーを取りにいくって、それってまんまナチスだよなぁとかいうのも興味深い。実際。西側の根幹にあるグループにとってバクーは因縁の地だと思う。
と、それらこれらがほとんど走馬燈ですね、という感じがしてしまうのは、イランとロシアが共同でここらの地域の安定に尽力するという気になったら、別にわざわざ大西洋の向こうから誰かに来てもらう必要はないから。
トルコで訓練させて、グルジア通してチェチェンにチンピラを送り込んでいた仕組みは、今ではかなり下火になったと言っていいでしょう。もちろん完全になくなったわけではないからロシアはまったく安心などしてないが。
そして、つい最近のこの話も、今後も頑張るから言ってるわけではないでしょう。
ワッファービズムは西側の注文で広めました by サウジ皇太子
Russia and Iran may enter free trade zone agreement in spring
http://tass.com/economy/992987
というあたりを考えてくると、いやほんと、the Westは中東方面から中央アジアを狙ってたステルスの紛争惹起メカニズム(≒対テロ戦争)を維持できない、つまり、負けているという話なんだと思うんです、私は。ステルスの一極支配なんてもう無理なんだってば、と。だけどそうは言いたくないから、覇権を放棄しているのだとか言うスローガンめいたものが降ってくる。トランプ政権発足と同時にこんなことを言う人たちが出て来たでしょ。私は違うと思ってるんですよね。前から何度も書いてますが、トランプに出来る最善は上手く敗戦処理をすることだったと思うんだけど、上手く出来てなくて余計なダメージを食らうばかりといった感じ。
で、今それはそれなりに恐怖なのは、乾坤一擲のバカがいるかもしれないから。ロシアが、というよりロシアの軍が柄にもなく毎日スピーカー持って大騒ぎしているような感じなのはそれを防止するためでしょう。
■ 関連
ロシア、イラン、アゼルバイジャン@テヘラン
人民元建て原油先物取引と中露イランの安定