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草津白根山の小規模噴火と暗黙の想定

2018-01-24 20:17:37 | アジア情勢複雑怪奇

草津白根山が噴火した。といっても噴火の規模としては非常に小さいものと言っていいんだろうとは思う。

が、それでも噴火の割れ目から200メートルかそこらしか離れていなかったところに結構な人がいて、犠牲になった人もいた。

そらそうなるだろうと思うのが、この動画。ゴンドラに乗っていた人たちが撮影したもの。ゴンドラという比較的丈夫なカプセルの中で、噴煙があがるところから、1分もしないうちにゴツン、ゴツンと小石がゴンドラに当たりだして、雨あられ状態になって、続いて噴煙の中に入る様子を観察したようなもの。これって多分、相当貴重な映像なのでは?

逃げ場がない...緊迫 噴火の瞬間

https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20180124-00000870-fnn-soci

 

■ 相当しばらく起きていない大規模噴火

いやしかし、火山の噴火ってこの程度のものでいつもすむ必然性はない、ってのが怖い。

日本の場合、世界有数の地震、火山国なのはもはや言うまでもないのだが、その割に、なんとなく火山についてあんまりこう、関心の向き方のスケールが小さいようななんかそんな気がすることがある。

何と比べているかというとアメリカ。意外に思う人もいるかもしれないが、火山をもっとこう地球的規模に、あるいは地球物理学的にというか、なんせもっとずっと上からの視点で大規模な問題としてとらえている感じを私は持っていた。はっきり言語化できないのだが、日本の取り組みと異なる感じがあるなぁと前々から思ってる。

どうしてそうなるのかというと、もともとグローバリストだってところは置いておいても、それ以外に、多分、一つの理由は、アメリカは1980年というつい最近に火山爆発指数5の大規模な噴火をセントへレンズ山で体験しているからなんじゃないかという気もする。

この山が、

あっという間にこうなっちゃった。

 

日本の場合は、上からの目線で見るよりも、噴火を下で見て、こんな風に感じました、大変でした、怖かったです、みたいな話にどうも引っ張られている感じが非常にする。これはもちろんとても大切なこと。被害に遭う人がいないようにするとか、被害にあったらどうやって助けるかというのを考えるためには。

が、それってすべての火山事象には適用できない。破局的噴火が起こった場合、対策って近寄らない意外にないし、近寄らない選択すらできない場合もあるでしょう。

だから、すべてにおいて対策が可能であるかのような前提でものを語るのは間違っていると思う。やっぱり2ウェーで考えるべきじゃないですかね。自然には勝てない場合もある、なぜならウチが立ってる土壌は火山、地震だらけだ、というのをテクニカルに知らせることと、できる場合に何をすればいいのかを考えること。

 

と思って、wikiで火山爆発指数を見ると、日本って火山爆発指数5以上の相当やばい噴火は、1739年の支笏カルデラのところの樽前山を最後に起こってないらしい。その前が、1707年の富士山宝永大噴火。

20世紀のリストでは、下記2つが火山爆発指数4

1914年 桜島、
1929年 北海道駒ケ岳

List of large volcanic eruptions of the 20th century

※それ以外に、1991-95年雲仙普賢岳が総量で4

19世紀のリストでは、下記が火山爆発指数4

1853 有珠山
1856 北海道駒ケ岳
1889 諏訪之瀬島

List of large volcanic eruptions of the 19th century

 

と、微妙に、大きいが破局的とまでは言わないような噴火が続いているということになるんでしょう。しかし、当たり前だが日本付近ではこれどまり、ってことはないわけでしょ? 

それはちょうど、日本付近ではマグニチュード8以上は起こらないものと想定して計算してました、とかいう話とかぶったりするんじゃないかと思ってみたりもする。

怖いことを言うようだけど、全体的に何か勝手な想定のもとに様々なことが語られているような気がしてならない。ああ、避難訓練しながら、実際にはそんなことは起こらないと思ってるのと似てるか。とすると、タカ派の平和ボケ亜種、または、タカ派平和ボケ汎用型とでも言う?

いやいや別に何かを、誰かをくさしたいという意図はまったくないが、何かがちゃんとしてない、なにかがへんな気がしてしようがない。

 

■ オマケ

こんなことを書いていた、ちょうどいいものが来た。

「十和田」噴火時の被害想定公表

http://www3.nhk.or.jp/lnews/morioka/6044673811.html

灰や火山ガスが流れ下る火砕サージと呼ばれる熱風が火口から半径およそ30キロの範囲に広がるとしています。
青森市や弘前市、それに南部町などを含む12の市町村のほか、秋田の一部と岩手の一部のあわせて17市町村に被害が及ぶことになります。

この規模になったら、

協議会は今回の被害想定をもとに住民や観光客を避難させる計画の策定を急ぐことにしています。

という事態ではないでしょう。その前に、兆候と共に観光客を入れないにするための手順を明確化しておくとか、誰が責任者になってその号令をかけるのかとかいう話がまず必要だし、そして、この規模のものが出た場合には、復興とかいう生易しい話じゃなくて、ここの住民をどこに移住させるか(永久とは言わずとも)、という話さえ必要ではなかろうか。

やっぱり、上で書いたように、日本でなじんでる火山爆発指数4どまりのものを漠然と火山の噴火と考えているからこういう話になっちゃうんじゃなかろうか。ピナツォボ山の噴火をリアルタイムでいろいろ見聞きしたこともあるだろうになぁとも思う。

 


 


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4 コメント

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斬首作戦&北朝鮮攻撃Xデー (蔵権)
2018-01-25 10:47:10
そうなんですよ。日本は下からの視点ばかりで上からの視点がない。北朝鮮の核問題の顛末でもつくづくそう思いました。トランプや軍高官が『我々には攻撃オプションがある』等と発言すると、そこにマスコミが食い付いて『アメリカはいつでも北を攻撃できる』と飛躍させて報道していましたね。

例え話で失礼しますが、自衛隊が参加しているリムパック演習ってありますよね。冷戦時はソ連軍との艦隊決戦を想定して予め設定した前提条件を元にシュミレーションしていたんだけど、本当に米ソが開戦したら数分以内に全面核戦争にエスカレーション化して、米ソの国民人口の9割超が1時間以内に消滅し、13個の空母打撃群も1つ残らず核弾頭がぶちこまれて艦隊決戦が始まる前に戦争が終わってる訳です。しかし、いきなり核弾頭ぶちこまれて艦隊が消滅するという想定では、演習が成り立たないので、通常兵器に限定された戦争が起こるとの想定で、前提条件を設定して演習をやります。

同じように北朝鮮の攻撃オプションでも米軍にフィクションの前提条件、限定条件で攻撃プランが存在しているのでしょう。しかし、フィクションの前提条件でプランがあることと、国家の政策として採用出来るプランは違う訳です。

日本のマスコミは解っていてやっていますよ。米が弱腰と観られるような国家政策レベルの発コメント、情報が出ると、オペレーションやタクティクスの次元の話がすぐに出て来て、前記の情報が火消しされる。これに騙されちゃうのも視聴者の大多数が上からの視点で観ることを知らないから。
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ビッグピクチャーがない (ブログ主)
2018-01-25 13:17:12
要するに、ビッグピクチャーを見る気がないという点で共通しているような気もしてきました。
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Unknown (はな)
2018-01-26 03:08:04
雲仙岳の火山爆発指数は4です。
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雲仙を追加しました (ブログ主)
2018-01-26 14:43:25
はなさん、どうも。

私もなんで雲仙が見当たらないんだろうと一瞬思ったのですが、フォローしてませんでした。
で、今ちらっとサーチしてみましたが、代表的っぽいところを見ても(気象庁、産能研)、VEI4と書かれているものがない。
研究者の論文にはあります。思うに、定義にあわない、あるいは合わせると誤解を生む?みたいな噴火活動なのではなかろうか。
5年間の活動の総量で4だが、一回に2を超えるものはない、ってことなんじゃないかと思われますが(
この辺を読みました。
https://volcanohotspot.wordpress.com/2016/11/17/mount-unzen-dome-complex/)、そう書くと小さいみたいに思われちゃって警戒にとって不利益だ、みたいな?

いずれにしてもお知らせ、ありがとうございました。忘れるところでした。
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