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エネルギー危機騒ぎ:ブツと金融

2021-10-02 17:22:24 | WW1&2
ヨーロッパのガス価格が高騰して大騒ぎする中、中国では結構な範囲でリアル停電が起こっている模様。

とはいえ、両者は原因が異なると思う。

後者はブツはある。中国のエネルギー資源は圧倒的に石炭依存で、電力で使う石炭は9割方国産であるらしい。

だから、無くて困ってるのではなくて、
石炭単価が高騰
操業を続けると発電所を持つ事業体が赤字になる
解消するなら、消費者に価格転嫁
だがしかし政府が値上げを認めない
事業体、赤字を垂れ流したくないので操業できなくなりました

ということみたいにみえる(間違ってたら修正します)。


その前になぜ価格高騰か。多分、折からの化石燃料への投資削減なる世界の流れと同様、目先の採掘に投資しなかったのでは? 中国は石炭は大量にあるが、次第に採掘費用が上昇することから電源の多様化に励んでる最中。

解決策が何になるのか知らないけど、
石炭価格を不用意に高騰させない枠組み作り、というのもオプションかも。

完全統制するとやっかいなので、採掘者と発電事業者間で長期購入するなどして市場価格連動型のリスクを小さくしていく、といった感じが来るんじゃなかろうか、などと想像してみたりもする。

あとは、天然ガスに切り替えていく見通しをもっとはっきりさせるといった発表ものも来るかもしれない。

「シベリアの力」パイプライン2 を作ろうか、という話は去年報道されていた。でもこれでも足らないですけどね。

1の話はこのへん。2020年。
大日本帝国風味& ロシアの東西ガス情報


解決策までの間、北側のいくつかの小規模の市町村などはロシアから電気そのものを買えるよう交渉したらいいんじゃなかろうか。長期的になるのは双方望まないだろうけど、一時的なバックアップとしては心強いし、その間大都市に集中できる。


■ ハンガリー

他方では、先週、ハンガリーがロシアのガスプロムとの間で、天然ガスの15年契約をしていた。

それによりハンガリーの天然ガスは、ウクライナを経由せず、セルビアとオーストリアから入れることになる。比率としてはだいたい、3:1ぐらいみたいだ。

セルビアの天然ガスはどこから来るかというと、トルコ。

トルコ・ストリームというロシアのパイプラインが2020年1月に開通。トルコに陸揚げして、そこから欧州の派生パイプラインで運ぶ。

黒海を通したパイプラインはずっと前から稼働していて、それは主にトルコの消費を目的としたものだったが、2014年あたりにサウス・ストリームという同じく黒海経由だがブルガリアに陸揚げするプロジェクトをEUが横やりを入れたので、ロシアがもうそれは止める、トルコに2本目を敷くと言い出し本当に完成した。トルコから先は欧州内で悶着して、という話。




ハンガリーとガスプロムの契約内容は詳細までは公表されていないけど、パイプラインなので、完全市場価格連動型(つまりスポット)でないことがメリットなんだから、価格の暴発というのは基本的にない。

欧州内のパイプラインはソ連時代から敷かれていて、ソ連崩壊時ですら正常に稼働していて欧州内の受益者は何の損害もなかった。90年代末からパイプラインを政争の道具にしたのはもってEUとアメリカ。


もちろん、ウクライナは怒り狂ってる。通過料収入がオリガルヒの資金源となり、ウクライナで騒ぐことによってロシアと欧州各国に波風を立てることが目的なのに、回避されているから。

ウクライナだけでなく日経も怒ってるらしいが(笑)。

ハンガリー、ロシアからガス輸入 ウクライナが強く反発
黒海経由での輸送に
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO76152690Z20C21A9EAF000/

【モスクワ=石川陽平】ロシアとハンガリーがむすんだ天然ガス供給契約を巡り、ハンガリーとウクライナが対立している。28日には両国が互いの大使をそれぞれ呼び出して抗議した。欧州では天然ガスの価格高騰の一因をつくったとしてロシアに対する批判が出ており、ロシア産天然ガスに関する新たな問題が起きた形だ。 

いつの間にか、欧州の天然ガス高騰の原因はロシアになっていた。

ロシアは契約義務は履行していて、それ以上の注文が来なかった(EU側は夏場の貯留が不足していた)までのことなわけだが、いつの間にそんなことになっている。


だがしかし、ハンガリーのオルバン首相は、

ウクライナ政府の批判は関係ない、なぜならハンガリー政府は自国民に責任を負うのであって、ウクライナにではない、

Kiev’s criticism of Hungary’s gas deal with Russia irrelevant because government accountable to voters and NOT Ukraine – Orban
https://www.rt.com/russia/536369-kievs-criticism-hungarys-gas/


だそうです。言わずもがなでしょう。

日経にも言ってほしい。お前に何の関係があるんだ、と。

日経は、投資家こそ世界の王という世界に住んでるので、投資家が不安になるようなことを各国政府はすべきでない、とか本当に言いそうだけど(笑)。


■ 何なのこれ?

欧州のエネルギー価格の高騰にはそれはそれなりに理由はあるわけです。そもそも夏ごろから心配されていて、ロシアのメディアではこれは不味いだろうと指摘されていた。

普通は冬場に向けて夏の価格が安い時期にガスを貯めておくのに、貯留量が低いままだった、かつ、夏場の風が弱かったので欧州の電力用にもガスが必要だった。

そこに、コロナ後の強い需要が来て、アメリカはハリケーンでいろんな施設に影響が出た。それらすべての要因を勘案すれば、普通に高騰はあり得た。

で、何もしなかったのはEUなわけですよ。

これはアホなのか、それとも、人騒がせな作戦なのか知らないですけど。


そして、このエネルギー危機という騒ぎがおかしいのは、欧州方面は、またまたガーディアンとかブルームバーグといういつもの奴らが、ロシアのせいだ、プーチンが止めているのだ云々と、尾ひれ歯ひれをつけて騒いで、日経がそうであるように、いつのまにかロシアのせいになっているのが目立つ。

ロシア勢は、何も騒いでない。

そこから考えるに、アングロ+米シェールガス業界が、前者はいつものように冷戦体制の維持、後者は価格高騰を狙って、金融市場を動かしたのかしら、といった線から考えてみることも突飛ではないと思う。この価格レンジだとシェール産業は稼働できるから。

(だからといって、欧州をアメリカの「自由の」エネルギーで救うほどあるとは誰も信じてない。それどころか、アメリカの産業界は、国内の高騰を回避するために、天然ガスを無制限に輸出するなと議会に陳情してるらしい。)

しかし、そうだとすると、もちろんはた迷惑で、ほとんどサボタージュ(破壊行為)みたいなものでしょう。一般人がひたすら迷惑する。

でも、この人たちならやりそう、としか思えない。

そして、ブツの経済こそリアルな経済だと信じる私としては、金を刷れるならなんでもできると思ってる倒錯した人々の取り組みは、ほとんどすべて失敗を余儀なくされるだろう、と思って見てる。



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1 コメント

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脱炭素ナチズムが西側に牙向かう (ローレライ)
2021-10-03 21:05:07
脱炭素ナチ運動で投資不足労働者不足の形で西側諸国の経済システムを凍結させる!
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