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戦間期の日本軍の動きはまだよくわかっていない

2014-11-23 17:29:33 | 参考資料-大正

数日前のエントリーで、シベリア出兵は問題だったと書いた(30年代に出版されたユダヤ関係の本を読んだ)。これによって、ロシアを完全に敵にまわしただけでなく、総体としてのロシア人(ソ連だろうがなんだろうが)に、対日の復讐を誓わせる契機にさえなっただろうと思ったから。

しかし、実際日本に与えた影響は、それ以上だったと思う。

シベリア出兵に言及した場合、日本語の本の中ではしばしば、シベリア出兵に行った兵隊たちのうちには赤化したものがあり、とか、共産主義にかぶれてきた者があり云々といった記述を目にする。

私はそれは、兵士というだいたいにおいてあんまり豊かでない層から出て来る人たちが、革命によって王様とか支配者を倒せば俺らの天下になる、みたいなよく言われるモチベーションの問題なのかなと思っていた。

あるいはまた、後年の北一輝から二二六事件に至るまでの、社会主義的政策に対する理想化の問題なんかも広くはここに含まれるんだろうか、などとも思った。

いずれも間違いではないとは思う。しかし、日本の一部の人々にとってはもっと別の方向に影響していたと思う。それは、クーデーターによって、つまり比較的コンパクトな軍事力によって政権を打ち立て理想的社会を達成しようとする大きな情熱だ。日本の陸軍は、知らず知らずのうちに、日本列島を守る軍というよりも、なぜだか大陸で新世界を築くことを使命とする軍に変貌していた。

大陸に拠点を得た日本人の中には、日本とは日本列島の国ではなくて、大陸の国になってしまっている人々が登場する。彼らにとって日本の中心は東京でも京都でもなく、ハルビンあたりなのだ

この変貌は1917年に起ったボルシェビキによるロシア帝国打倒のムーブメントとそれに対するいわゆるシベリア出兵、しかし現実的に考えればロシアに対する干渉戦争を抜きにしては考えられない。私たち、そんな人たちじゃなかったでしょ、だって、なのだ。

一般に現在のなんとなくの感覚では、それは満洲帝国を作ってしまったからと思われているんじゃないかと思うが、実際にはむしろそれは途中経過だ。

それは例えば、ハルビン学院という組織がシベリアでの干渉戦争の最中、大正9年(1920年)に、後藤新平の推挙で出来たことなどを考えれば、何かが、東京に住んでいる普通の日本人の与り知らぬところで動いていることがわかるというものだと思う。

ハルビン学院は、当初は日露協会学校という名のロシア語専門学校として出発し、貿易関係のために存在しているかのような顔を見せてはいるものの、とてもそんなものでは治まっていなかった。同学院は満洲国成立後は、満州国立大学ハルビン学院となる。

このへんがとても詳しい。

ハルビン学院と満洲国 (新潮選書)
芳地 隆之
新潮社


で、シンプルにいってこれは、ロシアから見れば単なる対露スパイ機関だったろうし、逆に東京から見れば、何かとてもロシアに入れあげている奴らの集まりになっていただろう。

■ ほんとはよく分かっていない戦間期の日本軍

1920年代は激動の時代だったので、まぁそういう人たちもいてよかろう、日本人も元気だったな、など思って読むのもいいのだが、しかし、今から考えてみると、日本国としての政策、戦略がバラバラになっていく端緒は実にこのへんにあったと考えるのは妥当なことだろうと思う。(にもかかわらず、なぜだかフォーカスが当たらない)

日本列島を中心に住まいする日本人にとっては不可解なことばかりなんですよ、ほんと。

日本陸軍と内蒙工作 関東軍はなぜ独走したか (講談社選書メチエ)
森 久男
講談社

(この本はタイトルがなんか左翼的、日本にひたすら批判的と見えるけどそういうのじゃないです。むしろ逆)


さらに悪いことには、満洲周辺だけで何かをやっているのならともかく、日本陸軍はこの第一次と第二次の大戦のいわゆる戦間期を通して、ず~っとポーランドと密接だ。ポーランドと書こうかポーランド軍と書こうか迷ったが、この時期においてそれはどちらでもいい。なぜなら、この時期のポーランドは軍事独裁国家だったからだ。

ということは、日本というのは、欧米各国とその中でうごめく金融資本との密かな暗闘に自ら突っ込んでいったともいえるんだろうと思う。最近起ったウクライナの出来事を見ても分かる通り、ポーランドというのは英米の世界支配のツールだ。ドイツまたはロシアのいずれもが東欧から黒海にかけて、ひいては地中海東岸から中東にかけてに影響力を及ぼすようなことはあってはならない、との考えの元に英米支配層によって築かれた(復活させてもらった)国家だ。

  このへん参照。この本ホントに簡単だけど使い出がある(ただし、所詮は冷戦期の著作という点に注意)。

地政学入門―外交戦略の政治学 (中公新書 (721))
曽村 保信
中央公論社

ここで多くの現在の日本人が大誤解をしている(と私が思う)のは、英米支配層にとっては別にロシアが共産主義になったからダメとかそういう話ではないのね、まずもって。日本の「保守層」という名の右派がすっからかんにバカだなぁと私が思うのは、ここが分かってないこと。体制より地理的ポジションの方がずっと重要。

であれば、ポーランドを通じて独ソの動きを探ろうとする日本は、ソ連にとって鬱陶しかっただけでなく、ほぼ間違いなくドイツにとってもそうだっただろう。そしてこの両方にとって、ポーランドは鬱陶しいが、しかし対処可能な存在だと思う。

日本はドイツと防共協定、同盟を組むがそのいずれにおいても、ざっくり言って裏切られているも同然だ。少なくとも振り回されている。しかし日本の方もドイツに対して必ずしも協力的ではなかった。このへんの作用、反作用の経過は従来東京にいてみえていることを中心に考えられてきたと思うが、それだけではおそらく足らないんだろうと思うのよね。

とかとか考えていくといろいろと陰謀論を組立てたくなるのだが、それは追々考えるとして、一つだけはっきりしているのは、戦間期の日本の、特に大陸に行っていた人々の動向、目標と資金源はまだあまり明らかではないことだろう。

左は左ですべからく日本軍のやったことは悪とすることで、右は右で日本は東亜の安定秩序を作るために聖戦を戦ったのだといった調子で大くくりにすることによって、このへんを詳らかにすることを阻んできた。これは冷戦期にフィットした考え方でもあったのかもしれないが、いずれだんだんそれでは済まないことになっていくんだろうと思う。

 


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