国会が始まると安倍ぽんのアホさ具合が見えるというのは去年と同じこと。そして今年は去年よりもはるかに多くの人が安倍ぽん内閣にあきれている。
さて問題は次。これを倒した後どうしたらいいのか。倒して野田が出てくるのなら、壊れたぬいぐるみを飾っておいて機能不全の方がましだったとなる可能性は結構ある。TPPを呼び込んだのも、第三の開国などと言い出したのも菅直人。多くの人は安倍にくさに都合よく忘れているようだが、民主党政権は最初と最後がまったく別の集団になっていた。
よく英語圏で、the train has left the station(電車は駅を出てしまった)とかいって、もうその話は終わった、フェーズは変わったというようなことをいうんだが、今の日本の立場を国際的に見るとそこが理解されていない気がする。
いきなり日本が、自己都合で中国さんと仲良くなることになりましたので、あんたもそのつもりでいてくださいと言ったとしても、この10年ぐらいの間に国際情勢は大きく変化してしまったので、10年前の日中関係には戻らない。
ロシアに関しては、前にも書いたけど日本はロシア外交を国内向けの消費財にしまっているので、ここから信用関係を作ることはかなりの長期プランでしょう。そもそも世界有数の不仲な間柄なんだし。だから、適宜個人間がそれなりに交流できるようになってからでないと政治的な話で進展はないと考えるべきなんじゃないですかね。
数日前見て、ほぉと思ったのはこの数字。
露沿海地方、日韓からの観光客数が過去10年で最多
https://jp.sputniknews.com/russia/201801294518817/
同地方のコンスタンチン・シェスタコフ観光局長によると、過去10年間にわたって、韓国から沿海地方を訪れる観光客数は年間2万~3万人の範囲で推移し(唯一の例外は16年で、この年は韓国から5万人以上を受け入れた)、日本からの観光客数は7千~1万人となっていた。
そのような中で、2017年は沿海地方にとって突破口を開くものとなった。昨年は韓国から約10万人、日本からは1万8千人以上が同地方を訪れた。
日韓って書いてるけど、韓国からロシアに観光に行く人が過去10年間一貫して多く、ついに昨年は韓国は10万人に達し、一方日本は2万人以下だった、と書くのがわかりやすいでしょう。
人口は日本の方がずっと多いことを考えると、へ~って感じはある。韓国は2005年あたりからとっくに冷戦が終わってるって感じなんですよね、多分。
このへんも、日本が約20年、中国崩壊、韓国経済崩壊、ロシア財政破綻と叫んでいる間にこんなことになっていた、みたいな話の一つでしょう。
■ GSOMIA
韓国に関して近年で最も重要な話ってこれですよね。
宗純さんの今日のエントリーから引用させていただきます。
6年前の2012年6月に署名の1時間前に野党に発覚して担当する国防部長官(国防大臣)の首が飛んで大騒ぎなったGSOMIAですが、これは韓国民が全員強硬に反対しているので絶対に無理なのである。
窮地に陥った李明博大統領は、仕方なく自分の『反日』(愛国心)を演出するために竹島に上陸するは、日本の天皇に謝罪を要求するわの上を下への大騒ぎになっている。(韓国では『親日』とは売国奴の意味)
この曰因縁言い難い、日韓秘密軍事情報の共有密約(GSOMIA)が、なんと2016年11月にすんなりと通って仕舞った。本来なら韓国民が全員強硬に反対しているので、絶対に無理なのです。
前回の李明博大統領で無理なら、パク・クネ大統領は支持率4%で首相さえ任命できない死に体なのですから、常識的に判断すれば、本来はもっと無理だった。ところが大人の常識がこの問題に限ってまったく通じない。
すんなりと日韓秘密軍事情報の共有密約(GSOMIA)が通ったが、翌月には、なんと今度は圧倒的な票差で(与党から大量の造反議員が出て)大統領の弾劾が可決れているのですから怖ろしい。矢張り無視筋だったのである。
http://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/58517a258790fc4082a8d8ff113fb076
この話を政治の話題の中でしっかり扱った形跡がまったくないのが日本の現状。これでいいんかい、っていい訳ないんですが、韓国といえば慰安婦ですべてが流れちゃってる。
■ イギリスのメイ首相、中国訪問
そんな中、今日はイギリスのメイ首相が中国を訪問していた。李克強首相が迎えていた。これはメイ首相は元首ではないから習さんは出ないということですね。
1月には、フランスのマクロン大統領が訪中した。もちろんトランプ夫妻の訪中も記憶に新しい。
■ オーストラリア、中露は軍事的脅威ではない by 外相
オーストラリアでは、ビショップ外相が、ロシアと中国はオーストラリアにとっての軍事的脅威ではない、と言ったというので、ちょっとした or 大変な、騒ぎになっている。
Russia, China no military threat to Australia: Foreign Minister Bishop
http://en.people.cn/n3/2018/0129/c90000-9421248.html
なんでこんなことを言うかというと、アメリカ国防省が1月に出した方針が、口を極めてロシアと中国は敵だ、敵だ、敵だと書いていたため。
このへんのフレーズがよく引用されているかな。いわく「中国とロシアは世界を自らと同じ独裁者モデルに変えようとしていることがますます明白になってきた」とか言うわけですよ。
“It is increasingly clear that China and Russia want to shape a world consistent with their authoritarian model — gaining veto authority over other nations’ economic, diplomatic, and security decisions.”
この辺りは、アメリカ人の多くももう面倒くせーって感じでスルーしてるんだけど、もちろん主流メディアは、わいわい言いまくってる。で、それで実利を取ろうとするのはもちろん、軍と治安のコミュニティー。
そこで、オーストラリアは安全保障を米に、経済を中国を中心としたアジアに大きく依存しているため、現在国の中がまた裂き状態。
過去30年このかた不況らしい不況もなくやってこれたのも、チャイナとの良好な関係が大きい。そこを壊して何になるんだというのは誰が見てもわかる話。
そこで、外相がこのようなことを言ったということは、オーストラリアの政権内で話がまとまったということなのだろうか。このへんは今後の推移を見ないとわからない。
日本にとっても重大な発言ですね、これは。セキュリティーダイヤモンド構想はどうなってしまうんでしょう?
■ 択捉
北の方はこんな感じ。
ロシア航空宇宙軍の航空部隊、クリルのエトロフ島に陣地 政府の指示
https://jp.sputniknews.com/russia/201802014530323/
しかしこのニュースの価値がいまいちわからない。防衛陣地の話以前に沿岸用ミサイル複合体が配備されているはず。これこれ。
エトロフ島には、ロシア海軍太平洋艦隊の沿岸用ミサイル複合体「バスチオン」、クナシリ島には「バル」が配置されている。
いずれにしても、米軍と対峙していることをしっかり認識しているロシアです、という話でしょう。米ロ関係が非常に緊迫しているということの結果がここにある。日本は、現行の安全保障体系の中では、基地でしかない悲しい現実ともいいますね。
しかし、これは冷戦時代でも同じだった。にもかかわらず、日本国はそれを国民に教えずに来たので日本国民は総じていえばこの関係を理解しておらず、ロシアが何かをするたびに、「私たちはなんにもしてないのにぃ~」とか言い出す。この悪循環は、統治機構としてはおいしいだろうが、国民は愚かになるばかり。
■ 自民でも民主でも
で、お話は冒頭に戻って、ここで安倍が倒れるのは喜ばしいにしても、じゃあ石破になったら何か変わるのだろうか? なんか、日米合同委員会の悩みがなくなるだけという気がする。八紘一宇とか言い出さないだけハンドリングが楽じゃない?
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また、枝野政権ができたらどうか? どうですかね。前原と枝野は同じように育てられてきたわけで、安全保障に関して、つまり、対外的に何か変わる要素があるようには思えない。で、対中問題をぐじゃぐじゃにしていった張本人の一人は、民主党政権の前原でしょう。ここをどう考えたものだろう。
と考えてくると、中国やロシアから見れば、安倍でも枝野でも大した変わりはない、むしろ、前原みたいな暴発する奴が一番危険だから、総じて能力に乏しい安倍一派の方がましという考えも成り立つかもしれない。そして、アメリカにとっては、そもそもどっちに転んでも同じようになるように左右に手をかけて来たようなものなんだから、これも同じ。
そう考えると、現状は日米合同委員会にとってのある種の完成形なのかもなぁと思ってみたりもする。
■ まとめ
- 日中関係を壊し、TPPを導入し、第三の開国を叫び、安保法制も止めなかった、それが民主党だ
- 安倍は確かに360度、どこから見ても愚かだ
- しかし、安倍を倒すと私たちの手元に何かいいものがあると考えるのは幻想に過ぎない
ということになるでしょう。
また、対外関係に関していえば、
- 安保法制は自民+民主という二大政党が通した
- 対外戦争を可能にする法制度を作った以上、周辺各国はそのように対応を変えてくる
- 政権交代が起こったとしても、既に電車は駅を離れている
というのも大事でしょうか。
■ オマケ
なんでこんなどん詰まり(と私は思う)なのかというと、自民でも民主でも安全保障に差し障りなく行ける二大政党制を作ろうという1990年代のよくわからない決意のせいだと思う。安全保障は全範囲に及ぶので(特に貿易圏を設定する話が挟まったから余計に)、結局はすべてにおいて同じ方向を向くことにしからない。つまり、一生懸命30年かけて、大政翼賛会システムを作ったようなもの。
そしてその大政翼賛会は、総じていえば、アメリカよ永遠にという傾向がとても強かった。
ネオコンの世界制覇戦争を信じちゃった
90年代は自民党が若干リベラルが強かったので、対抗馬となると言っていた民主党とか自由党等々は自民党より右だった。重武装というワードが盛んに使われたのも、国際貢献としてPKOを出すとなったのも野党が乗り気だったから出来た話。しかし、2000年代になると自民党が右旋回したので、同じメンツが今度は「リベラルで~す」とか言い出した。これではさ、ダメっしょやっぱり。
立憲民主党はまだ海のものとも山のものともつかない状態なので、ここから綱領を作らせて枠をはめていって、それによって支持者との協議、協力体制を作らないとならないんだが、出来ているんだろうか・・・?