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ウクライナ雑報とルーブル妄想

2014-12-18 23:13:43 | 欧州情勢複雑怪奇

酷いよね~ほんと。みんなしてウクライナを守れだのへちまだのと言っていたのに、お金がなくて困ってますとウクライナが呼びかけても呼びかけても誰も恵んでくれません。俺たちは親友だ!とか大騒ぎをしてくれるアメリカさんは、よ~し、武器を与えよう!!とかいう暖かい支援をしてくれるみたいですが(笑)。

借金と債権の話はこの前書いた通り。

バルバロッサ作戦 v2: で、ウクライナを誰が助けるの?

で、昨日は仏独とロシア、ウクライナがお話あいをしたそうだ。

プーチン大統領 メルケル首相、オランド大統領、ポロシェンコ大統領とウクライナ危機について協議
http://japanese.ruvr.ru/news/2014_12_17/281383194/


状況から考える、EUは自分で全額持つつもりもないしそんなの出来ないし、ってんでプーチンに頭を下げつつ、いや、俺らの方がエライ、だって西側だからみたいななんかへんなことをしている風でもあり、いやそういうことじゃなくて、いやいやそういうことでもあり、じゃないのかなと思う。

つまりですね、前から書いているようにウクライナにおける戦闘みたいなものは、実のところメディア上の真実を支えるためのネタなんでしょうね。実際にはロシアと西側の間で裏に重大な話があって、これでどうだ、いや絶対ヤダとか書けないので、その交渉の過程をウクライナにおける戦闘において表している、みたいな感じ。

そういえば、一方でブルガリアが、サウスストリームはまだ脈があるとロシアに代表団を送ることになった模様。

ブルガリア政府代表団、「サウスストリーム」計画論議のため訪ロへ
http://japanese.ruvr.ru/news/2014_12_17/281379613/

しかしこれはブルガリアの意志というより、ドイツ(EU)の意志っぽい。メルケルがブルガリアの首相との会談の際に、EUはサウスストリームを諦めていないんだから、ロシアとの対話は続けるべきだ、と語っている模様。

The European Union has not given up on the South Stream gas pipeline project and therefore the dialogue with Russia must continue, German chancellor Angela Merkel told visiting Bulgarian Prime Minister Boiko Borissov during talks in Berlin on December 15.

http://sofiaglobe.com/2014/12/15/dialogue-with-russia-on-south-stream-must-continue-merkel-tells-bulgarian-pm-borissov/

私はもちろん、トルコ案の方が地政学的インパクトが大きくて遥かに面白いので、是非そっちを追及していただきたいと思ってるけど、同じ理由で、そうであればこそ尚のこと欧州連合はそんなこと許せないってのもわかる。だったらなんで下らない妨害案を出してんだよ、という話なんだが。

■ さてそれでルーブル

一応、

ルーブル急落のロシア 大統領「経済回復に2年程度」
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM18H7S_Y4A211C1MM8000/

 【モスクワ=田中孝幸】ロシアのプーチン大統領は18日、モスクワで年に1度の定例記者会見を開いた。原油安や欧米の経済制裁で厳しい状況が続くロシア経済について最悪の場合、経済の低迷から脱却するまで「2年程度かかる」とし、危機が長期化するとの見通しを示した。急落する通貨ルーブルの防衛では具体策を示さず、資本規制も見送るとした。

ということになってるんだけど、でもルーブル急落は1日で戻ってしまってるわけで、これまた追加の「メディア上の真実」ではなかろうか?

経済の低迷から脱却するまで2年って長いの? なんか、失われた20年の国からすると2年後が見えてるならいいじゃん ^^;;

とはいえ、ロシア経済が構造的に資源頼みになっていて製造業の回復というか改善というかが遅れたことによって苦しんでるのも本当。しかし、アメリカのマケインとか英米の金融業界の広報誌たるFTとかが叫ぶほどロシアには資源しかないかというとそれも相当疑問。それはアメリカ人たちからも疑問が出ていて、ロケットエンジン作ってる国に何を言うんだ、うちのマケインはボケだ、みたいなところはあるわけですね。だから、総じていえば産業構造に問題があるっていう言い方が適切なんでしょう。

だもんで、プーチンがこの間言っている通り、ルーブル安は製造業にとって好ましい効果もあるってのは本当の本当。で、多少ではあるけど工業生産、農業生産が伸びている模様。財政黒字だから、まだ資金の配分に支障を来しているという感じではないのではなかろうか?

で、昨日までのルーブルの時間足チャート。これを見ると結局適当な水準に戻ってるし、危機的水準(1ドル80ルーブルみたいな)だったのはほんの1時間かそこらで、あとは適宜だらだら買戻し、売戻しという風景にみえる、って感じなわけですね。

赤い矢印がロシア中銀が政策金利を6.5も引き上げて17%にしたところ。そこから一旦ルーブル買いが入って、それに対してモリモリとルーブルは売られた、とここで大騒ぎが始まったが、そこから実のところ徐々に収まっていた。

とうことは、これって、本当にその金融資本家たちがロシア経済を狙い撃ちした、って話なんだろうか?

売り方、買い方の主体の情報が見えてこないからなんとも言えないけど、なんか、ひょっとしてロシア当局に仕掛けられたんじゃないかとさえ思う今日この頃。

なんでかといえば、実際仕掛けるだろう筋がいてもおかしくはない状況だった、と思うんです。

で、しかけるなら、クリスマスからお正月の参加者の少ない時ってのが相場的には効率的ですね。で、それが嫌なので、こっちから挑んだみたいなのはないんですかね。

1月1日にユーラシア連合の発表もあることだし、来年早々のロシアは結構構造的な大胆さで騒ぎになることをやろうとしているようにも見える(上海協力機構がらみ)。だからこそ年末は危機だな、と。

でもそうするとロシア中銀のインサイダー疑惑になっちゃうからそんなことは誰も言わないんだろうけど、でも、ロシア当局の動きを読んで付き合う奴ら、ってのがいても不思議ではないと思う。

それは誰か。それはロシアの投資家。ルーブルが安いということは、ドル持ちにとってはとてつもなく良い値でドルを売れるってことでもあるわけですよね。だったら、ここで一旦手放すというのもありではないですか?

しかも、根性の入ったいわゆる西側の回し者的な大物オリガーキは別として、そうじゃない中小のロシア人投資家は、どうも俺らの政府は何か企んでる、マジで何か企んでる、こうなったら降参しておこう、俺らの政府は怖いから(笑)、みたいなのもあるんじゃないのかな~とか思う。それが、ルーブル買戻しがずるずる続いたわけ、とか想像してみちゃう。

政策金利17%というのもこのへんの対策ではないのかな。で、1月になると中央銀行の機構改革とかやってきたりするんじゃないかと思ってみたり・・・。

あと、こんなのもあるかも。

ロシア通貨を売り崩したらロシア通貨のみの騒ぎにはならず、その他通貨の暴落も待ち受けるわけで、世界経済にとって大変 なことになるんですよ、をきちんとコントロールして予行演習とした。逆にいえば、この機に乗じて売り崩しに参加する奴らがいたら、1ドル100ルーブルま ででも乗ってやる、という覚悟があっただろう。持ってるドル全部叩き売るインパクトは相応に大きいから、この脅しが怖いので結果的に参加する奴らは非常に 限定的だった(あくまで私の妄想ですからね、すべて)。

で、ロシア当局の外貨高も小さくないし、金もある国なので戦う資力はそれなりにある国なんだけど、その上に中国とスワップを結んでるのも重要かも。中国は万一何かあれば買い支える気があったんじゃないか。仮に現実に何も動かなくても、あると言えるだけの体力があるのがこの国。今日になって、中国の為替当局が、ルーブルの価値低下について我々は注視している、みたいなことをあえて言ったのはそのへんではないのか、と。

そもそも中国にとってはロシアルーブルが適当に安くなるのは大歓迎だけど、潰れていいことは何もないので支援の構えは経済合理性的にも地政学的にもまったく正しい。

さらに、ロシア国内向けに、お前らの通貨はルーブルなの、いちいちぐらつくな、というお達し効果も見逃せないかも。つまり、過去20年間の経済の混乱のせいで、通貨危機のたび小金持ちがドルですユーロですとぐらついてこれが社会の安定を阻害していたところがあるわけですが、それを終わらせて自国民の自国通貨への信頼を促したいってこと。実際今回は西側メディアが買い物に走るロシア人をわざわざ探してきて報道していたけど、総じてパニックはなかったとのこと。

で、こうやってみれば、原油安があるからこの程度でいいとロシアの銀行さんが言ってるラインにルーブルが戻ってきたわけなので、な、心配するなよ、と言えちゃうわけですね。

根本的にはインフレがあるから目減りを防ごうとして他通貨を選好しがちなわけだけど、平時はそれでいいとして平時でない時に大挙して一般人がドル買いに走るような過去20年間でしみついちゃったメンタリティーは是正せにゃならん、というのが上の方の考えでしょう。

 

そういうわけで、考えてみるに、結局今年一年非常に目についたのは、西側報道とは何なのか?という疑問だったりする。メディア上の真実は地上の現実とは大分異なるようなのだよ。


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