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ウクライナ危機というよりアメリカのアイデンティティ・クライシス

2014-03-08 20:35:59 | 欧州情勢複雑怪奇

天然ガス、クリミアめぐる米国の武器に
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304278504579424464075582246.html

う~ん。WJにあったわけだけど、本気で言ってるなら、なんだかなぁ・・・としかいえない気がする。米国産のガスを欧州で使わせるまでクリミア、ウクライナをどうしろと? 液化してすぐに出せる施設なんかないじゃん。

それに第一、欧州の特に「古い欧州」側にしたら、なんでアメリカの一極支配のためにわざわざ新しいことしないとならないのよ。ロシアは冷戦時代からずっと信頼できるガス屋さんです、で終わりだと思う。

アメリカが根本的におかしいのは、the Westという語を多用していることにあるかも。the Westという語は、日本語にする際にはほぼ自動的に「欧米」となっていると思うけど、妙な概念なんだよね、これは。

だって、場合によっては日本も含まれ、その場合には「西側」になる。でも、欧州といったって「古い欧州」と「新しい欧州」では利害が異なるのに、この語を多用しまくる。

「新しい欧州」というのはポーランドやチェコのことだけど、ここはだって、ヴェルサイユ体制の時にアメリカとイギリスが作った国といってもいいわけで、そもそも存在の基盤が英米頼み。東アジアでいえば韓国。ただし、ポーランド、チェコは両国とも長い時間を経過してきたのでそれなりに欧州内の隣国との関係をしっかりさせてきているけど、アメリカが突飛なことをするたびに、ほぼ自動的にアメリカの肩を持つことが多いので、やっぱりあの人たちは・・・と「古い欧州」から見られるということの繰り返し。欧州の安定を乱しているのは実はアメリカでありイギリス。

そして、それは彼らの側からすれば正しいこと。欧州がロシアまで含めて良好な関係を築き、大きな経済圏を作りました、なんてことになったら英米覇権は目もあてられなくなるから。少なくとも20世紀の前半はそうだったんだけど、今はどう考えてるんだろう。ここも不明といえば不明。ドイツとロシアを敵対関係のように書く人が時々みられるが、それはまぁたまたま戦争の成り行きがそうなるだけであって、別に完全なる敵では全くない。ロマノフ朝時代もソ連後期もドイツ、というよりドイツ産業界とロシアの関係は近い。むしろ、両国にいる国権派(この反対がグローバリスト派か?)は、無言のうちにず~っと共通の利益を探っていると私は思っている。

そういうわけで、ウクライナ危機は、実際には落としどころを巡って普通に外交交渉が行われているだけなのだろうが、アメリカおよびイギリスの主流メディアはムードとして「悪いのは100%ロシア」で進んでしまっているので、もうね、なんでもいいから言ってやれ的で面白い。

金融から攻めろという意見も読んだけど、ロシアって資源を巡っての英米を拠点とするユダヤ系とのバトルが有名なわけで、金融制裁としてロシアとの取引を止めるとイギリス他が言ってよこすとしたら、現状ロシア的には他のセクターは困るだろうけど、部分的には願ったりかなったりではなかろうか?

ロシア経済は資源と金融以外の製造業分野が遅れているのが特徴だとしばしば指摘されるけど、最終消費者向けの一般消費財で食ってるわけではないことが、むしろとても強みになっているようで面白い。ロシア製品をボイコットしろ~とか言っても、ロシア以外の国の一般事業者、一般家庭にどれだけそんなものがあるのよ、という話。ボイコットしようがない。

さらにいえば、ロシア国内のメディアが愛国報道してるだろうし、英語メディアのRTも、いろんな意見も出てきてるし、ロシア人のキャスターがロシアの侵略はいかん、とか言い出して騒ぎになった局面もあったが、まぁ安定軌道だと思う。つまり、ここを準鎖国体制にしているところも戦いにおいて崩れない要因だと思う。後方攪乱を防ぐ。

日本だと、日本政府が正しい主張をして今粘り腰で頑張ってますという局面で、背中から打ってくる国内勢ばっかりのような気がする。というか間違いなくそうなる。現状では。ここを変えない限り、無駄に強気とうことでなく、主張を通すことさえ難しくなる。

メディア戦を含んだ戦争として今回の危機を眺めると、ロシアのケースはいろいろ参考になるし、日本国の偉い人たちもそう思ってフォローしていると信じたい。信じたい。信じたい。

思えば、しかし、アメリカはなんでこんなこぶしの振り上げ方をしたんだろう。

クーデター政権をあっさり承認して、その暫定政権を調べるプロセスもなく大金を投入するこのスキーム自体がすでに怪しいわけで、ここを大人の事情として見逃してもらう代わりに、外交交渉で落としどころを探る、というのが上策だったのではなかろうか。

それを、クーデターの部分は飛ばして、つまりロシアがなぜ動いたのかの原因を飛ばして、ある日突然ロシアが侵略した、ウクライナの一体性を守れ、法律違反だ、野蛮人だ、クマが来た、共産主義者は変わらない、等々とメディアが煽ったことが、少なからぬアメリカ人にとっては楽しかったかもしれないが、面倒なことになっていると思う。

アメリカこそが現存する最古・最強の革命支援国家になっているというこの状況をどうするのか、というのもあるなぁ~。

世界中でもう見慣れてしまったけど、オレンジ革命だ、バラ革命だ、アラブの春だと革命輸出ビジネスみたいなのを続けていると、そのうちロシアだけでなく、多数の国々からも、一番の脅威はアメリカのその「民主化」支援組織です、になってしまうような・・・。出たな、永久革命論者!って感じ。

(それなのに、アメリカの一般人たちが、ロシアを共産主義者だと叫んでいるところがとても痛い。ロシアは現在むしろロシア帝国国権派の時代だと思う。)

ふと思うに、日本の民主党政権というのもこの民主化ビジネス組織となんか関係があって出来たんじゃなかろうか? 民主党が異常にもてはやされていた時代は不気味なものがあった。総選挙で勝った後には「歴史的勝利」みたいなことを言っていた。

そういえば、思い出した! 「これは革命なんです」と確かにポッポ鳩山由紀夫氏は選挙演説の中でそう叫んでいた。私は、「革命~????」とTVの前で、「おかあさん、私が日本にいない間に、日本には革命が必要なことが起ってたの?」と言ったことを覚えている。なんか民主化ビジネスのレクチャー受けすぎで、日本国として言っていいことと悪いこともわからなくなっていたんだろう。

と、とりとめもないが、共和党に期待するのは多分無意味な気がするで書いた通り、ウクライナ危機は、問題はNATOであり、ロシアとの関係についてのアメリカの方針が定まらないことが大きな問題としてあると思う。そして、そもそもではアメリカは今後 どういう国家になるのかについて迷いが生じているというのもあると思う(一極支配モデルを持ってしまったことが迷い道だった?)。

つまりウクライナ危機は、アメリカのアイデンティティ危機によって誘発された側面もあるしみじみ思う。

(アメリカの一般人は、しかし、ロシアが暴走している、拡大している、とみている。いや、ウクライナという西欧とはまるで異質なところまでNATOに入れたがっている勢力拡大主義はアメリカで、ロシアは今回に限っていえば防戦。)


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