キムさんとトランプさんがめでたく会合を持った。
歴史的だという文言が飛び交っていたが、まさにそうだと思う。水面下でいくらあっていてても米国と北朝鮮がこんな形で会って、朝鮮戦争終結のために向かおうという意思を確認したことはこれまでなかったんだから、まったく歴史的で、そしておめでたいことと言うべきでしょう。
とはいえまだ何かが取引されたわけではない。まだ初会合。声明文出してたけどあれは取引じゃなくて声明。今後の方針を皆さまにもお伝えしますという話。
金、トランプ共にワシントン、平壌を訪問するというのを約束したようなので次のラウンドがまた出て来るでしょう。
そして、その間にもいろんなことを言いながら各方面の反応を試しているといった趣もあると思う。
その中で最も衝撃を生んでいたのはこれではなかろうか。
北朝鮮を取り囲んで毎年やってる、南朝鮮との軍事演習について聞かれて
これは話し合わなかった、話してない。私たちは war game はしない…あれは非常に挑発的だと俺は思った。あととっても金もかかる。
"We didn't discuss that, no. We're not going to play the war games... I thought they were very provocative. I also they're also very expensive."
https://www.zerohedge.com/news/2018-06-12/trump-announces-end-joint-war-games-south-korea
war game は軍事演習と訳すべきなんだろうが、軍事演習というと歩兵が行進の練習してる、みたいなのも演習だが、war gameはもっととっても実践を模してやってるもの。模擬演習とかすべきなのかな。
と、英テレグラフなどはまず真っ先にその話を報じていたりもするのが興味深い。
Trump-Kim summit live: Donald Trump vows to 'end war games' in 'new chapter' with North Korea - latest updates
このへんこそ、どうやってこの話を挫折させるか、どんな偽旗作戦が可能かとか考えてるんだろうなぁとか思って読むとさらに興味深い(笑)。
もちろん韓国軍も驚いていたようだし、日本の中でも緊張が走ってるのに相違ない。
でも、こうやって、あんたたち、この体制は永遠ではないですよ、そのへん整理しますからねという示唆があって、はじめて真面目に今後を検討できるというのもあるので、一つのアクションとしてなかなかやるなといったところ。
そして、俺は挑発的だと思った、というのは実際多くの関係者がよく知ってることだと思う。米韓軍事演習って、マジで、もう侵略半歩手前、つかもう実は踏み込んだも同然みたいなことをしてるから。
だからトランプ大統領がこれを発言した意味は小さくない。
そしてこれは、中露が1年前に提案していたロードマップに沿っているのではなかろうか。北朝鮮に何か譲歩させるなら、相手方の米にも必要とう、1年前このゴージャスなお部屋から発表したダブルフリーズ(二重の凍結)式で行くべき、という宣言に沿っているように思う。
このへんの2017年の展開は、ここでまとめた通り。物置に入ってます。
北朝鮮問題、2017年の主な出来事
http://fanblogs.jp/dtj3/archive/26/0
米国内の反応は、一般人はキム・トランプ会合に結構好感しているように見える。アメリカ人は自分たちの大統領が戦争に行くと宣言することは慣れてるし、他人をののしることにも慣らされているが、だからといってそれがうれしいというわけでもないでしょう。
シリアの反応を見てても、そんなことより、そろそろ立派なことをしてほしいという欲求の方が勝ってきたと言えると思う。この欲求は緊張緩和にとっては追い風ですね。
■ アジアの繋ぎ直し
で、全体としてはやっぱり、
ダレス兄弟の半世紀
を清算しつつ、次の体制に組み直してるって感じなんじゃないですかね。
ダレス兄弟のフレームというのが要するに冷戦であり、それは最終的にはユーラシアの統合を阻止して、一極に向かうという底意があった。
1970年あたりから、エジプトをひっくり返して、仕込んで、ムジャヒディーンを入れて中央アジアを崩して、ソ連を崩して中国を圧迫してみたいなことをやってきた、この戦略が限界に来ちゃったから、他のことを考えざるを得なくなったとも言えるでしょう。
覇権を放棄して多極化へ、とかいうおめでたい話じゃなくて、限界に来ちゃったから直してるという話。
さてそこで日本なわけですよ。
なにやら左右を問わず、反対っぽいですよね。たいした意味はない、たいした意味はない、とか言ってる人があちこちに見られる。
いやぁ、そんなことないでしょう。
宗純さんがまとめてらしたけど、シンガポールといえば華僑系の大虐殺問題を忘れるわけにはいかない。
「死の島」の米朝会談、もう一つの「南京大虐殺」
https://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/c75331668ef4903a9eec5c7a42974543#comment-list
一方、金・トランプ会談の直前には、山東省で上海条約機構が会合をしてたが、日本ではその場所と日本の関係について言及したメディアなどはなかったと思う。
2015年にはプーチンがチタに行き、中国・ロシア・韓国の首脳が揃って抗日戦勝利の日を祝い、そこには、かつて満洲あたりを中心に存在していた 東北抗日聯軍の末裔の人たちがいた。これは北朝鮮の金日成に直接につながる話し。
などなど、過去3年ぐらいの間に、実はみなさん、いろんな形で日本にそろそろ地域の次の世代を考えませんか的なアプローチをしているというべきでしょう。
そう。日本と一部韓国、それを束ねて帝国内で私領を作っちゃったみたいな安保ムラ的な人士の一群にとって、見たくも聞きたくもない事態が現在といったところ。
いずれにしても、人と人が会って対話の継続を約束したということは、引きこもって憎悪を募らせて戦争に向かう行為とは逆。私としてはこっちの方向に一歩進んだことを喜びたい。
なにやら左右を問わず、反対っぽいですよね。たいした意味はない、たいした意味はない、とか言ってる人があちこちに見られる。
私が入り浸ってるサイトはニュースサイト含めてほとんどが歓迎、お祝いムードですが(私自身も、ちょっとその気ありなんですが、まだ決まっているわけでもない薔薇色の明るい未来像を語り合っています。)。偏ってるのかな? 一回クッキークリアした方が平均的な日本人に向けられた情報にアクセス出来るようになるのかも。
楊靖宇は東北の英雄だ、金日成はその部下の一人。
彼は悲劇的な最期を迎えた。
北の権力は東北抗日聯軍の流れの一つだ。
北の話は東北の朝鮮族には通用しない。
東北の漢族・満州族・モンゴル族にもだ。
北と南の抗日運動は殆ど政治宣伝だ。
アメリカが戦時中東北抗日聯軍と政治的な関係を作る努力しなかったのが今にまで続いている。
中国国民党・共産党とはその努力をしていたのに拘わらずだ。
ソビエトが満州を解放した、そして実に素直に撤退した。
ソビエト軍には多くの朝鮮人兵士が参加していた。
朴正煕は日本の士官学校出身だ。
彼らは対立しているように見えるが実は同じ朝鮮人兵士だ。
彼らと共に朝鮮・満州を理解する機会を日本と日本人は失った。
そこに拉致被害者の問題がある。
私はこのテーマは詳しいわけではないのですが、今日まで知ったところでは東北抗日聯軍がソ連にヤドカリしたり支援してもらっていたことが、北の方に権力が確立できたファンデーションだし、同時に中国の統一にも大きくかかわってる、と思ってます。
ここが中国、朝鮮、ロシアをつなぐ鍵になってたし、今もなってるんだなと最近の動きを見ながら思ってます。