DEEPLY JAPAN

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古いストーリーが今を縛る

2019-09-03 17:20:22 | アジア情勢複雑怪奇

9月1日は関東大震災から96年目の日、昨日9月2日は1945年大日本帝国が正式に連合国に降伏した日。

それらの両方について、去年書いたものを読み返すに、今年もだいたい同じことを考えているかなってところ。

しかし、両方について、思っていたよりずっと深刻に「正史」にとって不都合なところがいっぱいある話なのだなと日々気づかされる。そして両方は繋がっているんじゃないかとも思えてきた。

関東大震災←五四&三一&シベリア出兵

9月2日は敗戦の日、取られた日、抵抗の始まりの日

 

関東大震災時の社会主義者、朝鮮人、中国人に対するまったくあっけらかんとした殺人行為の横行は、多分、一般にこれまで考えられてきたよりずっと実は内務省、軍といったところの関与は濃厚だったんだろうと考えるようになった。

こういうのを、日本人の野蛮性とかですますのは間違いだと思う。

で、とどのつまり、第一世界大戦というのがロシア、オーストリア・ハンガリー、ドイツ、オスマンといった帝国をなぎ倒す結果に終わったことによって、日本の統治機構が民衆による転覆という事態を非常に恐怖したことが根底にある水脈なんじゃないかと思う。

だからこそ、関東大震災時の怪しい動きを通じて、1925年の治安維持法制定にこぎつけ、人々の口を閉ざして、動きを制して、以降ほぼ100年にわたってこのレジームが運用によって続いている、という感じではなかろうか? 1945年に一回壊れたかのようなことになってるけど、いやぁ、運用の方が強かった、みたいな。

そして、こうやって考えた時、政権とか国に抵抗、いやそれどころか、多少の文句を言う人を見ると、左翼だ、と認識する人が日本にたくさんいるのもわかるというものではあるまいか。

 

去年含めてなかったけど、シベリア出兵で大失敗を重ねている中、1921年に皇太子裕仁が、イギリス、フランス、ベルギー、イタリア、バチカンなどの欧州を訪問し、帰国すると大正天皇をやめさせて摂政に就任したという動きも重要ですね。この動きは、支配層としては「保守」に動いていると考えるべきなんじゃないですかね。

それはもちろん、イギリスの庶民に会いたくて行ってるわけでも、フランスの国状調査に行ってるわけでもない。頼み込む先は結局いうところの金融資本の親玉集団とか貴族集団みたいなものでしょう。しかし、各国の帝室の打倒は、もちろんそれらの人々こそ深く関与しているわけだから、日本の支配層の動きというのは、つまり、俺を倒さないでくれ、といいに行ったみたいなものではなかろうか。

で、巡り巡って、この態度は、1947年9月に、御用掛の寺崎氏を通じて昭和天皇が述べたことを米国務省宛てに出した「沖縄メモ」の中で、

米軍の駐留は日本人の中で広く承認されるだろう。日本人はロシアの脅威(menance)を恐れているのみならず、占領後に、右翼グループ、左翼グループが伸張して事件を起こして、それをロシアが日本の内政干渉の根拠に使うかもしれないからだ

The Empeor feels that such a move would meet with widespread approval among the Japanese people who fear not only the menace of Russia, but after the Occupation has ended, the growth of rightist and leftist groups which might give rise to an "incident" which Russia could use as a basis for interfering internally in Japan.

https://www.archives.pref.okinawa.jp/wp-content/uploads/Emperors-message.pdf

 

とか述べちゃうセンスとぴったり一致してる、と考えることもできるでしょう。日本が自分で何をしてきたかに一切かかわりなく、1947年にロシアは敵で日本人は恐れているのだと言えるこの厚かましさは、「上流」にある支配機構を意識しているからこそ言えたと考えるべきだと思う。

極東軍事裁判を一顧だにしていないというのもその認識構造あってのものでしょう。まぁ、ドイツと組んでソ連を挟み撃ちしようとかしてたわけですがスルーしちゃう。

1941年12月にはソ連に勝ってる算段だった

 

これまでは、冷戦といえばチャーチルが設定し、トルーマンが承認したあたりで終わってるけど、その並びに昭和天皇も加えられるべきではなかろうか。だって、日本を基地化しなければ米英のアジアに対する攻撃は可能ではないですから。

 

でもって、このへんは項を改めるけど、こんなところに、冷戦は結構なことだ、ロシアは敵だと認識してるビッグな政治的存在がいりゃ、そりゃもう、シベリア出兵の大失態を開けてみることができなかった理由も、ノモンハンの惨敗、関東軍のソ連による敗退が開けられなかった理由も大ありと考えるべきなんじゃなかろうか。

片面講和も無理はない。

沖縄ノートは有名なのに、なんでここ、就中ロシアの件が問題にならないんでしょうね。問題にすることすら面倒だから?

 

■ 欧州方面

第二次世界大戦については、まさかここまで英米、特に英がソ連の貢献を蹴散らして「ノルマンディーでナチを倒した英米」という路線を推進しているとは、マジでつい5年ぐらい前まで半信半疑だった。

しかし、日本の降伏の様子を見ても、勝手にイギリスが幅を利かせて出てきてるのがわかる(上の、去年書いた記事の中)。

また、「ノルマンディーでナチを倒した英米」のおかしさに気づいたのは15年ぐらい前なんだけど、その時には、ただ単純に英米が自分だけエライと言いたいだけぐらいに思ってた。

しかし、これはホントにホントに、徐々に徐々に捏造史を作られてきたのであって、そして、この偽のストーリーを基に憎悪を掻き立てたり、憎悪に正当性を与えたりするのだとも気づき、ということはこのストーリーを放置するのは危険なのだと気付かされるここ数年といったところ。

端的にいって、NATOの東方拡大構想に使われているわけです。そして、前回と同様日本もまたおかしなストーリーに飲み込まれて、中露を敵にするスキームが作られてる。

9月1日にナチ後継組織が結集する模様

韓国、朝鮮はそのカバーアップに使われてると思う。問題は、空母やらそこに積み込むF-35、そして陸上発射のミサイル施設の方であり、そこに盛大に金をかけられる仕組み作り(ガイドライン、安保法制、憲法改正で満額の軍事大国への道というシナリオ)。

 

■ オマケ

総じていえば、「ナチ派」と私が総称している人々が負けても負けても反動かましてくる、みたいな感じで世の中が進んでいるのだなといったところ。

しかし、「ナチ派」は別にドイツ人じゃないんです。

むしろ、第一次世界大戦という大破壊工作を考え直すことで、一般ドイツ人には多少の名誉回復の道が残されているだろうと思う。ロシアが頑張るとこれが可能になるのではないのか、というのが現在の私の読み筋。

日本の場合は、何が何でも戦争反対という一点から抵抗している一般日本人以外は、全部ナチ派なので、まず清算しないと先がないというところではあるまいか。

 


 

 

 

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5 コメント

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Unknown (ローレライ)
2019-09-04 11:46:59
極東のスターリングラードだったノモンハン決戦から80年ですね!
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Unknown (名無しの在日)
2019-09-04 15:18:35
>日本が自分で何をしてきたかに一切かかわりなく、1947年にロシアは敵で日本人は恐れているのだと言えるこの厚かましさ

似たような構図が、解放直後の朝鮮でも見られましたね。

敗戦直後、圧倒少数の在朝日本人が朝鮮人の報復を受けないようにと
朝鮮人社会の秩序維持をまかせられる人物として呂運亨に接触し頭を下げまくった総督府ですが
(その懸念自体もほとんど日本側の強迫観念に近かったというのが実情)、
いざ38度線による分割占領が決まり南に米軍が上陸してくると知るや、大至急沖縄の米軍に連絡を取り
「南朝鮮は共産主義者の先導によって秩序が崩壊し多くの日本人が被害にあっている」的ニセ情報を送りました。

結果、元々マッカーサー司令部も朝鮮についてはまったく無知・無関心だったうえに
軍政官にはおよそ向かない生粋の軍人・ホッジ中将を、先入観(というかもはや敵意)アリアリの状態で
南朝鮮占領軍司令官として送り込んでしまいました。

で仁川への上陸当日、占領米軍を迎えようと集まった群衆に向かって
「集会を解散せよ」と発砲してさっそく死者を出し、
「朝鮮人民共和国」を組織して米占領軍に面会に来た呂運亨に対してホッジ中将は
開口一番「日本人からカネをいくらもらった?」と吐き捨てるわけです。

日本がいらん工作をやらかしたこうした推移もほとんどの人には知られていませんから
「日本には朝鮮分断の責任がある」という論(これはより本質的な意味を問うものですが)に
それは米ソが勝手にやったこと、と涼しい顔を決め込むだけで「反論完了」のつもりになれるんですから、ほんといい加減にしろと言いたい。

…ああ、書いていて日本の支配層の醜悪さには吐き気を催さずにいられません(それを利用するアメリカも負けてはいませんが)。
話がやや飛びますが、私の父はよく昭和天皇について「アレは『特級戦犯』や!」と事あるごとに言っていました。
「特級戦犯」なる語はもちろんわが父の造語ですが、まったくもって裕仁氏に似つかわしい表現だと思いますよ。
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ヒロヒト (セコイアの娘)
2019-09-05 02:20:20
ヒトラー、ムッソリーニ、ヒロヒト。
よくぞ言ってくださった。これが日本以外の世界での共通認識のはず。
若かりし頃、知り合いの中国人は私に訴えた。自分の家族がどれだけ「ヒロヒト」のせいでどれだけ酷い目にあったか、と。
戦後間もなく始まった全国巡幸で、天皇を熱狂的に歓迎した日本人の感覚が私には逆立ちしても理解できない。だって、この人のために息子が戦死し、建物疎開で市内に出ていた娘が原爆にやられ、妻と子供が東京大空襲で墨田川に飛び込んで死んだんですよ。少なくとも「現人神 天皇」への忠誠を誓わされ、その名の下に死んでいったわけですよ。
その生き残りが、戦争に負けたとたん、ケロッとその事実を忘れたのか、天皇を歓迎っていうのが、一体どう理解したらいいのでしょう。究極のアルツハイマーでしょうか。
名無しの在日さんのお父様がおっしゃられた「特級戦犯」なる言葉にいたく共感します。私は日本人なのですが、戦争の最高責任者の責任を問わないなんて、ありえない。責任をうやむやにしたことで、再度「この道はいつか来た道」にならないとも限らない。
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報道上の真実かも (ブログ主)
2019-09-06 00:12:11
セコイアの娘さん、

いやほんと、多くの中国人にとって「ヒロヒト」こそヒトラーだったと思います。

で、「天皇を熱狂的に歓迎した」という話ですが、本当に熱狂した人たちが果たしてどれだけいたのだろう、といった感じもするんです、私は。

というのは私の母は昭和20年代の終わりごろ小学生として天皇が来るというので駅頭で旗をもって、わ~とかやる行事に駆り出されたそうです。が、別に彼女もその周囲も熱狂はしてなかったし、誰もあんまり詳しく覚えてないし、その後話したこともなかったといいます。

しかし、それがグラビアに出ると、かわいい子どもたちと先生たちが喜んでるの図になるわけでしょ。

で、例えば母の学校で、どこかの職場で、天皇が来るからお迎えしろと言われて、嫌だということはハードルが高い社会なわけですよ。みんな、わ~、とうれしそうな顔をする・・・。

この連続だったのではあるまいかという視点を一応ホールドしてます。
つまり、熱狂は作られてたし、今もそうなんじゃないかなと思うわけです。
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ご意見ありがとうございます (セコイアの娘)
2019-09-06 03:10:45
ブログ主さん、
ご意見、ありがとうとざいます。確かに、作られた熱狂というのはあると思います。
ただ、私が気になるのは、責任の所在をうやむやにすることに慣れっこになっている日本人が、責任の所在を明確にしなかったことで、再度同じ轍を踏まないかということです。
たとえ、駆り出されたとしても、私だったら旗なんか絶対ふれないです。悔しくて。一体誰のせいで、父は死んだのか、と。梃子でも行かないです。そういう抵抗がなかったのでしょうか。不思議です。
だからこそ、今頃になって、旭日旗OKとか言い出すのです。
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