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「日米指揮権密約の研究」by IWJを視聴した (2)

2017-10-06 20:50:09 | 太平洋情勢乱雑怪奇

 一昨日に続いて、末浪靖司さんのインタビュー、今日は後編だというので楽しみに視聴しました。

日刊IWJガイド・番組表「本日15時から『「日米指揮権密約」の研究 自衛隊はなぜ、海外へ派兵されるのか』著者・末浪靖司氏インタビュー! 自衛隊の指揮権が米軍にあるという『指揮権密約』の実態に迫る!/

http://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/32631

この御本の著者の方。

「日米指揮権密約」の研究:自衛隊はなぜ、海外へ派兵されるのか (「戦後再発見」双書6)
末浪 靖司
創元社

 

ところが長くなるということで今日のは「中編」、明日が「後編」となる予定だそうです。

これが「前編」のメモ 

「日米指揮権密約の研究」by IWJを視聴した

 

いろいろメモしながら聞いてましたが、とにかくとにかく、安保や同盟や言うけど、そんな名前はどうでもよろし、

アメリカの目標は常に、自衛隊を海外に出してアメリカの指揮権の下で使うこと

これやった、と。ここをよーく頭に叩きこんで考えれば、いろんな矛盾も解けてくるという仕様だったわけです。

で、最初の安保は吉田が裏方でこっそりやったようなもので、それを60年の改定で一気に目標を達成したかった。だからこそ岸があてられた。アメリカの方の担当者も選ばれ、日本では岸が来る、という段取りがしっかり整っていた。(そうなると、ますます、石橋湛山の短命説が気にかかること)

ところが、60年安保では、目標達成ができなかった。

60年安保改定によってアメリカが学んだこと
オープンにやると日本国民に拒否される→ 裏の組織を作っていく。表面のところでは、例えば外務大臣とアメリカの国務長官が並んでお写真取って、話し合われてますぅという形になるが、その実務交渉は日本の軍人、アメリカの軍人が行う、といったスタイルが定着する。

 

で、思ったのは、あそこで反対してはった多くの大学生の皆さん、皆さんは間違えてなかったんやと思います。これは何かがおかしいとお感じになったそれはまさに正しかったと言うべきだと私は思います。だって国軍を二軍にするプログラムへの大きな前進を狙ってたわけですから。

末浪氏は、自分も大学3年で、なんのことか詳しいことはわからなかった。しかし、岸が出て来た時、どうもおかしいんじゃないか、岸がやることはうさん臭い、というのが先にあった。

最初のスローガンは「安保改定阻止」だった。

しかしそうすると、では今まででいいのか? と来られる(最初の安保は不平等条約だから)。そうか、と一瞬引いて混乱していっった(つまり、偽の対立を踏まされた)

が、結局、「安保反対、岸やめろ」がスローガンとなった。しかし、国会に突入するとかいう過激な人たちはアカンかった。(新左翼とは何だったのか、という考察が必要ですね。)

 

と、このあたりは、保坂正康氏の動画を思い出します。

保坂氏も、60年安保について、岸という人に対する不潔感、他にいいようのない不潔感を外しては考えられない、とおっしゃっていた。これはおかしい、また何かやりだすんじゃないかと思って、最初は一部の学生だけだった。庶民はだいたい、お前ら好きなことばっかりやってんやないで、みたいにしてデモに反対やった。しかし、参加する人数が増えて大きなデモになった日には、そういう八百屋さんやら何やさんやらのおじさんも文句を言わないどころか、沿道で拍手をしている人が出てくるような事態だった、とおっしゃっていた。

これこれ。聞きやすいお話ですが、言ってることは結構びっくりするほどの岸・安倍批判。

20150730 UPLAN 保坂正康 戦後史から、「60年安保」と今国会を考える

 

それやこれやで、アメリカはこれはもう、憲法を改正して外に連れ出すのは当面無理だと判断。岸は退陣。

 

で、岸とはどういう男かといえば、開戦の証書にサインした男であるのみならず、戦犯の中からアメリカに助けられた男であるのみならず、アヘンとの深いかかわりのある男。

民衆レベルだっていろいろと噂だらけやったんでしょうね。少なくともこいつは汚いとみんな思ってはったということなんでしょう。だから、後藤田正晴氏が、岸が総理になる時、こんな男を総理にしていいのかと言ったというのは、後藤田さんだけのお考えではなかったでしょう。

 

次のお話は、

今までが法律編だとすると現実編。現実に自衛隊が米軍と一体化していく、その仕組み同時並行で作られていく様子。基地を置いて、日本側に返還しましたよ、と言っても一定期間米軍が使用する、という項目を設けて現実には米軍が訓練基地(特に富士山のまわりのお話をされていた)を利用し、そこを自衛隊も使う。それによって一体化した訓練となる。それはつまり、現実の指揮権がどこにあるかを理解させるようなもの(軍の指揮系統が2系統あるわけではない状態)

アメリカが発表した文書を基に書いているものは事実関係に基づいているのでこっちの方が本当。日本政府の発表文だけでは本当のことはわからない。

で、興味深かったのは、1964年あたりに統合幕僚参謀長だった方の発言。大本営参謀だった人。戦前から戦後までずっと軍をいじってる人。現実をよく知ってる人が、そうです、日本軍は傭兵になりけねない、と言っていた。

これはねぇ、こういう発言をせんとならん人たちのお気持ちはどういうものやったのかと非常に複雑な思いです。

要するに、この時点ではまだ終戦から20年も経ってないわけだからリアルに自分たちが軍を仕切っていた人たちが多数いるわけですよね。だから米軍が何をしようとしているのか、すぐにわかるわけだ。わかっていても他に手はないし、皮肉なことに、政府が左翼扱いして排除しているような人たちが言っていることの方が実は大正解だった、ということ。考えさせられるますね、ここは。国軍フェチとしは辛い、複雑に辛い。

 

さらに、三矢研究のお話はびっくり仰天!

一般に、皇軍の再編、夢よふたたび、国権強化か、と言われて来たものだが、見てみると、アメリカ軍の下請けでも戦争をしたかっただけ!というお話だったようだ、と。つまり、全然アメリカを振り切ってないわけだから、まぁそうなるよなってところですよね。このあたり、後でまた考えてみよう。

 

その他、中国や朝鮮は日本とアメリカのこういう関係をどう考えているのかという下りも興味深かった。このへんは、私はほぼ同意見。
一言でいって、中国や朝鮮(両方)は、日本がアメリカに押さえつけられている恰好になるなら、それはそれでいい、ってことですね。

要するに、熱に浮かされたようなへんちくりんな右翼めいたいことを繰り返し繰り返し言っている日本は、過去と向き合ってないわけだから、やられた中、朝からしたら怖いは怖い。だから、それがアメリカに押さえつけられているなら、まぁいいかとなる。アメリカと話せばいいわけだから。

こんなことを言う政治家たちの国を一体誰が信用してみようという気になるんですか、ですよ、ほんと。

壊れてる政治家:「力なき正義は無効」だそうだ

 

冷静にいえば、このへんは、ロシアと欧州の関係とパラレルで見るとよくわかる。何度か書いたけど、イギリスメディアや米メディアが、ロシアはNATO解体を狙ってるぅ、みたいなことをよく書くけど、私はそうは思わない。ロシアにとって最も望ましい欧州は、安定した欧州。雑にいうなら、多少攻撃的でもなんでもいい、狂ってなけりゃなんでもいい。(だから最近のネオコンを警戒している。狂ってるから)

 

とまぁ、メモを書いていて思うのは、どうしてこういう話をせめて90年ぐらいにできへなんだのか、ですね、ほんと。
やっぱりメディア&アカデミアによる統制がきつかったということでしょうね。

だからこそ、インターネットがここまで広がった今、末浪さんや吉田さん、等々の今までまったく表に出てらっしゃらなかった、知る人ぞ知るの方たちのお話を何時間でも記録させていただくことは非常に貴重だと思う。

反論があれば、もちろんそれでいいわけだし、ここから研究したらいいわけですからね。

岩上さん、このような機会を与えていただき本当にありがとうございました。カンパしますし、継続的に支援します。

 

9条「解釈改憲」から密約まで 対米従属の正体―米公文書館からの報告
末浪 靖司
高文研

 


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1 コメント

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『下請軍事国家作り』 (ローレライ)
2017-10-07 06:49:47
『下請軍事国家作り』の戦後70年、『アメリカのグルカ兵』が目的とは内外にひた隠し。
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