東日本大震災関連の記事を見るたび思うのだが、原発被害を地震・津波被害者として扱うのは多分間違っている。
しかし、分けきれない部分のあることもまた事実だとは思う。
だがしかし、こう書かれるとやっぱり違和感が残る。
午後2時46分、各地で鎮魂の祈り 東日本大震災8年
https://www.asahi.com/articles/ASM3C4JSPM3CUTIL011.html
東日本大震災の発生から11日で8年。死者は1万5897人、行方不明者は2533人、震災関連死は3701人となった。故郷を離れて避難生活を続ける人はいまだ約5万2千人、避難先は47都道府県の全てに及ぶ。地震のあった午後2時46分、各地に犠牲者を悼む鎮魂の祈りが広がった。
ということで県別の内訳はないのかと思って探したが適当な記事が見当たらないので復興庁のPDFを開いた。
ここでも、岩手、宮城、福島の被災者の動向を全体的に伝えたものは見あたらない。
一番参考になるかなと思ったのはこれか。平成31年2月付けのもの。
http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat2/sub-cat2-1/20190227_hinansha_suii.pdf
見出しには、「3.県外への避難者数の推移」とある。
これの平成31年2月では、
福島県から 32,631
宮城県から 4,196
岩手県から 1,028
合計 37,855
となっている。一目瞭然だが、福島県から他県に移動した人の数が圧倒的に多い。これが意味するところはそりゃやっぱり原発被害で移動だろうと考えざるを得ない。津波被害だけでこの差が出る理由はないと思う。
そして、5万2000との差の15,000人は3県の県内移住者なんでしょうが上の比率で考えれば1万人超が福島県内のおそらく都市部に移住されているということになるのでしょう。
ということで、様々なメディアはすべからく、地震・津波被害と原発被害を分けることなく、みんな一緒くたに自然災害って怖いですね、みたいな話にしてしまう方向で動いておるなといったところ。
この大地震・津波&原発による災害によって、しみじみわかったのは、
- 原発ムラなるところはとてつもなく強い
- 地震ムラなるところもどうも相当いかれている
といったところかと思う。
そして、ここらへんがメルトスルーしているのが私たちが住む国らしいといったところなのだが、そこを開けてみることすらできそうにない。まさしくメルトスルー状態なのだなといったところ。
■ 81兆円想定
しかし、それで終わる話ではない。原発事故はまだ全然終わってない。だって、下で何が起こっているのかにひやひやしながらの日々だもの。
福島第一事故の対応に最大81兆円 シンクタンクが試算:朝日新聞デジタル
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190309-00000074-asahi-soci
東京電力福島第一原発事故の対応費用が総額81兆~35兆円になるとの試算を民間シンクタンク「日本経済研究センター」(東京都千代田区)がまとめた。経済産業省が2016年に公表した試算の約22兆円を大きく上回った。
31兆円でも、現在政府が言っている22兆円よりずっと大きいが、81兆円ときた日にゃ、ついこの間までの日本の国家予算のように大きい。税収全体の2倍弱。
差は、一応こんな感じらしい。
経産省試算との大きな違いは、汚染水の浄化処理費用を約40兆円と大きく見積もったことや、除染で発生する土壌などの最終処分費用を算入したことなど。また、この汚染水を、水で薄めたうえで海洋放出する場合は、廃炉・汚染水処理の費用が11兆円になり、総額も41兆円になるとした。
これに加えて事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)を取り出さずにコンクリートで封じ込める、いわゆる「石棺」方式を採用した場合は、廃炉・汚染水の費用が4・3兆円になり、総額も35兆円になるとした。
まとめると、
汚染水の海洋放出をして、石棺方式にすると最も安価だそうだ。
しかし、海洋放出をすれば国際的非難は免れないから、この分の、いってみれば「のれん代」の毀損は含めないのだろうか。大きいと思うわけだが。
で、しかし、こう言ってはみたものの、実際核燃料の状態がこのまま封じ込めることができるのか否か問題に決着はついているのだろうか? もしそうでないのならこんな数字では収まらない将来もある。
記事の中に、
ただ、「石棺」方式は、かつて「復興やふるさとへの帰還をあきらめることにつながる」などと問題になったことがある。
これってなんか、現地の人が諦められないというから、というのを人質に取っているともいえると思うな。
科学的根拠を持って、これはどうしてもだめです、あなたの人生の中であなたがふるさとを再び居住地にすることはできません、と政府が言いたくないからこそ、いつまでも、被害者の人たちの「ふるさとへの思い」を頼りにしているのではなかろうか。
そして、こういう思いを石棺にできない理由にしている可能性もあるとも思う。
どちらの要因もあるでしょう。
フェーズとしては、死んでいった兵隊のことを思えば大陸からの撤収などできない、とか言っていたのと同じだと思う。
そういうわけで、まだ全然何も終わってないのに、東日本大震災から8年といいつつ、あたかも原発事故もそれなりに終わりに向かっているかのような錯覚をまき散らすのは間違っている。
いやしかし、この先どうするんだろう。って、結局、原発事故のカバーアップを目的としたファシズム体制みたいな恰好を止められない日本になっているとも思う。
だって、ここでかなりドラスチックな政権交代などしたら、ここ8年の裏の打ち合わせみたいなものもバレる。その前からの原子力行政のヤバさもバレる。バレバレでも黙らせることができたその力が無くなる。
国民の多くにとっては、だからこそ替えた方がいいのだとなるわけだが、国民のうちの少数の既得権者にとっては、絶対阻止となるに決まってる。
この攻防は明らかに大多数の国民にとって利も理もあるが、果たして達成できるんだろうか?
私は、立憲が枝野という事故収束の時間帯における主犯格の一人を立てたことからも、日本の統治機構的には、安倍の次には、それなりの交代を作っていくんじゃないかと思ってる。
ということはそれは、またまたアメリカ(or 西側)のメディアや外交との打ち合わせのうちに出来るものであり、かつ、そこの全面協力みたいなものがあって初めて達成できるんじゃないかと思う。
つまり、大枠でいえば何も変わらないが紙袋とか包装紙は変わる、みたいな感じ。
それではいかんと思うわけだが、しかし、この結託した体制を引きちぎるのは容易ではない。
昨日書いたこれなんかも、
夢を見るにも金がかかる:駐留経費&イージスの請求
脅し、値踏みの一つであり、こうやって安倍を落として次の安倍2を、みたいに持って行こうとしているのかななどとも思う。
どうすりゃいいのか。そりゃもう、これまでのいきさつを暴露する勇気と、それを受け止める勇気がまず第一歩でしょう。できそうにないですが(笑)。
でも、隠すからコストが膨らみ、マネージメントに失敗し、研究開発が進まない、信用を棄損する、というのは諸々の会計処理や企業経営とまったく同じでしょう。だから、会社を潰さないためにはここをクリアすることがまず第一歩になる・・・。まぁそれができないから多くの企業は潰れるわけだが。