12月3日ロシアの国防大臣ショイグがベトナムを先週訪問した。
ベトナム軍の幹部は、ロシアはベトナムの親しく、かつ信頼できる友人であるといい、信頼できる同盟だと言った。
"We understand very well that Russia has been and will remain a close and reliable friend of Vietnam," he said. "Our goal is to take defense cooperation between our countries to a new level," the Vietnamese deputy defense minister added.
Vietnam may drop purchase of new batch of Israeli air defense missile systems – source
http://tass.com/defense/1035771
イスラエルの短距離地対空ミサイルSPYDERをチェックして、どうもおもわしい成果が残せず、また、ロシア製との互換性も悪くてベトナムの防空の効率性を落とすので、ベトナム軍は新規購入分に反対しているそうだ。
http://tass.com/defense/1035771
そりゃ止めた方がいいですよ、と私が言っても始まらないが(笑)、でもまぁそうですか、そりゃ良い決断でと誰もが思う話だと思う。
アメリカのやり口はもう見えすぎてつまらない。イスラエルでも日本でもいいけど、手下にあるところを使って、もう戦争の時代ではない、対立の時代ではない、商売です、ビジネスです、そうでしょうと入って行って、相手の態度が緩んだら締めにかかる。こればっかり。
ベトナムとロシアの関係は、経済面ではベトナムはユーラシア連合に入っているが、取引高から見た場合はかなり低調。まぁねぇベトナムは周辺に経済大国があるわけだから、それを飛び越えてロシアというのは普通に考えればそう需要があるとは思えない。しかし、そこでプロジェクトを起こして関係を深めるのがロシアの妙みたいなところもあるので、南シナ海の資源開発プロジェクト、原子力発電など先々深い関係を維持する可能性はある。
で、その間、両国の軍関係者が行き来している。
でので、いろいろごにょごにょしているが、多分焦点となっているのはカムラン湾ではないのだろうか。南シナ海でひとあばれしようってんなら、ここを使えるようにすることは必須でしょう。
カムラン湾は、北ベトナム側が取って(回復して)以来、ソ連がリースしていて、ロシアの太平洋艦隊が駐留していたが、それが終わってからは外国勢力は駐留させません、となって、要するに誰でも歓迎状態になって、2012年に米の国務長官レオン・パネッタが訪問し、2016年に米海軍が寄港した。
日本の海自も寄港して、補給したりしてる。友好ですよ、友好といって、つまり日本軍がアメリカ軍の代わりにここにしばしば寄港するという恰好になるのかなぁ・・・と。
で、この組み合わせが平和友好のために存在するなど、まぁ普通国際的に誰も信じないでしょうって感じなのだが、本人たち(私たちだが)は、何かとっても良いことをしていると信じてるに違いない。オープンになる、誰とでも仲良くなるの、というのは、多くの場合ロシア/ソ連/中国を優先させない、させられなくなる場合の一里塚というべきでしょう。
私はこれを、エジプトを「民主的」にしてソ連から引き離して、結果、パレスチナを丸裸にした薄情メカニズムと考える。(パレスチナ:保護者なしのツケを誰が払うのか不明)
でまぁ、これは2016年の記事についてた図。いい図だけどさ、これで一体何をするつもりだと思ってるんだろう?
で、例えばこういう書き方をするわけ、日本向けに。
カムラン湾は冷戦期には旧ソ連が東洋最大の海外拠点を構え、2002年のロシア軍撤退以降はベトナム海軍が基地を置くが、外国船の入港は厳しく規制されていた。昨年11月、中谷元・防衛相とベトナムのフン・クアン・タイン国防相(当時)が、カムラン湾への海自艦船寄港で合意。同湾に今年3月、外国の大型艦船や民間船舶が利用できる国際港が開港し、今回の寄港が実現した。
https://www.sankei.com/politics/news/160412/plt1604120008-n1.html
これは、アメリカがこじ開けた話なわけですよ。日本単独でやってるんじゃない。しかしどこにもそんな話が出てこない。
カムラン湾に関するベトナムの態度は、外国軍の駐留は認めないというもの(2016年外相発言)。で、上で書いたように、これを保持できるほどの強さがベトナムにあるのか、というのが問題。中立というのは、中立できる環境、あるいは後援者がいないとしばしば達成できない。
共産党 志位委員長 あすからベトナム訪問
2018年12月16日 6時10分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181216/k10011748731000.html
多分、北東アジアの平和を考えるためのメカニズムを設置しましょうとかなんとかいうんだろうと思う。いいですよ、もちろん。
しかし、現在の真意としては、ベトナムとロシアの関係がどの程度なのか探りに行くんじゃないかろうか。
あと、もちろん、日本の中にも、ネオコン/介入主義者じゃない人たちもいます、むしろその方が多いんです、という意味を伝えるっていう役割もあるでしょう。笑えるけど、でもマジで必要だと思う。
安倍が行っても信頼されないだろうし、枝野がいっても、お前はアメリカの代理人その2だろうと見透かされてるだろうから、ともあれそれではない、って人たちがパイプを作んないとならない。
しかし、これが結局、上で書いた「薄情メカニズム」への一歩になるかもしれない。そうならないと言えるためには、北東アジアメカニズムを語る際、中国と日本と2つの朝鮮、ロシア、と言えるかどうかが試金石かも。
■ オマケ
今日の櫻井ジャーナルさんのお話が大枠ですね。
辺野古での新基地建設は米国の世界制覇プランに基づく戦争の準備
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201812140001/
通してみれば、冷戦崩壊後ずっと戦争準備中なわけですよ。安倍はフィニッシュ。
アメリカ支配層の戦略に合わせ、安倍晋三政権は戦争体制を整えてきた。「民意」など無視した強引なことを繰り返してきたが、そうしたことが可能な態勢を作る上で重要な役割を果たしたのが検察、マスコミ、そして野党だ。
で、日本が他の欧州諸国より遥かに事情が悪いのは、欧州諸国にはまだ戦争になりそう、そんなのダメよ、と言える人たち、または集団が多少なりとも残ってる。
が、日本は、この二十数年の間に日米安保は国の基とかいう非常にトリッキーな文言を全政党が呑んじゃった。したがって、ちょっと待てという勢力がほぼいない状態。
共産党の機関紙あかはたに自民党のじいちゃんたちがしばしば顔を出しているのは、なんとかしてどこかで必ず必要になる声を集めないとだ、と気づいているからでしょう。気がついたらここしか声を表現できるところがなかったということ。
本当の敵がどこにいるか見誤ってきたんですね。
インドシナは、米ソ対立、中ソ対立の間で大変な辛酸をなめてきた。左右に揺れていたカンボジアも、ロンノル傀儡政権下、アメリカの直接介入が失敗し、結果クメールルージュの台頭を許してしまった。その後の、カンボジアの混乱、恐怖については筆舌に尽くしがたい。
ベトナム軍によるプノンペン解放に、カンボジア人は、ベトナムに対する屈折した思いはあったにせよ、狂気からやっと解放されたことに安堵した。カンボジア人を救ったのは、結局ソ連に支援されたベトナム軍ではなかったか。
その後も、国際社会は、国連を通じて、タイ国境に逃れた三派連合(ポルポト、シアヌーク、ソンサン)を80年代終わりまで支援し続けた。HRWにききたい。この国連の行為は「人権」上、問題なかったのですかと。アメリカによる介入は、問題なかったのですか、と。
これは結局、ロヒンギャと同じことなのだと思う。ミャンマーは、中国、インドと国境を接し、インド洋にでられる要所、中国はインド洋に面したチャオピューに港湾を建設している。ロヒンギャは、中国のインド洋進出阻止が目的なのだと思う。
私はインドシナ難民、ボートピープルといった言葉がまだ死語でなかった時代に、あの辺りにいた。カンボジアの混乱、貧困を身近に見聞きしていたので、みごとに復興した今、テレビでプノンペンの繁栄ぶりを見ると、我がことのようにうれしい。あの頃は、アンコールワットも、少し脇にそれれば、地雷が危なくてとても行けたものではなかったのだ。
私はフンセンを擁護する者ではない、ただ、たかだか人口1500人程度のこの小国を「人権」という武器で脅す、その欺瞞が許せない。アウンサンスーチーが最近言った「もう、構ってくれるな。自分の国の事は自分で決める」それに尽きる。
https://blog.goo.ne.jp/goo1818sigeru
ついこの間まで、戦場だったインドシナ、ベトナムがあえてアメリカをバランスゲームに入れるのは、彼の地がどれだけ仏米ソ中に蹂躙されたかという歴史が回答だと思う。弱者には弱者のセオリーがあるということ、一概に責められないと思う。