面白がってる場合じゃないという見解もあるだろうけど、私は興味津々で面白がってる。
このへんの続き。
イギリス:根拠はないがお前が犯人だとロシアに制裁する
で、英米仏独がこぞって、ほとんどロシアに宣戦布告をしたも同然の状態。
英米仏独:ロシアは英の領土的一体性を侵害した
そこで、軍事機構であるNATOの登場。
NATO事務総長:「スクリパリ事件」はNATOの安全保障への直接の挑戦
https://jp.sputniknews.com/politics/201803154672147/
そこまで言うのなら、ロシアに向けて進軍するしかないでしょう、と言いたい。
が、しかし、実のところこれだけ抜き出したスプートニクは人が悪いわけで、NATO事務総長は、ひとしきり、ロシアは悪い、ロシアのふるまいは酷い、悪い、最悪だ、とんでもない、なんということだ、酷い、酷い、こらしめないと、etc.と馬鹿みたいなことを垂れ流した後、
しかし、私たちは冷戦を望んでない、戦車対戦車、ミサイル対ミサイルなどという軍拡に勝者はいないのです、とかいって話を結んでる。大爆笑でしょう、これ。
"NATO will not mirror Russia tank for tank, missile for missile or drone for drone. We do not want a new cold war. And we don't want to be dragged into a new arms race. An arms race has no winners. It is expensive, it is risky, it is in nobody's interest."
いつ見ても挙動不審のノルウェーのストルテンベルグNATO事務総長。NATO事務総長は北欧のいらなくなった政治家の天下り先筆頭と言われて久しい(笑)。
つまるところ、先々週プーチンが強制MAD宣言をしている今、そして、それがないにせよ、ロシアとの間で欧州が戦争をして得られるものなんて何もない。する意味がない。欧州国民は特殊権益者以外誰も望んでない。そんなことは1939年以来わかりきったこと。
プーチンの2018年一般教書演説:強制MAD
ところが、戦後ソ連をダシに作った冷戦構造の残滓であるNATOをどーしても止めたくない人たちがいる。この権益をなんとしても保持したい。なんとしてもロシアを敵にするしか俺の年金を保障するものはないのだ! みたいなもんだと言ってもいいかもしれませんが(笑)。
まぁでも、現在の悶着の最大の原因の一つは適当な時に仕切り直しできなかった巨大組織の末路といったところは確実にある。
だもんで、イギリスあたりがどうしても反ロシアを止めないで、次から次から下らないネタを仕込んでくる。
ついには、まったくの空手形で国連安保理まで使って茶番劇をする始末。
トランプ政権は、イギリスと連帯します、ロシアはけしからんというステートメントを一応出していたし、国連大使のヘイリーは、もはやつける薬がないほどの壊れた小学生ネオコンみたいな女なので今更何かを語る必要さえない。が、トランプ自身は結構どうとでも取れることを言っていた。「後ろにロシアがいるらしいね」と。これはどうとでも取れる、むしろイギリスを焚き付けたんじゃないかとも取れる気がした。
■ 本筋のところ
ロシア外務省は、最初からサンプルを出せ、あるいはハーグに行け、というスタンス。ハーグというのは化学兵器禁止機関のあるところ。ロシア外務省はこの機関に13日付けで、正式な書面を出して所定の手続きを取るよう求めている。いつもながらホントにちゃんとした適切な対応。
Statement by Permanent Representative of the Russian Federation to the OPCW, Ambassador Alexander Shulgin, at the 87th session of the OPCW Executive Council on the chemical incident in Salisbury, The Hague, March 13, 2018
そして、イギリスがロシアしか出来ない、ロシアが攻撃に使ったのだと主張するNovichokは、この化学兵器禁止機関が指定する神経ガスに記載されていないんだそうだ(元イギリスの外交官クレイグ・マーレーによる)。どうしてかというと、誰もその存在を現実に試し、存在させたことがないようだ、だから。
前にも書いた通りこの神経ガスは、ロシアを裏切り西側に走ったロシア人化学者だけが主張しているバイナリーの毒ガス(2つ合わせて機能する、というやつ)。
ということは、イギリスは何を基準として、どうやって、当該事件で使われた薬剤、化合物がNovichokだと判定できたのか、という疑問が起こる。
考えられることは2つ。まったくの嘘か、イギリス(またはその同盟)が上述のロシアの裏切者化学者の言う通りに合成して成功し、所持し、それを基準に今回使用された化合物を判定した。
さらに、それほどの劇薬であるのなら、なぜ当該被害者は死んでいないのか? また、そんな劇薬をとうの昔にロシアを裏切って出て行った男を殺すためにロシアが使用する理由は何か? まったく手段と効果が見合わない。このことから考えるに、合成に成功していないのではないのか、の可能性が強まると言えそう。
が、イギリスはこれに答えず、マスコミを使って、ロシアしかできない、ロシアは恐ろしいと騒いで、ついにはハーグではなく、国連安保理を茶番の舞台にした。
安保理の外交官に毒ガス判定はできないので、イギリスを支持した各国は、「イギリスへの連帯」を言ってロシアをひとくさりけなしたものの、根本的な立証責任はイギリスに置いているという仕立てだったのが面白いとも思った。
■ 英国防大臣をロックオンしてるロシア
昨日からちょびちょび、ロシアがテーゲットにしているのはイギリスの国防大臣。この人が、言うにことかいて、「go away, shut up」と言ったんだそうだ。要するに、「ロシアはどっか行け、黙ってろ、この野郎」みたいな感じですね。
これがイギリスの国防大臣。うちの稲田&仲間たちと同類って感じ。
最初にこの発言をひっかけたのはロシア外務省ザハロワ報道官なんだが、次に、ロシア国防省が書面で、イギリスのウィリアムソン国防大臣を非難した、というよりなじった。
'Fishwife’s rhetoric' reveals 'intellectual impotence' of UK Defense Secretary – Russian MoD
https://www.rt.com/news/421445-williamson-russia-impotence-skripal/
「本日のイギリスのギャヴィン・ウィリアムソン国防大臣による口汚い女(fishwife)のレトリックは、氏の極端なまでの知的無能力ぶりを物語るものである」
とかいう、ロシア国防省から出る文言としては、驚くようなものが出て来た。
“Fishwife’s rhetoric demonstrated today by the head of the British Defense Ministry Gavin Williamson, perfectly characterizes an extreme degree of his intellectual impotence,” the Defense Ministry said in a statement.
これはつまり、ある種の挑発ではあるわけでしょ。そして国防省から出るんだから、来るなら来い、とも言える。こういう人からの声。
(ロシア軍ゲラシモフ参謀総長)
ところがこれにイギリスのメディアは応じていない。馬鹿なのは自分んちの国防大臣だと考えたくないからでしょうかね。
そこでもう一発、本日はロシア外務省のラブロフ外務大臣が、同じ「go away, shut up」をネタに、
イギリスの国防大臣は若者です。彼は醜い言葉を使って歴史に名を残したかったのでしょう、
と言ってる。
Lavrov believes UK’s defense chief wants to ‘go down in history’ using obnoxious remarks
http://tass.com/politics/994458
通してみるに、軍&治安機関の仕業なんだから責任者の首は取れよ、ですかね。
■ オマケ
ネット上では、ネオコンが仕掛けたのだ~、これは戦争準備だ~と非常に暗いトーンで話す向きもあるけど、私のカンはそういう感じはしていないんですよね。ネオコンの仕業はその通りなんだろうけど(リベラルはネオコンですからね、本質)、なんかバカが釣りだされてるような気がしてる。
もちろん、バカがバカだと確定してもこのバカは諦めないバカ、自己認識不全のバカなので、こういうバカ話は続くことは続くんでしょうが、世の中限界ってものがある。
メディア上の真実 vs 地上の事実では、普通長期的には後者が優位になる以外にはないから。
そうそう、「Strike Back」というイギリスのスパイドラマと同時進行してるという話が広まってますね。
どうしてこんなアホなことをしてるんでしょう? イギリス人も相当数が困惑派になっちゃってる一方、ボリスは連日これでもかとアホなことを言ってますね。
これってほとんど日本でいえば維新とか日本会議の面々が表に出て来た時の日本人の困惑と同等かも。
最近の「ブレーミャ」で面白かったのは、「ノビチョク」の由来についてです。
https://www.1tv.ru/news/issue/2018-03-13/21:00
このビデオの3/12のニュースの8分過ぎの所、ネット利用者の話題として、「Strike Back」というイギリスのスパイドラマの最新作での会話。「何年も我々はノビチョクという、通常の10倍の毒性を持つ神経剤の話を聞かされてきた。でもそれは作り話よ。」案外、このドラマからヒントを得た作戦だったかもです。
付け加えるなら、ドンバス上空のマレーシア機撃墜事件。回収されたブラックボックスは、最終的にイギリスへ渡った筈ですが、その後一切の情報は伝わっていません。自らは何等の物証を出さずに、ひたすら「犯人はロシア」と繰り返す高学歴のエリート達は、自尊心すらないのでしょうね。
フォローありがとうございました。私もそう思いました。強気で、教養があって、勇気がある、こういう人たちがリーダーであることをロシア人はもっと自信を持つべきです(持ってるだろうけど)。
私は黙らないさん、
イギリス人一人ひとりに聞いたら多分半分も信じていないのでは? ただ、治安維持を名目に警官、軍人が多数街に出てる状態で、しかもイギリスのあのバカみたいにある新聞、雑誌が一致してロシアが悪いを掻き立てているので、相当圧迫されていると思います。オウム事件の時、日本人だって冷静じゃなあった。
チャイロさん、
お役にたてれば幸いです。どうしてこうも無残な人たちがリーダーになるのか、西側諸国は総じて異常な状態ですね。
一読すっきりさせていただき感謝です。英国情報は米国のより少ないし、英国閣僚がどの程度の馬鹿をしゃべっているのかすぐにはわかりません、伝えていただき爆笑です。政権トップが馬鹿だと閣僚も馬鹿、ま、当然ですがネ。
唐突なのだけど、デタントへ向かうであろう南北朝鮮の情勢と、英のしかけたNATO、ロシアの関係悪化が無関係ではないような気がする。ふと守旧派という言葉が脳裏に浮かぶ。今回のイギリスの所為も紛争が権益の源である守旧派の抵抗ではないかと。当然、守旧派のメインはネオコンの似非リベラルなのだけど、トランプが次から次へと要人を解任するのも、もしかすると彼の人格上の欠点もあるだろうが、デタントの足を引っ張りたい勢力の抵抗が相当激烈なのではないかと、ふと思う。戯言失礼。皆さん、良い週末を。
いつも大変貴重なお話、ありがとうございます。
ポーランドが二重経済なのはよく知られていたような気もしますが、金クラウンの話は知りませんでした。しかし、金を持ってるというのが思えばスゴイですよね。
で、思うのは、結局のところ封じ込め政策のために、ソ連から見た時の「外」がそれ以上に、実態以上に良く見えたという傾向はあったんだろうななど思いました。西側製品というのは日本でいえば舶来品みたいなものだったのでしょう。しかし舶来品が良好でもその土地の人の暮らし方まではわからないのが人の常といったところでしょうか。
こちらの記事
英ロ、国連安保理で応酬=元スパイ暗殺未遂で緊急会合
ttps://medical.jiji.com/news/13184
の中で、ロシアのネベンジャ国連大使が、イギリス政府高官を『シャーロック・ホームズ』シリーズのレストレード警部に準えてやり込めたのは実に痛快でした。
去年の2月、クリミアの件でまた性懲りもなく文句をつけてきたアメリカとイギリスに対し、アメリカ憲法の文言やフォークランド諸島を引き合いに反撃した故チュルキン大使もそうですが、ロシアのエリートは咄嗟に、しかも決して下品にならない内容で応戦できるだけの深い知識と教養、表現力を備えているのだなと実感します。
そういえば、日露戦争後のポーツマス条約でロシア側の全権だったセルゲイ・ウィッテ伯爵も、幼少時から知育偏重ではない全人格的な教育を受け、小村寿太郎をはじめとする日本側をも冷静、的確、しかも温かな目で分析していたそうですが、この辺りは現代ロシアの政治家・外交官にも受け継がれているのかもしれませんね。