鳩山由紀夫さん・・・個人的な趣味として著しく否定的な感情が先に立つのだけれども、でも一つだけ彼には他の人にはあまりないものがあることは私も認める。それは、ポッポ鳩山はお金持ちだし、多分いわゆるエスタブリッシュメントの一人というか一族らしいので立場が日本の政治家としては尋常でなく自由だという点。
つまり、日本というアメリカ幕府体制下で、かつては外様も外様、まるまる敵だったが徐々に役職を与えられて普代の席に着くようになった藩といたしましては、アメリカ様が強硬な作戦を取っている場合には、声も出せないという事態に陥る。
しかし、今回のような、明らかに筋の悪い事案の場合には、多少なりとも異論を出しておくことは後々の日本国の立場を考えてもとても重要。
そういうわけで、
鳩山元首相、対露制裁は誤りだった
http://sputniknews.com/asia/20141208/1015601836.html
民主党代表の鳩山元首相は、日本が西側に迎合して対露制裁に加わったことは誤りだったと考えている。鳩山氏は東京でのロシア文化フェスティバルの閉幕式で演説したなかで、この声明を表した。
どうもお世話様です、みたいな感想を持った。
要するにね、後述するように、どこの国も二枚腰になってるわけですね。現在のアメリカ政権に完全な恭順を示すのが現政権なら、元首相とか、なんか有名な人とかを繰り出して、いやいやこれは如何なものか、みたいな意見を言わせているわけ。
なぜそうなのか。それは、今回のケースの嘘、捏造があまりにも酷いので、もたない可能性もある、ってことが非常に大きいのではないでしょうか。
もちろん、その上でロシアはback downしない、引き下がらないことが最初から予想され、さらにそのオッズが高まっている、ってことは、ほんとの戦争にせよ経済戦争にせよ、情報戦争にせよ対立が激化する可能性がある。その時、嘘でひっかけた側に100%付いてるって、国としてそれってやばくね? マネージできるか?という話だと思う。
日本も西側ですので他人事じゃないのにロシアに対する働きかけを誰もアピールしないって、リスクヘッジがなさすぎではなかろうか?と私は思ってましたです。(日本はロシア制裁が緩いからいい、みたいなのは内輪の論理です。見てるのは当局者だけじゃなくて、世界中の人だと思うべき。そして長期的イメージを宿すのは一般人)
■ 各国の二枚腰状況
● アメリカ、ドイツ
軍産複合体という意味ではない正規軍の一部と、いわゆるアングロのグループを代表しているであろうジョン・ミアシャイマー氏が対露政策に強い異論を示しているのは何度も書いた通り。共和党系ではパット・ブキャナン、ポール・クレーグ・ロバーツらが相変わらず反ネオオン+リベラル介入主義者(本質的にトロキスト)の記事を書く。オールタナティブメディアはあいかわらず活発。
アメリカの左は、なんせNew York Times、BBC, the Guardianといったところが軒並み反プーチン戦線の本拠地なので、その流れで、なんてこと、あの独裁者を倒せ、ウクライナの善良な人々がロシアの圧力に苦しんでる、みたいなトーンに煽られてる、今やおバカの巣窟、過激なお花畑主義の妄想全開みたいになってはいる(ロシアを倒すって、ものすごいことを言っているのに気がつかない)ものの、ふとみたら左派系のsalonでもこれらの新聞のプロパガンダに呆れてる集団がいる模様。
New York Times propagandists exposed: Finally, the truth about Ukraine and Putin emerges
NATO was the aggressor and got Ukraine wrong. Many months later, the media has eventually figured out the truth
Patrick L. Smith
http://www.salon.com/2014/12/04/new_york_times_propagandists_exposed_finally_the_truth_about_ukraine_and_putin_emerges/
キッシンジャー氏も3月からずっとあちこちで異論を述べている。今回は、ドイツのシュピーゲル誌が単独インタビューを行っている。どう考えても「異論」を述べるであろう人を出していているんだからこれはシュピーゲルというドイツの著名誌がこの意見を掲載したいという意味でもあるだろう。そうやってドイツ言論のバランスを取る、と。
Interview with Henry Kissinger: 'Do We Achieve World Order Through Chaos or Insight?'
このインタビューのハイライトの一つはここかな。
Kissinger: Crimea is a symptom, not a cause. Furthermore, Crimea is a special case. Ukraine was part of Russia for a long time. You can't accept the principle that any country can just change the borders and take a province of another country. But if the West is honest with itself, it has to admit that there were mistakes on its side. The annexation of Crimea was not a move toward global conquest. It was not Hitler moving into Czechoslovakia.
クリミアは症状であって原因ではないです。さらに、クリミアは特別なケースです。ウクライナは長い間ロシアの一部でした。ある国が国境を変更して別の国の州を取って来るなんていう原則を認めることはできないですよ。しかし、もし西側がこの件で正直であるなら、自分の側に誤りがあったということを認めなければなりません。クリミアの併合は世界征服に向かうような動きではありませんでした。ヒトラーがチェコスロバキアに進出したような話ではありませんでした。
つまり、インタビューアーが、ロシアがクリミアを併合したことがどうした、と話をしようとするのに対して、それが原因ではないだろうと語る。実に今回のウクライナ騒動の鍵がここにある。(このへんで書いた通り:アメリカがソ連に見えた日)
また、ドイツ政界はそもそも、メルケルがオバマ路線と足並みを揃えるが、メルケル政権で連立を組んでいるSPDは、対露政策はどちらかといえば融和派がいる方で、外務大臣のシュタインマイヤー氏はその中でもロシア政策のエキスパートみたいな人。つまり、最初から政権そのものが限りなく二枚に近い。
メルケルがきついこと言う時にはシュタインマイヤーはロシア外相と会談してる、みたいな調子で容易に立場がわからないような、なんかものすごく複雑なことをしてる。
主要ジャーナリズムは情報機関から原稿もらって書くようなことだってあるんだと告発したジャーナリストの書いた本がベストセラー入りするという、政権としたら面倒くさい事態も引き起こしてる。(ドイツ人ジャーナリストの告発本、ベストセラーに)
さらに、最近の動きとしては政治経済ではなく文化人、著名人60人が、このまま行ったら戦争なのか、冗談じゃない、といったアピールを発表している。ここ。
※ 署名者の一人 Luitpold of Bavaria ルイトポルト・フォン・バイエルンとは、世が世ならバイエルン王国の王様ではなかろうか・・・・。 いやヴィッテルスバッハ家の宗家の人がいるから違うらしい(Franz, Duke of Bavaria)。でも近いラインだと思うな。一族で反プロイセン(今の政権はベルリンなので)を誓ってたりして?
●フランス
フランスは、政権がミストラルの引渡しを拒むという大きなカケをしているが、知られている通り、勢いのある国民戦線(フロント・ナショナル)の党首マリーヌ・ル・ペン は、ずっとロシアというかプーチン擁護派。国民戦線は最近活動資金をロシアの銀行から借りたらしいが、その理由はEU内の銀行がびた一文貸してくれないから!だそうだ。これはあり得るだろうと思った。国民戦線は社会制度的に反グローバリズム的なので、親グローバリズム派はサルコジを立ててきたんだから。
で、その影でまったく人気のない、支持率13とか16パーセントとかいうものすごい事態に陥っているオランド大統領は、一昨日だったか、G7首脳としてははじめてモスクワを訪問しプーチンと会談してる。
France's Hollande Reaches Out to Putin in Moscow
http://www.themoscowtimes.com/news/article/france-s-hollande-reaches-out-to-putin-in-moscow/512673.html
オランド仏大統領、モスクワでプーチン大統領とサプライズ会談
http://jp.wsj.com/articles/SB12405761802736733606304580321811523941850
オランド大統領はカザフスタンを訪問してその帰りにモスクワに立ち寄ったのだけど、フランスがカザフという焦点の地で何を話したのか、私としては結構ドキドキ。でもフランスは確かにカザフスタンとの関係をいろいろ確認しておく必要もあるんだろうとみえる。というのは、フランスはカザフからウランを買ってるし、その他いろいろ関係が深いし、もっと深くしたいという意図も見える。
で、カザフスタンはこのたびユーラシア連合に入ったわけで、この団体が経済的なものであって政治的なものではない、と欧州側は確認しておきたいだろうなと思う。そうでないと、ロシアにだけ制裁をかけても意味がない、みたいな考えを惹起しかねないから。
一方、EUは経済団体じゃなくて政治的にも一体だ、それどころかEU内の各国(例えばブルガリア)は、自己の利益を犠牲にしてもEUの命令を聞かなければならないという、ものすごい圧政団体になっている。
そこで、もし、ユーラシア連合内でロシアがカザフスタンに影響力を行使しようとしたら、大騒ぎにするんでしょうか?
自分の側は団結して東進、東方政策を進めても無問題だが、ロシアが俺の妹に手を出すなと騒ぐと、圧政だ!とか独裁者の帝国的野心だ、とか騒ぐのが the Wes というところ。
● G7以外
基本的に制裁に関与してない。
中国、インドは最初っから制裁にかかわってないし、アメリカが圧力をかけたらしい形跡はどうもあるっぽいが、いずれの場合も、お断りされている。トルコは、ロシアとの間でよくこんな複雑な関係を構築できるもんだと思うような離れ業を続行中。
目新しいところでは、フィンランドが、ロシアの技術&ロシアのファイナンスによる原発建造に議会がOKを出した。
Finland Deepens Nuclear Ties With Russia
http://www.themoscowtimes.com/business/article/finland-deepens-nuclear-ties-with-russia/512684.html
■ オマケ:ウランもあるよ
こうやって並べて書いてみるとわかるのは、ロシアの資源の話は一般に石油とガスの話に終始しがちだけど、原発の影響力も大きい。今年になって、トルコ、イラン、インドで新規の原発建造が合意されてるし、フィンランドが上の通り、さらにハンガリーの原発もそもそもソ連時代のものでそれを変えない模様なので引き続き関係するんでしょう。
ロシアグループにお願いすると、核の技術の安定度の問題だけでなく、ウラン購入から廃棄物までパッケージでいかがっすか~みたいな感じなんでしょうね。おそらく。
なんせ、ウラン生産って、カザフスタンが圧倒的に大きい。下の図の右の水色のところ。wiki よく見ると旧ソ連グループで半分ぐらいになってたわけですね。ここまでとは知らなんだ。
だから、石油ガスだけでなく、西側には、ロシアグループ(ユーラシア連合)をぶち壊したくなる衝動は幾重にもあるんだと思うんだよね。でもそれって、要するに、欧州はロシア圏全体を、自分が好きに使える資源を持つ単なる場所にしたいという強い動機を消しがたく持ちづ付けて100年、みたいな感じなんだと思う。工業力を付けて来たといってはぶち壊し、軍事的に強くなったらぶち壊し、をしてきたら最近は敵もさるもの、なんだかロシアも結構金融強くなってきたよね(笑)。
ロシア帝国時代、宮廷の高位の貴族たちが、ユダヤ人ってなんか嫌なんだけどでもあの人たちお金勘定できるからいいんじゃないの、みたいなオオボケをかましてついに国を乗っ取られたことを考えると戦えてる今日が嘘のようではなかろうか?(復讐心理とかどこかにあるんだろうか、やっぱり?)
右の大きいパイがカザフスタン。以下順番に、カナダ、オーストラリア、ニジェール、ナンビア、ロシア、ウズベキスタン、USA、中国、ウクライナ。 ※ただし、埋蔵量自体の比較だとオーストラリア、カザフスタン、ロシア、カナダ、ぐらいの順番になる模様。参照ページ
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