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主権を譲れないロシアは徹底抗戦します by プーチンのロシア

2014-12-05 20:59:19 | 欧州情勢複雑怪奇

3月に、ウクライナ問題が急展開した時、

アメリカがソ連に見えた日

という記事を書いた。普通の観察として、アメリカ&EUがウクライナに工作して最終的にクーデータが起き、結果的にアメリカの政府高官が推挙していた通りの人物がウクライナの暫定政権についた以上、こちらの責任をまず見るべきだろうと私は思い、この事件の推移を見守っていた世界中の多くの一般人もそう思った。

それに対してアメリカ政府の取った手段は、そこをまったく無視して、クリミアのロシア系住民が住民投票をし、高度な自治というステータスを持ったウクライナの一部であることをやめ、独立を求め、独立した結果としてロシアへの帰属を求めるというステップを取ったことをまったくの茶番として、クリミアは暴力によってロシアが奪取したと宣言し、ロシアを非難し、孤立化させる試みだった。

こうなる少し前、著名な政治学・地政学の教授であるジョン・ミアシャイマー氏は3月13日ニューヨークタイムス紙への寄稿で、アメリカ政府はウクライナで起きたデモ隊に肩入れすることでクーデターの原因となる行為をしており(直近の原因)、その前にNATOをロシアの国境まで拡大するという考え(遠因)を進めるという誤りをおかしているのだから、対ロシア戦略を考え直すべきだと指摘した。

Getting Ukraine Wrong
By
JOHN J. MEARSHEIMER
MARCH 13, 2014

しかし、アメリカのオバマ政権の取った行動は上述の通りのものだった。

そこから半年以上経過して思うに、このまま何年か過ぎてアメリカというものが随分と力のないものとなった時、思い出すべき地点はここだろうなと思う。そして、逆に、ロシアを解体し、プーチンの放擲に成功し、アメリカが再び勝利者として君臨したとしても、そこにあるのは賞賛ではないだろう。

つまり、オバマ政権は勝ったとしても失うことにしかならない道を選択したと私は思う。

■ ロシアの徹底抗戦

そういうわけで、来年も大変なことになるだろうと思う。

昨日のロシアの大統領の年度末のまとめとでもいうべき大統領教書演説は、全体としては経済、社会を引き続きどうやって立て直すか、今年の成果は何かといった話だったけど、それはしかし、長期戦への備えとも言えるものだったとも思った。

‘Remember lessons we taught Hitler’: Top 10 quotes from Putin’s State of Nation address
http://rt.com/news/211411-putin-state-address-top10/

大事なポイントは、ロシアは主権を捨てない、クリミアは永遠にロシアだという点でしょう。これはつまり、NHKがまとめた通り「徹底抗戦」宣言ですね。

これまでは後者は問題外として、一応、「パートナー」として修復可能な関係としてUS/EUをみてきたが、ここからは敵とは言わないが仲間ではないという位置づけになるものと私は聞きましたです。

欧州の多くの国にとって主権や国家のプライドとは忘れて久しい概念で、贅沢なものに過ぎないのだとしても、ロシアにとって、本当の主権とは存在するために欠かせない必要条件である

“If for many European countries, sovereignty and national pride are forgotten concepts and a luxury, then for Russia, true sovereignty is an absolutely necessary condition of our existence.”

とうことだそうです。耳が痛いです、はい。

まぁだって、ロシアの過去200年間のことを考えれば、実際彼らにとってこれは本当の本当でしょう。直近の100年間のラフな時代というのも、結局のところロシア主権を巡るものだったのだなと最近しみじみそう思う。

(1815年 ウィーン体制の頃)

■ ドイツ vs ロシア

そして、この争いは一面では確かにいわゆるアシュケナージのユダヤ人、特にポーランドあたりの出身者で金融資本やアメリカ政府内部に食い込んだ一団との対決ということになるんでしょう。

しかし、欧州史として考えた時、これはつまり、ドイツ vs ロシアの対決に還元される可能性が非常に高いともみえる。

これで、欧州側は潜在的にびくびくしてるんだと思うんだよね。ここがもし対決姿勢に舵を切ったらNATOごと引っ張っていかれるわけで、今回はドイツだけやってって、ではすまない。経済だって同様。

で、最近、イギリスのジャーナリストピーター・ヒッチンズが、第一次世界大戦、第二次世界大戦と欧州史としてイギリス対ドイツの対決といった書き方をしてそこを中心にものを見ることになってたけど、この争いは結局は体制の中で処理できるものでしかない。本当に問題だったのは、ドイツ vs ロシアなんだということを言っていた。

ドイツの射程がカスピ海周辺にあるだろうという点も私と一緒で、であればこそサウスストリームについて殆どの人は注目していないが(メディアがプーチンに打撃とかいう話しかしない)、重要な動きで俺はこの帰結に明るい未来が見えない、みたいなことを書いている。

ヒッチンズは、(うれしいことに私と同じで)今回のウクライナの話に、どうしてもドイツが大きな関与をしていると思えてならないと再々言っていて、そのたびに読者から苦情されていた。ドイツに恨みでもあるのか、みたいな。

しかし、歴史に興味のある人ならそう思うのも仕方がない。そもそもウクライナのナショナリズムを扇動し続けて来たのはドイツだという点が実に重要。別に噂とかじゃない。で、ドイツというとベルリンのあるドイツ帝国だけを考えがちだけど、ウクライナ西部は直接オーストラリア領だったわけで、こっちの関与も同様に重要。そして、あのレーニンは、ウクライナのナショナリズムを扇動するための団体にいたことがあって、当時の資金源はオーストリア、ドイツの両帝国だったらしい(下の本によれば)。レーニンって、ドイツのエージェントと言われてたってのは、ブレスト・リトフスク条約あたりの話だけではないのね。(参考:ドイツとウクライナとブレスト-リトフスク条約

ヒッチンズが今回引用に使ってたのはロシア革命に関する定番のひとつであろうパイプス Richard Pipes の The Russian Revolution(1992年版)。

The Russian Revolution
Richard Pipes
Vintage


■ 極東方面

ヒッチンズはイギリス人なので主に欧州の話にしか興味が回らないんだと思うけど、私は、ふと、レーニンの来歴なんかを考えれば、ボルシェビキからコミンテルン、ソヴィエト・ロシアに成っていくいわゆる革命第一世代の人脈は、多くの場合ユダヤ人という共通項だけでなく、ドイツによる資金提供、またはそこからのネットワークも加えないとならないってことなのよね、と気づく。

なぜそのへんを気にしたくなるかといって、そりゃだって、そこから15年ぐらいした時には日本の敵としてドイツ人が中国にいたわけで、あんたら何してました?と考えたくなるのも無理ないっす。

あと、革命前にアメリカ、カナダに移民してたという経歴を持つ人も少なくないようだ。

中国に共産党を移植したのはコミンテルンであり、ソ連だ、みたいに多くの場合書かれるけど、1920年前後においてそのコミンテルンなる組織は一体誰がどうやって維持していたのかを考えると、私たちが一般に抱くソ連≒ロシアというイメージとはおそらく全然違う。

革命第一世代の経歴を軽くさらってまとめてみるだけでも、結構な収穫があるのではあるまいか? どなたかやってほしい。「本格派!コミンテルンの陰謀」とかいう感じ。

 


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