イギリスが、ロシアが期限までに説明をしないといって一方的に制裁を発表。よく考えると、よくぞこんなバカな真似をするものだと苦笑しか起こらないわけだが、ともあれやっちゃった。
ほとんど一人相撲なわけですが、こういう記事だけを読むと、なんだかまたロシアが悪さしてるのねみたいな感じに見える人もいるんでしょうか。日本の記事を読んでも仕方ないですが、一応貼っときます。
露外交官23人追放 元情報員殺人未遂で対抗措置
https://mainichi.jp/articles/20180315/k00/00m/030/069000c
欠けているのは、その元情報員がどういう経緯でイギリスにいるのか、つまりそもそもイギリスが雇ったロシア人のスパイだ、という情報や、起こった殺人未遂をロシアがやった証拠は絶望的にない、そして、大事なことは、強力な神経ガスが自国で使われたと言っておきながら、ロシア政府または、それがイヤでも化学兵器を担当する国際機関にそのサンプルを提示して証拠を固めようという意思が英国政府には一切ないこと。
で、その制裁なんだけど、イギリス在住の私の好きな方のアレックス(好きでない方のアレックスもいる)がBBCあたりを参考にまとめたところによると、
- 23名の外交官の追放
- 民間機、税関等のチェック体制の増強
- ロシア資産の凍結 たあし英国の市民の生命または財産を脅かすために使用された可能性があるとの証拠がある場合
- FIFAワールドカップ(ロシア開催)の閣僚と王室のボイコット
- イギリス・ロシア間の高レベルの外交コンタクトの停止
あたりが英国単独で行うものらしい。
http://theduran.com/skripal-crisis-theresa-may-fires-blank/
それ以外に、国連安保理を招集したし、NATOにもなんか言わせたりしているが、これは別途明日あたり何か出てきてから考える。
4は誰も気にしないだろうなと思うと笑える。あんたらの王室も閣僚も世界の人々にとっては参加してほしい重要人物じゃないでしょ(笑)。
最初はイングランドチームはボイコット、とか言ってはみたものの国民が反発したのでそれは下火になった。
あと、3もなかなか際どい。全部のロシア資産をいきなり没収、凍結するってそれって泥棒ですからそうは簡単にできないし、やったら他の資産家たちもロンドンを危険視するでしょう。でも、ロシアのオリガーキに対してやるってのは面白いんじゃないの? そのうちの何人かは結局ロシアという国の保護を頼りにするはめになると思う。イギリスは安住できないところだ、あんたらはイギリスに使われてロシアをむしり取っただけだ、って話ですんで。
あと、さりげに非常に興味深かったのは、ロシアのRTのイギリス国内での放送の許可を取り消すかもしれない、みたいなことをイギリスの放送の当局者が言ったら、ロシアのザハロワ報道官が、そんなことをしたら、ロシアではイギリスの報道機関は一つも活動しないことになるだろう、と間髪おかず言ったところ。
どう考えても、各国でのメディアを通した行動こそイギリスとその延長としてのアメリカの主たる武器でしょ?
それが出来なくなるということは、ますますロシアにおけるイギリスのプレゼンスは下がるし、もう顧みられなくなる。
外交官の追放もそうで、仕返しにロシアがイギリスの外交官とその周辺の人を追放することになると思うわけだが、これは、ロシアにとってのマイナスより、イギリスにとってのマイナスの方が大きいでしょう。イギリスとアメリカ、ドイツあたりが入り込んで、金をチラつかせてスパイを雇うことによってロシアをグダグダにしていったし、今も頑張ってるわけでしょ?
それらこれらを思うと、イギリスは一体何がしたいんだろうとしか思えない。
巷間多くの人が、ネオコンが戦争を仕掛けているのだとか言うし、まぁそれはそうなんだが、私が思うに、こんなことしか出来ない奴らなんだなというのをただ晒しただけの、大失策にしか見えない。
前にもまとめたけど、イギリスとかアメリカは本当にその地位を失ったんだなと思う。脅しが効かないというのは何も軍事力だけではない。多くの人に、あの人たちが言ってる方が正しいに違いない、あの人たちに任せておこうという信頼をもたせることが、効率の良いステルス統治の肝なんだと思う。
ワシントンコンセンサスなるものはまさにそれでしょ。彼らの法や政治機構、経済の仕組みを真似して多くの国は近代国家を整え、同じ機構にいるからこそ彼らが下す指令も理解しやすい。
こういうことはしかし、別に強制的に、力づくでやらされただけではなくて、それはそれで合理的に見えたり、いいんじゃないかと思わせる何かがあった。それがいわゆる「パックス・なんちゃら」なわけでしょ。
ところが、ここ数年多くの人たちが理解したことは、彼らの法や政治機構にもいろいろ穴があり、しかも、額面通り運営もされてない。それどころか彼らこそ法を破っているし、その破り方は常に誰かを犠牲にし、誰かを殺し、誰かを騙す、そういうやり方だった、と。
これで気持ちが離れない人は、そりゃもうあなた、それこそMI6やCIA、果てはそれにつらなる大メディア関係者とそこに繋がって立場やお金をもらってる人たちしかいなくなるでしょう。
しかも、今般のイギリスの事件が垣間見せる、あるいは推測させるのは、雇われたエージェントとて人の子なわけで、いつなんどき立場を変えるか知れたものではない。まして自分が騙されたと知ったのなら。
上述した「これでいいんだ」と思わせる効果の減退が、世界中で彼らに従っていた末端のエージェント、あるいはジャーナリストたちによるサボタージュへと繋がる可能性が見えてきたりするのかな、など楽しく想像してしまう。
■ コービン頑張る
小ネタだが、イギリスのメディアがやんやの大騒ぎをして、メイがアホなことに突っ走る中、労働党のコービンが実にまっとうなことをしっかり発言している。ちゃんとした証拠が先だ、これじゃイラクに行く時の嘘と同じだ、云々。
Recalling Iraq Lies, Corbyn Demands Concrete Evidence Novichok is Russian-Made
https://sputniknews.com/news/201803141062528831-corbyn-novichok-evidence-chemicals/
去年も書いたけど、コービンはこの人の政策や考え方が嫌いだという人でも、孤立をおそれず主張する点を評価する人は結構多い。
■ とてもブリッツっぽいコービン
で、コービンはオールド労働党の党首なので、その線から読み解こうとする人が多いんだろうとは思うけど、その前に、この人は、結果的にとてもブリッツっぽい、またはブリッツが自己をそうであると思いたいそれであるような感じがする、という点からどうやら密かに好感をよんでいるらしい気配があることも重要だと思う。
ロンドン火災:本物とお人形
キャサリン・ガン事件 とは、イギリスGCHQの職員であるキャサリン・ガン(w:Katharine Gun)が、NSAからGCHQに送られたメールをリークした事件である。この事件によって、国際連合安全保障理事会理事国代表に対する通信傍受によってアメリカとイギリスがイラク戦争開戦を有利に進めようとしたことが明らかになって政治問題となった。
どうしても出たかったら、個人の資格で、どうぞ。WAGB World Cup Athlete of Great Britain
茶番。
今回の事件と前後して、BBCが
プーチン露大統領、14年に旅客機撃墜を指示と明かす
ttps://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180312-43368015-bbc-int
という悪意満載の記事を流していましたが、
>爆弾を積んだ旅客機がソチ冬季五輪開会式を標的にしているとの報告を受け撃墜を指示した
結果的には誤報だったとはいえ、もし本当にこんな状態で五輪の開会式会場が襲撃される危険があれば、罪のない乗客には非常に残酷な話ですが、一国の大統領としては旅客機の撃墜指示を出す以外に何ができるのかなという気がします。そんなテロリストが話し合いや説得に応じる精神の持ち主では到底ないということは、他ならぬ彼自身が一番よく知っているはずですから。
このスパイ襲撃容疑といい、この番組といい、プーチン大統領の再選を目前にして、イギリスが非常に焦っていることが分かります。彼はイギリスを含めたNATO陣営にとって、最大の「脅威」でしょうから。
ところで、
>国連は昨年9月、ロシアによる「深刻な人権侵害」がクリミアで起きていると非難した。
そうですが、その国連じたいが
国連活動の性的搾取・虐待、2017年は138件 半数がPKO
ttp://www.afpbb.com/articles/-/3167269
という体たらくなのですから、滑稽ですね。
アングロ・シオニストの世紀の中心にいるのはイギリスですので、彼らが真相解明するのなら、それはこの体制がほどけるという意味でしょう。