DEEPLY JAPAN

古い話も今の話も、それでもやっぱり、ずっと日本!
Truly, honestly, DEEPLY JAPAN!

争点は改憲に向かう体制を作るか否か

2019-07-20 17:55:30 | アジア情勢複雑怪奇

孫崎さんの昨日のエントリー。

参議院選挙がとうとう明後日になった。

 自民党の候補者の演説を見ると、「いかに民主党政権が悪かったか。この悪夢を再び繰り返すのか」と述べている。

 しかし、今次選挙ではそんなことは、まったく関係がない。

 どう転んでも、この選挙で野党政権ができる可能背は100%ない。従って、「いかに民主党政権が悪かったか。この悪夢を再び繰り返すのか」という発言は争点各紙隠し以外の何物でもない。

 では、今次参議院選の最大意義は何か。

 自民・公明・維新が三分の二の勢力を確保し、改憲に向かう体制を作るか否かである。

 安倍首相が改憲で狙っているのは九条の改憲である。

https://ch.nicovideo.jp/magosaki/blomaga/ar1788988?key=4ace182c4ca43909a1b49199f3f9b3b044583749fd583107cdda3249bb727a3f

 

私もこれに賛成。

そして、だからこそ小林節さんとか平野貞夫さんが共産党を応援して改憲阻止となる議員の確保に注力しているわけでしょ。昨日あたりの千葉や大阪、京都の演説でも率直にそれを語っていた。

唯一の論点はこれまでの"専守防衛"の方針を変更して米軍の友軍として世界に展開することの是非だ、と。

昨日は、前川喜平さんが神奈川と兵庫で改憲阻止派を応援してる。

この動画の4分40秒から12分ぐらいまで、わずか8分だけど、よくまとまってて面白い。

あさか由香×前川喜平×山口二郎 日本共産党街頭演説 2019年7月19日

 

これらはすべて、改憲派大多数になるところを阻止して、改憲反対派の票を集めようという意図とお見受けします。千葉、神奈川、大阪、京都、東京などは複数区だから改憲懐疑派の票で残り1議席取れるポテンシャリティはあちこちにある。

で、どうして平野さんはおろか、今まで反共リベラルのポジションにいたと思しき佐高信までが共産党の応援に出て行ったりするのかといえば、今は「野党共闘」中だから大声では言わないにせよ、立憲民主は頼りにならない確率が高いとみんな思ってるからってのが結構大きいと思う。

東京のメディア向けには、まったくその通り、安倍はけしからんという「野党第一党でございます」のポジションを作って、地方では、自民と組んで共産議員の数を減らしましょう作戦に邁進してたのが旧民主党勢力の大多数で、その好例が京都。

ここで書いた通り。

ホントの話が漏れ出した日本

通常ならそれもありだとしても、安倍政権というのは改憲政権で、やり方として益体もない宗教勢力とヤクザを味方に政権を占拠しているような政権なんだから、ある程度反対の立場、少なくとも論争可能な立場を確保しなかったら、実を言えば国民を巻き込んだ論争を作れない。

むしろ、国民を騙してる、みんなの改憲にはならない。ヤクザとインチキくさい宗教勢力に騙されて改憲されるようなもの。まぁ、岸ってそんな奴といってしまえばそれまでだけどね。

別の言い方をするなら、改憲に賛成でも反対でも、もっとまともな議論が必要なわけですが、いまだかつて真面目にやれてないわけです。

これで終わりではなくて、いずれの時点においても、発議が可能になれば、そこから国民投票が待ち構える。国民投票は通常の選挙と異なり、ルールがないに等しいので巨大なお金を持った側がプロパガンダ流し放題になる、買収し放題になる

→ だから、ねじれ国会にして改憲発議を防ごう、ってのがこの選挙の役割。

すなわち、改憲阻止議員を増やそう、と。

 

■ 9条をなんとかしてぶっちぎりたい

そしてもう1つ。争点は9条だというのさえここ数年ぼかされてるし、立憲支持派と思しき人たちなどは、9条ばっかりいってて頭が古い、ホントは緊急事態条項なのだ、とか言ってるでしょ。私はこれは賛成できなかった。

緊急事態条項的なものは憲法を変えなくてもできるわけですよ。今だって既に行政府によるソフト独裁主義みたいなものだし、プロパガンダと統治機構の武力を使えば、もっとずっとできちゃうでしょ? 日本人には抵抗はあんまりないんだし。

 

9条が他のどれよりも重要なのは、これは対外的な問題だからでしょう。へんな言い方だけど、他国にとっては日本国内で日本国民がソフトに統制されていようがハードに統制されていようが関係ない。

しかし、9条という、Pacifism(平和主義と通常訳される)の憲法を持ったことを特長としてきた1945年の新生日本がそれを捨てるというこは、他国にとっては大きな意味を持つわけ。

どう考えるかはその国によるだろうけど、周辺各国は、また戦前みたいなノリの国になるわけだな、と受け取るのが定石でしょう。だってしょうがないでしょ、リスク計算なんだから。

で、どういう国かというと、37年間に3回大きな戦争を先制攻撃で始めた国です。

 

■ ちょっとだけ改憲 →9条無効化

スポーツ誌にしか出てないってのが凄いよね、ほんと。ほんのちょっと変えるだけ、みたいな議論はまったくの騙しの議論ですので注意しましょう。

安倍首相の改憲論は危険 9条は死文化へ/小林節氏

https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/201907150000197.html?Page=1&mode=all

4項目あるけど、安倍さんの本心は9条です。たたき台素案は、自衛隊を明記した9条の2を加え、「前条の規定は必要な自衛の措置をとることを妨げず」と書いています。これまでの政府解釈、国会答弁の「必要・最小限の自衛」から「最小限」を取った。そして「妨げず」です。前条とは戦力の不保持、交戦権の否認。法では新しい条文が優先されます。9条の2を入れることで現行の9条は死文化するんです。

 

必要と必要・最小限の何が違うかというと、例えば、アフリカの奥地に自衛隊を出すという時、日米関係の緊密性に鑑みれば必要だ(アメに怒られるから必要だ)、と押されてしまうが、「必要・最小限」だったら、アフリカの奥地まで出すのが日本国の防衛として最小限なのか? という点で制限をかけられるから。

 

また、「法では新しい条文が優先されます」の部分は、今年の5月3日に樋口陽一先生が朝日に書かれていた。

https://www.asahi.com/articles/ASM4C5TC1M4CUPQJ00R.html

「今ある自衛隊の存在を書き加えるだけなら大きな変更ではないのではないかという意見も聞きます。書き加えるという行為の持つ法的な意味について理解が足りないと感じますね。基本的な法原則の一つに『後(のち)の法は先の法を破る』があります。ある法規範にそれまでと違うことを書き加えたら、前からあるルールは失効するか意味を変えるという原則です」

 

私はこれこれをしません、の後に、私は条件付きでこれこれをします、という意思が来たら、後ろが最終意思になるという話。遺言を考えてみればいい。

 

あと、自衛隊を明記しよう、とかいう声も聞こえてくる。

自衛隊は現在行政権の一部にある。

自衛隊という名称を憲法に書き込むこと自体が不自然なんです。自衛隊を管理する防衛省も役所の中の役所といわれた財務省も書かれてはいません。天皇、国会、内閣、最高裁判所、会計検査院と自衛隊だけというのは変じゃないですか。(上の小林先生の記事)

これを改変して、わざわざ軍の名前を出すということは、軍事機構を独立的に設けようといってるも同然。歴史的にみれば、統治機構からはみ出してコントロールが効かなくなった関東軍よもう一度なんだろうかと言いたくなる恐ろしい代物だと思う。

 

まぁとにかく、とにかくここを突破したいという強い意思がこれだけ見えるのに、ヒトラーと緊急事態法を優先させてきたのは、ちょっとピントが外れていたというべきじゃないかと私は思ってる。

 

■ 軍備に金を使わされるだけ

で、現行の9条外して、外征できる国になることによって何が変わるかというと、単純に今のアメリカみたいに、国内の軍産の力に抗えない国になるだけだと思う。

軍は国家の税金で出来てるので、ここに大量の資金が投入されるということは、軍事関連の大企業にとっては喜ばしい。いわゆる重工系ですね。

また、他国に侵略行動を取る時に、その他国がばらけた時の利権を狙うとか、その他国が混乱した時に国債や優良資産を安く買って大きなリターンを期待するとか、実にまったく巨大な利権構造がくっついてる。いわゆる金融系ですね。

だから、他国の軍事行動を喜ぶ人たちはいる。日本にも人数としては少数だが、強い力をもって存在している。

上の前川喜平さんの動画の中で、前川さんは「自民党はお金持ちのための党なんです」と言ってるけど、この指摘は今日とても重要だと思う。お金持ちの少数者の意見に振り回されるのはアメリカだけだと思ってる風がある日本の現在の言論環境はとても問題だと思う。

で、そうやって外征派(NATOの一角派みたいなもの)になっちゃえば、99%側の人間にとっては、重税になるし、国内は軍と大企業が席巻するから言論や思考も制限されるしと、何にもいいことがない。

平野貞夫さんが、浜口雄幸の話をしていたけど、これはとっても良いポイントだと思う。

満洲事変の前、浜口雄幸内閣は、中国との緊張関係を小さくして、他方国内の工業化を画策してた。めぐり合わせがいろいろ悪くてうまく行ったとは言えないんだけど、軍縮しようという意図は国民にある程度理解されていた模様で、だから人気はあった。しかし、右翼に襲撃されオジャンになる。その翌年満州事変となり、以降、まぁ勇ましい時代がやってくる、と。

 

アメリカ人が、軍産+金融+巨大企業群に国を乗っ取られて苦闘している姿を見たら、専守防衛に徹して税金を軍産に横流しする構図を防いだことが戦後日本の経済発展を支える鍵だったと気付いてもよさそうなもの。

 


 


コメント (3)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 米露の関係改善は近い将来に... | トップ | 奇妙なことを言い出したNYT  »
最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (セコイアの娘)
2019-07-20 21:04:04
今 れいわの街頭演説に行って来た。すごい熱気。はためく三色旗に学会員の公明党に対する怒りを見た。野原さん 国会に送りたい。前川さんも来た。れいわ 台風の目になるか。
返信する
リアルレポート! (ブログ主)
2019-07-21 02:25:37
セコイアの娘さん、

リアルな報告ありがとうございます。

太郎ちゃんたちの活躍でどうしても動かない地面がちょっと、ようやく動いた感じがします。

とはいえ、ああいうタイプの人や動きを好きな人ばかりはいないのが世の中なので今後どうなるのか、楽しみに、希望をもって見ていたいと思います。
返信する
Unknown (バアルのような者)
2019-07-22 02:25:54
ふなご候補、木村候補も良いが、可能であれば傷病兵上がりの候補を擁立して欲しかった。そこまでの状態ではないですが、私の大学時代の恩師に片手の指が全部なくなっている教授がいました。
そういう人を目の前にしてそれでも国会議員のセンセ方は派兵派兵言えるんですかね?
 木村候補やふなご候補のツテをたどるとそういう人に行きつく可能性も高く、今回特定枠出馬のお二人はもうそれだけでも戦争推進派にバケツ氷被せたと評価できます。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

アジア情勢複雑怪奇」カテゴリの最新記事