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コロナの後ろで中東は動いている&6月26日国連憲章

2020-06-29 17:36:15 | アジア情勢複雑怪奇

コロナで意味不明な騒ぎをしている間に中東情勢がかなりの変化を見せている。どう書いていいかわからないぐらい変わってる。

なにか認識的不協和に陥る人がいっぱいいそうだなのがイランあたりの話か。

イランはかなり西側に寄ることが確定といった感じではなかろうかと思ったりする。へんな感じの記事を見つけた。

イラク、高まる反イラン 政府、影響力排除へ ソレイマニ氏殺害
毎日新聞-2020/06/27

イランの影響力を排除といえばそうだけど、それはイランのソレイマニ系の、つまり革命防衛隊系の影響を排除する方向ではあっても、国軍のある方のイランを排除するということではないでしょう。イランはまったく別の国かと思うぐらい2つの系統があるので、今後も大変。

いずれにしても、ローハニ政権は西側寄りというのは最初から言われていたこと。

私が考えるに、この2重体制はよろしくないという考えは、イラン以外の周辺各国も理解しているものと思う。問題はイラン国内。

で、それはまた何か問題が起こるだろうから(笑)その時考えるとして、現在最も注目されているのはリビア。トルコとエジプトが戦争になりそうな、なっても不思議でない感じになってる。

 

リビアは、現在の暫定政権というのがヒラリーらが傍若無人にカーダフィーをぶち殺して泥棒した時の現地勢力がそのままスライドして出来たもの。

それに対して、LNAという対抗勢力がトリポリ周辺以外で力を得ているので、この2つの勢力が停戦して、話し合ったらいいだろうってのが、去年あたりプーチンがやっていて、次にドイツのメルケルが引き継いだところ。

しかし、上手く行かず、それどころか今年に入ってトルコが重武装で介入して暫定政権を支えてさらに混乱に拍車がかかった。

エジプトが引けないのは、暫定政権はほとんどまったくムスリム同胞団政権だから。

自分んちの国土の西側に広大なジハード主義者の政権なんか作られたらたまらないのでエジプトは強硬にLNAを支持。自国が介入すると言い出した。

ということで、トルコ vs エジプト でもあるし、私が思うに、これって

ムスリム同胞団支持グループ vs その他

の最終決戦みたいなものなのかしらという気がしないでもない。

イランは、ムスリム同胞団支持。これはそうでしょうね。だってイランは、遠くはムジャヒディーン支持だし、ユーゴスラビアの紛争の時にも切っ掛けを作っていくイスラム系を支持してた。このネットワークというのが、ある種の西側の裏側ネットワークなんだろうなと思ってみたりもする。

 

現在、ロシアが介入してるという騒ぎが時々見出しになるけど、ロシアは、衆目の一致するところ裏の調整者でしょう。

ロシアが介入してるという騒ぎで出てくるのはロシアの民間軍事会社ワグナーグループ。人数2,000人ほど。主な役割は、暫定政権側がスルトを取って「完勝」体制にしてしまうことを防止しているものと思う。だから、スルト防衛に入ってる。

 

では表の調整者は誰かというと、ドイツでしょう。

だって1月にベルリン会議をしたわけですから。その前にこうやってメルケルがモスクワに行って会談してる。この、何とも言えないメルケルの顔がこの協力体制を表してるとこの時書いたけど、今もそうでしょう。でも、協力は協力。

 

そして、つい最近、メルケルがさり気ないところできっぱりとこんなことを言っている。

ロシアと建設的な対話に関与し続けなければならない十部な理由があります。シリアやリビアのような国で、ヨーロッパのすぐ近くの国々で、ロシアの戦略的影響力はとても大きいです。ですので、私は 今後も協力に向けた努力を続けます

On the other hand, there are good reasons to keep engaging in constructive dialogue with Russia. In countries like Syria and Libya, countries in Europe’s immediate neighbourhood, Russia’s strategic influence is great. I will therefore continue to strive for cooperation.

 

これは26日にヨーロッパ主要紙の共同インタビューで語ったもので、The Guadianに載っていた。

タイトルだけ見ると、そんな話をしていないようだが、フルインタビューに載ってた。

'For Europe to survive, its economy needs to survive': Angela Merkel interview in full 

 

どうしてメルケルの上の発言が出たかというと、主要メディアらしく、東欧などはロシアの脅威を強く感じてるんですよ、それについてドイツは理解してるんですか、とメルケルが尋ねられたから。

メルケルは現在ベルリンで起きているロシアがらみと言われている(ロシアは否定している)事件についてロシアを一通り非難した後、それでも建設的な対話は必要だという上の発言をした。

もう、なんかこう、パターンが見えちゃってる。ロシアとドイツ、あるいは欧州各国の関係を妨害しようと懸命な人々がいる。だが、本筋の政府間が屈してないように見える。そしてそれができるのは、一定数以上の国民がこの路線を支持することが見込めるから。

 

で、この二国の関係は一筋縄ではないいかないことは誰でも知ってるけど、でも、どうあれ改善が見られることは、諸々の第二次世界大戦の問題で見てもわかる通り。

改善というか、ドイツ側が過去の自己の行動をようやく認められるようになった、みたいなところですね。過去40年ぐらいはそこを何が何だわわからない「ユダヤ人問題」で置き換えていた。

 

というところで、ロシアとドイツの間に少しずつ着実な和解というより、理解の風潮ができてくると気が気でないからなのか、26日マクロンがプーチンに電話して長話をしていた。

フランスは、誰にも気兼ねすることなくロシアに話しかけられる、不思議な存在。

で、マクロンとプーチンの話は多岐に及ぶんだけど、それはそれとして、議事録みたいなものをちらっと読んで気が付いた。

Conversation with President of France Emmanuel Macron

http://en.kremlin.ru/events/president/news/63572

 

6月26日は、国連憲章のお誕生日。75年前の今日国連憲章が署名されました、私たちは常任理事国として云々。

1945年6月26日といえば沖縄戦が終って、牛島司令官が亡くなって数日というところ。その頃50カ国がサンフランシスコに集まって、国際連合憲章を採択していた。

 

■ 1945年6月26日、国連憲章採択される

タイムラインはこんな感じ。

1944年8~10月-アメリカ、イギリス、ソビエト連邦、中華民国の政府代表がワシントンD.C.郊外のダンバートン・オークスで会議を開き、憲章の原案となる「一般的国際機構設立に関する提案」を作成

1945年2月 - ヤルタ会談でサンフランシスコ会議への参加者に招待状を送る。招待者は46カ国(ドイツか日本に宣戦布告をしている国)

1945年4月25日~6月26日-サンフランシスコ会議

1945年6月26日-サンフランシスコ会議において、50ヶ国により署名(原加盟国は51)

 

こんな状況の中で降伏しなかった大日本帝国の指導者層というのは一体何を考えていたのだろうと考えざるを得ないわけだが、その上さらに、その問題を戦後75年間ほどんど一切議論してこなかった全体としての日本人というのも、我がことながら、なんというか変わった人たちだと思う。

 


 


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4 コメント

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ロシアの優れた外交力と軍事力に期待します! (プーチンがクレムリンに泊まり込むのも頷ける)
2020-06-29 21:37:42
中東情勢を早速取り上げて下さり、ありがとうございました。日々変移する国際情勢を様々な角度から分析できるTakumi さんの記事を毎回ワクワクしながら読んでいます:) シーシ大統領は、昨年死亡したムスリム同胞団のムハンマド・モルシ政権を倒した人物なので、『引くに引けない』との御指摘はもっともだと思います。GNA 側に助太刀しようとしているイランとは逆に、シリアのアサド大統領はLNA を率いるハフタ―ル氏を全面支援する意向で、要請次第で精鋭部隊の派兵を宣言しています。ヒズボラもLNA を支持している様子が見受けられ、イランの頸木?から自立を図っている模様です。Takumi さんやティエリー・メイサンの記事の分析を踏まえると、恐ろしいことに、イランの本音は表向きのstanceとは異なり、イエメン同様にシリアの復興も望んでいないような印象を受けました。 大勢の人々から尊敬を集め、一部からは象徴として崇められたソレイマニ准将の暗殺は、ハーメネーイ師の意向であったのかもしれません。 また、未来を見据えるプーチン大統領は、国連安保理決議でリビアに対する拒否権を行使せず、棄権という形でNATOの武力行使を容認したメドベージェフの過ちを正しているように思われます。 リビアにおける各国入り乱れた戦闘は、世界平和を取り戻す上でも極めて重要で、今後も目を離せないですね!
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大統領選 (セコイアの娘)
2020-06-30 06:56:28
やっぱり11月のアメリカ大統領選に向けて、ゆさぶりをかけているのではないかなと思う。中東も朝鮮半島も。アメリカ国内も荒れに荒れている。
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Unknown (にゃんこ)
2020-06-30 10:27:57
国体護持と、無差別爆撃と原爆によって、国民の士気を完璧に砕く時間が必要だったのではないでしょうか?
日露戦争みたいになると、指導者層は困りますから。
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Unknown (ローレライ)
2020-07-01 11:18:41
イランはトルコと心中する気なのか?
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