晩御飯の時、消そうかと思ったけどとりあえず付けていたNHKの7時のニュースを見たところ、日本では、PAC3の配備が決まって、なんだか安心みたいなことを言っていた。あはは。
北朝鮮からミサイルが発射される場合のその発射地点がどこかによって迎撃体制も異なると思うんですが、そういうのは無視なんですかね。
そういえば、おととしロシア軍がカスピ海からコルベットでクルーズミサイルを撃ったことがあった。カリブルミサイルのお披露目ですね。あの時、ああ、これを極東に持って来たら相当使いでがあるだろうなぁと確か書いたと思う。
中東は各国に戦意の高い地上兵がいるところだし、そもそも街ごとに降伏したり反抗したりするのでどうしたって地上兵の決戦になる。でも極東はそうとも限らない、むしろその前のミサイルvsミサイルの色彩が今のところ濃い。そこでカルブルみたいな、移動可能でどこから出てくるのか相手方が予想できない、その上性能がいいミサイルって役に立つだろうなぁとか思ったわけ。
別の言い方をすると、ミサイル防衛網は最初も気休めだけど、さらに気休めになったって感じがした。
こういう、敵が撃って来る飛翔体を捉えて処理するシステムは、結局S-400みたいな使い方が考えられる限り有効っつか、使いであるなぁって感じじゃないんでしょうか。単体で弾道弾を撃ち返すとかいうのじゃなくて。S-300、400なんかの基本コンセプトは要するに対象エリアの制空権の維持・確保なんだと思うんです。いろいろ言ってますが。
まず第一に飛翔体に対して100発100中じゃなくてもいいが、少なくとも人間の乗ったパイロットはまず侵入できない(100発30ヒットだったら怖くて人は近づけない)。その上で、ミサイル vs ミサイルに備えて、多数のシステムを組み合わせて補足率をあげて、こちらの損害率をできる限り軽減する、という発想。
自己規定が完全な防御だからこそ考え付くシステムとも言えそう。イラン、トルコの導入も同じ考えがフィットするからでしょうね。ロシア極東にも少なくとも1台配備されている。中国も持ってる。
それに対して、日米が難しいのは、実はアグレッサーはこっちですからね。防御に主たる着眼がない。煽って、相手が反撃した時にそれを撃ち落とす、というのが基本。そして煽りに対する相手の反撃がどうなるかを予測するのは難しい。別の言い方をすれば、何を守るのかが一定しないから、瞬時に発見、打撃とかいう無理筋なことを言わないとならない、って感じかしら。
過去200年の攻撃の方向性は一定だということですね。
■ アメリカ人の一つの意見ではあるけど
わかりませんが、日本が戦時一色って感じがする中、アメリカの中は結構マチマチですね。トランプが何するかわからんという諦めムードで見ている人も多いでしょう。
そんな中、American Conservativeというアメリカの保守系・孤立派の主要メディア(パット・ブキャナンが主な主催者)に夕べ出ていた記事がなかなか考えさせられる。
Resolving North Korea Without “Fire and Fury”
Scott Ritter
http://www.theamericanconservative.com/articles/resolving-north-korea-without-fire-and-fury/
アメリカの北朝鮮対応を見ていると、sow the wind and reap the whirlwind(風をまきちらして、つむじ風を刈り取る ≒自分が犯した結果を取るしかない≒自業自得)という語を思い出さずにはいられない。
朝鮮半島に最初に核を持ち込んだのはアイゼンハワーの時代のアメリカ。通常戦力を減らすために南朝鮮に持ち込んだ。この決定は、休戦協定に含まれていた新兵器を朝鮮半島に持ち込まないという条項を否定していたが、戦力の節約ということでそのままになった。
北朝鮮にとってこれは直接の存亡の危機だったが、アメリカは封じ込めと不安定化で乗り切れるだろうと思っていた。
冷戦後のアメリカの外交政策では、軍管理と体制変更がリンクしていた。イラク、リビアの例にあるようなパターン。しかしシリアではそうはならなかった。
北朝鮮は相当量の通常戦力の能力があり、また北朝鮮の主権が破られれば出てくるという中国の介入の記憶もあり、アメリカの方針は経済的な封じ込めと外交的孤立化によって国内の不安定を誘って体制変更させ、南朝鮮を主体に朝鮮半島を統一するというものだった。
1980年代に、北朝鮮が核開発の萌芽のようなものの開発に着手した時、アメリカは封じ込めと孤立化の対象と考えたが、一度も誠実に交渉したことはなかった。北朝鮮が隣国や残りの世界と意味のある統一を果たす能力を有していることをアメリカは否定していた。
ここから、北朝鮮は経済制裁に耐えられる経済を構築しようとし、またアメリカのあらゆる行動がすべて自分たちにとって直接的に脅威だというパラノイアを生み出すに至る。経済制裁は体制変更にはまったく有効でないことがわかり、北朝鮮は長距離弾道ミサイルと核弾頭の小型化へと進む。
アメリカには展開中の北朝鮮を巡る危機に対して良いオプションはない。軍事オプションと呼ぶに値するような有効な軍事オプションもない。取ったとしても北朝鮮の通常兵力は残るだろうし、その一方で南朝鮮は破壊的な打撃を被るのは確実だし、南朝鮮、日本、アメリカ領内への核攻撃の可能性さえある。
・・・
ということで、要するに、北朝鮮は核持ちだと認めて、これを中国の核の傘に統合するよう仕向けるしかないんじゃないか、と。中国は先制使用をしない宣言をして、北朝鮮が一方的な行動を取ったら中国が核の傘を引き上げる、みたいな形。
その後に、アメリカと中国、北朝鮮、ロシア(後にインド、パキスタン)が、核貯蔵庫を縮小する削減交渉に入る、と。
こうした類の考えられた外交が出来なかったのはアメリカの側の傲慢さの故で、アメリカの一方的な核の優位性が維持できると思っていたからだろう。カオスを使うのは政策のテーマとしては成り立っても現実には災難への道でしかない。アメリカの失敗政策がそれをよく示している。もういい加減、アメリカの優位性以外のものをアメリカは提出すべきだよ。
ということらしいです。一つの意見ではあるけど、いろいろ考えさせられる。
それに対して、10個ぐらいコメントがついてるけど、そういう考えは理想的にはいいけど、アメリカにレジームチェンジが起こらないと無理だろう、みたいなのがあってちょっと笑った。
そう。アメリカの多くの人々は去年から引き続き自国政府に幻滅しっぱなし、なんだよね。
北朝鮮に関しても適当にあちこち読むけど、基本的に地球の反対側に近いようなところの騒動に巻き込まれるなんてウンザリ、って感じが主たる感情でしょう。
マスコミが、60%のアメリカ人が攻撃賛成!とか書いてる記事を見たけど、私はあんまり信じられないですね。こういう、なんでもとにかく空爆と聞くと喜んじゃう手合いは実際いるんだけど、現在は、一般国民の熱は低いと思う。単純に、主流メディアが調子のいいことを考えもせず言っている可能性はかなりある。
いずれにしても、なんとなくこの人にせよトランプにせよ、アメリカはチャイナに下駄を預けたがっている節が見え隠れするのだが、その意味はおそらく、中露の二重の凍結を見たくないからではないのか、とか思ってみたりもする。
北朝鮮問題:二重の凍結と「お前が折れろ」
なぜなら、この提案は北朝鮮に核を諦めさせる&米韓の大演習を止めろ、なので、潜在的には極東の米軍の再編成を引き起こすから。これが面倒なんでしょう。日本はおいしいし、韓国もいい具合におかしいままだし、ここを離れたくない。離れないためには演習でもしないと仕事がない。敵が欲しい。だったら北に核でも持たせておくか。になる。
それでは何も変わらない by 中露。なので、強力に二重の凍結をプッシュすると思うな。そして、北朝鮮の核問題を解決するという大義から言ってもこっちの方が理が通ってるってのも強み。
今日も言ってる、ラブロフ。二重の凍結だよ、と。
“Russia together with China developed a very smart plan which proposes ‘double freezing’: Kim Jong-un should freeze nuclear tests and stop launching any types of ballistic missiles, while US and South Korea should freeze large-scale drills which are used as a pretext for the North’s tests,” Lavrov said.
https://www.rt.com/news/399306-russia-does-not-accept-nuclear-korea/
ここ2週間かそこらそのメンバーでいろんな競技をやってますね。戦車バイアスロンとかいう種目ではロシアが勝ってた。これはやっぱり負けられないんだろうなと思ってほほえましかったっす。海軍モノではなぜだかアゼルバイジャンが好成績だった。