アメリカの現在は、P5+1として成立したイランとの核合意を不承認一歩手前、イスラエルをかばってUNESCO脱退、北朝鮮には爆弾落とすぜと脅しまくり、といった具合。これに多分ロヒンジャも関係あるでしょう。
これはつまり、ユーラシア側の団結阻止のための抵抗ってことなんでしょう。周辺部にボヤを焚き付けて、なんとかして盤面をひっくり返したい、みたいな。
で、できることといったら脅しのみというところが情けないのだが。
ロシアのラブロフ外相は、米国の交渉(契約)能力の欠如を批判していた。北朝鮮の核プログラムを正当化しないが、イランとの取引を反故にしそうなアメリカとどうして北朝鮮が交渉しようとするだろう、と。
http://tass.com/politics/970873
これはシリアの時から続く水流ですね。国務長官と約束しても、ペンタゴンが破ってくる、これじゃ一体どこに交渉主体があるんだ、という話。米国と約束してもなんにもならない。
しかし、米の現状は、解決したいんじゃなくて、カオス作って打開策を考える、なんらかのディールを取り付けるという作戦とも言えないような作戦しか作れないんだから、まぁそうなるというとことではなかろうか。多分、中国がどう出るのか、あるいは中国との間で何か取引を模索しているんじゃないかと思ってみたりもする。
別の見方をするならば、トランプがいくら吠えても、完全に盤面を壊すことはないのでは? だって、壊したら、戦争するしかなくなるけど、そうすると自分の望まない方向で決着する可能性がある(というか、被害の大きさから考えれば現状そっちの方が高いでしょう)。
というところで、ティラーソン国務長官が話を拾って歩いているような恰好。ケリーもそういうところありましたね。
ティラーソン米国務長官
「大統領 戦争望まず」 意見対立を否定
https://mainichi.jp/articles/20171016/dde/007/030/030000c
最初の爆弾が投下されるまで、外交的努力を続ける、と米のテレビで語ったそうだ。
‘Until first bomb drops’: Tillerson vows to continue diplomatic efforts on N. Korea
https://www.rt.com/usa/406741-tillerson-nkorea-bomb-drops/
一方、南北朝鮮は、折しもサンクトペテルブルクで開かれていたIPU(列国議会同盟)で、顔をあわせるチャンスはあったが合わあなかった模様。
列国議会同盟というのは世界中の国会議員さんたちから成る歴史ある会議。現在アメリカは滞納によって出席停止中らしい。この人たちは一国だけエライ主義によって世界中の人たちと対等に話すことを拒否しているからこうなるんじゃないかという気もする。
日本から取材に行っていた模様。
北朝鮮「韓国と会談しない」南北会談は実現しない?
(2017/10/15 17:37)
http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000112202.html
ロシアでの国際会議に出席している北朝鮮の代表団がANNの取材に応じ、韓国側との直接会談は行わないとの認識を示しました。
平壌から派遣された北朝鮮の代表団は15日、ANNの取材に対し、米韓合同軍事演習などが両国関係の障害になっているとして、韓国側との会談は今回の会議では行わない考えを示しました。
直接会談は行っていないが、マトビエンコ上院議長が南北朝鮮の代表とそれぞれ会ったみたいな。
Two Koreas avoid Russian opportunity to hold talks
Source:Reuters Published: 2017/10/15 23:48:40
http://www.globaltimes.cn/content/1070441.shtml
で、出て来たのは、
核武装以外選択肢がないようにしたのは米だ by 北朝鮮
US leaves North Korea no choice other than develop nuclear programs - North Korean MP
http://tass.com/world/970808
ロシアは北朝鮮の核開発プログラムを非難する
Russia denounces North Korea’s actions to develop nuclear program
http://tass.com/politics/970877
一見すると、核兵器を捨ててお前はサダムフセインになれ、とロシアが言っているような感じさえするが、そんなわけはないわけで、イランとの相似形を作ろうとしているんでしょうね。
つまり、核ミサイル vs 南朝鮮と米軍の過剰な演習をバーターにしようという中露によるダブルフリーズ提案続行中ということ。
■ オマケの妄想
で、ここに来てイラン・ディールを崩して来たのは、ひょっとして、水を差したということだったりするのか?とちょっと思ってみたりもする。(完全に崩したわけではないし、そもそも米が抜けたって他が堅持ならできることには限界ありすぎ)
だって、北朝鮮問題とは要するに米の太平洋軍とその属領たる南朝鮮と日本の問題でもあるんだけど、両方とも、特に日本の側に全然当時者能力がない状態なんだもの。
国民と来たら、今か今かと戦争を待ってさえいるような状態が過半を占めている上に、リベラル系統を壊滅させようとしている始末。
これじゃ将来の極東地域の話なんかできない、ということが事実として確定した。
では次を考えよう、みたいな感じじゃないかと想像。
つまり、現状を具体化させて、可視化させて次を見て言っているみたいな感じ。
ティラーソンは、就任直後の国務省内部向けスピーチで、今後50年の米国と中国の関係を考えながら、私たちはいろいろ試しているんです、みたいなことを言った人だというのは覚えていていいことのような気がする。
これこれ。
政策と価値観は違うので混同しないように by ティラーソン
心配になるのは、日本では、トランプの表層の言だけを頼りに、従来のネオコン政策を堅持しているわけだけど、ティラーソンは、価値観外交なるバカの吹き溜まりのような話に乗ってない人。
私たちの価値観と、私たちの政策は異なる、価値観は長い間かかってできるもの、それを誰かに今すぐやれといったら混乱するだけ、といったことを国務長官の仕事はじめみたいな時に言っていた。
つまり価値観外交というのは、ヒラリーのリベラル帝国主義と軌を一にしているわけですよ。あいつらはxxxxだ、だから亡ぼせ、という時のxxxxのところに入るのが、一般にリベラルっぽい何かとだというだけで、やっていることはブッシュと一緒。
ティラーソンは、アメリカの諸々のリアリスト系と同様、これをやったことによってアメリカが壊れていると思ってる系統だと思う。
覚えておいでと思いますが、カスピ海は俺らの海だ宣言がどれほど重要だったか!!
でも、イランは軍も含めてそれ自体として強いですよ。そこにロシアの戦略脳の表現としてのエアサポートが加わるというだけで(いや大きいですが)。