フランス大統領選挙は、既に結構な泥仕合になっているのだが、ルペン氏がなんとモスクワを訪問していた。
仏大統領選の極右候補ルペン氏、ロシアのプーチン大統領と会見
2017年03月24日 21:53
http://www.afpbb.com/articles/-/3122674
【3月24日 AFP】(更新、写真追加)仏極右政党「国民戦線(FN)」党首で大統領選の候補者の1人であるマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)氏が24日、ロシアのモスクワ(Moscow)を訪問し、同国のウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領と会見したことが明らかとなった。ロシア国営テレビ局が伝えた。
で、プーチンは会談の冒頭で、こんなことを言っている。太字は私。
私は現在フランスで大統領選挙が行われていることをもちろん知っています。その展開に影響したいとは決して思っていません。しかし、私たちはフランスのあらゆる政治勢力の代表者と話しあう権利を留保していますし、それはちょうど欧州や米国のパートナーたちが行っているように、です。
I am, of course, aware of the ongoing election campaign in France. In no case do we want to influence the events as they unfold, but we reserve the right to communicate with all representatives of all political forces in France, just like our partners in Europe and the United States are doing.
http://en.kremlin.ru/events/president/news/54102
これはつまり、現在アメリカで行われているような、プーチンにあったら「えんがちょ」みたいなおバカな風潮に対する冷静なカウンターですね。
そして、事実ルペンさんのライバルのマカロンじゃないマクロンはイギリスのメイに会っているという話。ドイツの大物政治家は何人もモスクワを訪問しているし、そのうちの一人はこのたび大統領になってるやん、ですしね。プーチンを訪問して何が悪いねん、でしょう。
とはいえ、ルペンさんの行動はいやしかし、勇気がある。今ここでモスクワに行ってプーチンに会ったら、わーいプーチンの傀儡だ~とかメディアが書きたてることは必定という状況であえてロシア下院の招待を受けたわけですから。
彼女なりの計算ももちろんあるわけで、これがむしろ幸いすると彼女は読んだんでしょう。マスコミがどれだけあおっても現実の利益を見ている人たちはロシアとの関係緩和と制裁解除の方を望むってことを知っているってことだと思う。それは誰かというと、フランスの農業関係者。
フィロンが勝ち上がったのも実のところフィロンがプーチンとよく対話していた人で、そういう意味でモスクワと通じてる人ってのがむしろ好評だったから。だから、ルペンさんとしては、大統領選挙の決戦投票でこの層を自分に引き付けようとしてるのではないかと想像する。
うわっついた都市民はマスコミに引きずられるけど、リアルな利益がかかってる層はそうはならない、と。
だから、ルペンさんの行動は、言うけどホントはやらないじゃないということではない、を示したとも言えますね。
いや、そうはいっても大きなカケなわけで、何この男らしさ、と言いたいものがある。
で、男だけど、なんてか男らしくねー、マスコミが作るアイドルか何かみたいじゃねーかよ、なのがマクロンではあるまいか。
「フランス第一」勢い 大統領選あと1カ月 極右VS独立系、EU離脱対立軸
http://mainichi.jp/articles/20170323/ddm/003/030/119000c
そもそも、独立系とか言ったって、何はなくとも世界中のメディアが好意的だという点で、既になんか、彼は独立系の良さを実は発揮できていない。単に今はどの政党の代表ではないと言っているにすぎない。
しかもそのキャリアを見れば、元ロスチャイルド銀行にお勤めで、若いのに出世してました、なわけでしょ。メディアが贔屓している元ロスチャイルド銀行の人は、政党以上にデカいところに属している可能性は特大なわけで、独立というより「特殊枠」というべきではなかろうか。
まぁこうやってメディアが勝手に色付けして、異端者は許さないとばかりに踏ん張るこのやり方が勝つのか、それともまたまたメディア敗北となるのか、との点でも今回のフランス大統領選挙は面白い。
私は現在の政治的言説の中では、極右も極左も極を付けて異端視しているものと理解してます。
異端でない、エスタブリッシュメントが受け入られる真ん中にいろよ、という思想統制。
EUの対ロ経済制裁で、打撃をこうむったのは、実はロシアでなく、例えばフランスのリンゴ生産者だったり、チーズ生産者だったというのをテレビで見て、なるほどと思った。ブログ主さんのご指摘のとおり、地と共に生きる人にとって、政治はイメージじゃなく、死活問題なのだ。
少し話ははずれるが、先日WBCがフロマンにインタビューをし、アメリカのTPP復帰の可能性に言及していた。不気味だ。葬ったはずが、まだ生きていた。